キャンプ地と怪異創造
『オマエノセイデ・・・・』
最後に一言それだけを残してゴーストは消滅した。説明の通りなら暫くしたら復活するらしいが果たして狂化が解けての復活なのだろうか。
「ゴーストやアンデッド系のモンスターは共通して攻撃がワンパターン化しやすいので少し戦い慣れた冒険者なら簡単に対処されますので、戦力としてはあまり期待できません。」
六花先生の戦闘講座はまだ続いていた。以外と戦闘が好きなのかも知れない。
「あと、レベルはあくまで基準ですのでレベルが高い=強いという事にはなりません。確かにレベルが上がるとステータス値は上昇しますが、戦闘技術が直接上がる訳ではないので気を付けなければなりません。」
曰くレベル詐欺システムと呼ばれているらしい。子供向けの物語にもなっているとか。
「マスターには持っている技術の向上を図る訓練の他に格闘戦の訓練も受けていただきます。いくら前線に出ないからといっていざというときがあるかも知れません。」
ダメだこれは長くなるやつだ。格闘戦の訓練を受けるのは良いが、このままじゃ話が前に進まない。
「わかった格闘の訓練はある程度ダンジョンが形になったら始めるとして、さっきのゴーストはどのくらいで復活するのかわかるか?」
多少強引でも話題を反らす。
「あのくらいなら30分もあれば復活するかと。その時にあのゴーストの狂化も解除しましょう。」
最初からゴーストの狂化を解除してやれば良かったんじゃないかとは言わない。指摘したら後が怖そうだ。
ここで30分待つなら今日はここで休んで明日の朝から作業した方が良さそうだな。ついでに残り180ポイント分のモンスターを呼び出しておくか。
「それなら今日はここで休んで明日の朝にダンジョンを作るぞ。ついでに残りのモンスターをここで召喚するぞ。」
「畏まりました。それでは寝床の準備と食料の確保を先に済ませてしまっても宜しいでしょうか?」
そういえば目を覚ましてから色々やって移動して気がついたらもう夕方だ。なんか1日損した気分だ。
「そうだな先に休める場所を確保しよう。俺が寝床の設営するから六花は散歩でもしてきてくれ。」
「しかし、マスターのサポートをするのが私の役目です。せめて材料運びだけでも」
「散歩とは言ったけど食料になりそうなものを探してきて欲しいんだ。俺は何が食べられて何が毒なのかわからないからな。君にしか頼めないんだ。」
「そうですか。それでは二人で手分けをしてさっさと終わらせてしましょう。マスターも自力で食料を探せるように全力でサポートさせていただきます。」
やけに離れるのを嫌がるな。まぁ、俺が彼女と別行動をとろうとするのはただ単に驚かせようと思っただけだからそこまで意地になる必要はない。
「わかった。準備をするから待っててくれ。」
『怪異創造』を発動する。
俺がイメージしすることで画面に映し出されるのは1枚の布切れ。長さは10メートル程で幅は約30センチ程だ。人を襲わないように設定し召喚を試みる。ちなみに消費したMPは7ポイントだ。
「細長い布ですか?」
「みてくれはただの布にしか見えないけどこいつは俺のもと居た世界じゃ人間も殺す程の立派な妖怪だ。」
俺はステータス画面を出して六花に見せる。
種族:一反木綿 レベル1
筋力:10 耐久:5
敏捷:10 知力:5
精神力:7 幸運:5
HP :7 MP:11
スキル
・飛行 ・まきつく ・呪撃
「敵を拘束するのに便利そうなモンスターですけど、コレが寝床とどのような関係あるのでしょうか?」
待ってましたとばかりに俺は一反木綿に指示を出す。あっという間に出来上がったのは人一人が入れる大きさのテントモドキである。
「これで雨風を防ぐということなんですね。」
「雨はあんまり防げないけどこれで気持ちよく眠れるぞ。ほれ、六花の分も用意したから寝袋って指示してみ?」
驚いた顔をする六花、なんでさ。
「まさか私の分も用意していただけるなんて。」
とか呟いてるが俺はそんなに鬼とか悪魔に見えるのだろうか。




