結構深刻の話なのかもしれない。
昨日あんなことがあり、今日は車椅子に乗り病院の一階にきていた。
飲み物を買うためだが。
すると、何やら変な人がみえる。
「長瀬さん、こうですか?」
「ああ、そこそこ」
ナースの人が脚立に登り、女の医師がなにやら足元を覗いている。
なんだこれ。
「むふふ……。今日は赤、か」
「赤?……長瀬さん!私のパンツの色を言わないでください!」
なるほど、赤か。
いや、そうじゃなくて。
「あのー、俺飲み物買いたいんですけど……」
ちょうど自販機の前でやられているため飲み物が買えずにいる。
わざわざ売店まで行きたくないからね。
「すまないな」
「す、すいません」
と言って避けてくれた。
俺は自販機に近寄り硬貨を投入する。そして、さっきのことを思い出す。
「……赤、か」
と言った瞬間、頭をコツンと叩かれた。
「記憶消え去れ!」
「落ち着け」
後ろを振り返ると激昂している様子の看護師さんとそれを抑える医師さん。
あー…なんかごめんなさいと心で謝っておく。
それにしても、赤ってまた……。ダメだ俺。煩悩消え去れ。
病室に戻り、看護師さんにベッドに寝転がされる。
痛い。もちろん右手もだけれどね。
と、空が訪ねてくる。お見舞いだろうな。
「やっほー」
「おう。来たか」
制服姿の空。
笑顔の空だったが、俺の右手に気がついたようで。
「その傷、なに?」
と訪ねてくる。
別に隠すことでもないので俺は言った。
「昨日本宮の付き人だった人が俺を殺そうとしてきたんだよ」
「……本当に?」
空の目つきが変わる。
先ほどまで笑顔だったのが、笑っていたのが嘘のように感じられるような冷たい顔をしていた。
「祥太郎の付き人が……。その人は今どうしてるの?」
「警察に突き出されたよ」
「わかった。出来るだけ極刑にしておくね」
と、笑っていた。けれど、その笑いが怖かった。
「あ、そうだ。お父さんが話をしたいって言ってるからちょっといこ?私車椅子押すからさ」
「いいけど、話?」
「うん。就職についての話だってさ」
就職についての話?
俺は君清さんの会社に就職すると決めているから、話すことは特になさそうなんだが。
とまあ、疑問に思いつつもまた車椅子に乗っけられ、押されていく。
外に出ると、黒塗りの高級車が待っていた。その車に乗せられ、俺は空の家に連れていかれる。
そして、案内されたところでは君清さんが待っていた。
「よくきたね」
と、言って、お茶を出してくる。
これから、なにを話すのかは俺はわからない。ただ言えるのは、結構深刻なこと?のようだった。




