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人の幸せ

章タイトルを変更しました。

理由はあとがきで。

なぜだか知らないがマスコミは来なくなった。

俺はなんだかわからないが少しホッとする。そして、今は車椅子で病院を少しだけ散策していた。すると、子供が一箇所に集まっている。看護師さんも。何があるんだろう。


俺は近寄っていった。


「さあさあ、見ていてくださいね?私の右手には玉があります。この玉を握ると…ほら、左手に瞬間移動しました!」


マジックショーか。

子供たちはキラキラした目で見つめている。どうやるのとか聞いていた。


マジックというより手品だな。タネも仕掛けもあるやつ。


「ふふふ。僕、これ持ってもらえる?」

「ひゃくえん?」

「そう。これをぎゅーっと握りしめててね」

「うん!」


と、握りしめる男の子。


「じゃあ、この坊やが握ってる百円玉を私の手に移します。せーのっ。……僕、右手を開いてごらん?」

「うん!……あれ!?ひゃくえんない!」


なんとも子供向けのマジックショーだ。

俺は大して面白いとは思わない。俺が帰ろうと迂回したとき、壁に寄りかかっている少女と目があった。少女は俺を見て笑う。


あの顔。どこかで見覚えがある。誰かに似ていた。だけれど、誰かはわからない。


だからなのか、不思議と自分から話しかけられた。


「君は見ないの?」

「うん。私こういうの興味ないんだ」

「そうなんだ」

「お兄ちゃんはなんで入院しているの?どこか悪いところでもあるの」

「お兄ちゃんか?お兄ちゃんはな、足を骨折して入院してるんだよ。立てるようになるにはまだかかるってお医者さんが言ってた。君は?」

「私は…病気。お姉ちゃんが言うには結構難病で手術をするしかないって。しないと私死んじゃうんだって」

「そうなんだ。手術する日程は決まってるの?」

「来週の火曜日だって」

那智(なち)!」


と、少女は自虐的に笑う。

すると、少女を呼んでいる声が聞こえた。その声は聞き覚えがある声で。


「那智、ここにいたのか。心配したぞ」

「あれ?会長?」

「うん?なぜ小鳥遊がここに?」


誰の妹かと思えば会長の妹さんだったらしい。






「なるほど。車に轢かれてな」


会長に説明すると、なんだか合点がいったような顔をしていた。


「君は注意力が不十分なのか?」

「いや、俺が轢かれたのは後輩助けるためで。これは名誉の負傷ですよ」

「人を守る為に…。なるほど。名誉なことだな」

「で、会長はそこの妹さんのお見舞いに来たんですか」

「ああ。那智って言うんだが、那智は生まれながらにして病気持ちでな…。だからこそ、心配になりちょくちょく来るんだ」

「お姉ちゃんのお知り合い?」

「ああ。お姉ちゃんのお友達だ」


那智ちゃんは心配そうな顔で会長を見ている。

会長はそんな那智ちゃんの心配を和らげようと笑顔で頭を撫でていた。


「この人は私が信頼してる人だから、心配しなくても大丈夫だよ。この人はいい人だから」


目の前でそう言われると照れる。


「小鳥遊、自己紹介をしてやってくれ」

「あ、はい。俺は小鳥遊 久太って言うんだ。久太でもお兄ちゃんでも呼び方はなんでもいいからな。暇なときに俺のとこ来るといいよ」


俺も、那智ちゃんの頭を撫でながらいった。

髪の毛はサラサラだった。


「那智は人見知りで、最初は近づかないかもしれないが懐くと可愛いものだよ。空も最初たくさん話しかけてやっと今は懐いたからね」

「そうなんですか。空が手こずったなら俺はもっと手こずりますね」

「そうでもない。君は異性だから、カッコいいと思われたらすぐに懐くだろう」

「そんなものですか?」

「私がそうだったからな」


いや、会長がそうだったとしても那智ちゃんが同じとは限らないでしょ。


「小鳥遊。これはお願いなんだが、暇なときでもいいから那智の相手をしてくれないか。高校生だったときは結構頻繁に来れたんだが仕事があるせいであまり来れなくなってな。那智も暇してるから話し相手とかになってやってくれ。もちろんタダでとは言わないが…」


頭を下げて来る会長。

別に話し相手ならかまわないけれど。


「いや、話し相手なら別に。何もいらないですよ」

「そうか。よかった。ありがとな」


と、会長はどこか遠い目をしていた。


「妹は生まれながらにして不幸だから、幸せにしてあげて欲しいとも追加していいか」

「……人の人生を勝手に不幸と決めつけちゃダメですよ」

「そうだな。だが、自分から見たら幸運でも他者視点では不幸に見えるんだ。他者視点からでも幸せに見えるようにしてくれないか」

「お姉ちゃん。私、しあわせだよ?」

「ああ。わかってる。だけど、不自由をさせてるだろう?学校にも通えてないんだ。これは人から見たら不幸なんだよ」


と優しく諭した。

たしかに、那智ちゃん自身は幸せだと思っていても俺から見たら不幸だと思う。勝手に不幸と決めつけているわけだ。

その勝手に不幸と決めつけられるのを幸せにしろと。つまり、那智ちゃんを充実させてくれと。そういうわけだ。


「わかりました。那智ちゃんを幸せにする。それでいいんですね?」

「ああ。頼む」

「……私、しあわせなんだけどなあ」









理由は単純に、新入生関係ないなと。そういうことで変えさせていただきました。

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イラストレーターとユートゥーバー 新しいラブコメ小説を投稿してみました。是非とも読んでみてください。
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