ダンジョン作成とモンスター作成
移動すると言っても東屋から出て少し歩くだけである。
「この辺にダンジョンの本体を作ろうと思うんだけど木が邪魔だな。この場合は伐採からはじめるのか?」
「作成機能に樹木移動がありますので伐採はしなくても大丈夫です。このままダンジョン作成に移りましょう。」
余談ではあるが、主に密林系ダンジョンを作るために使われる機能らしい。しかし、使う機会が少ないだけで全ダンジョン共通の機能と補足が入る。
木をどかしてそれなりの広さの土地を確保する。
「それではダンジョン作成と念じて各項目を選択してください。建築物を選択した場合はリストとイメージモデルが表示されますのでその中からお選びください。」
予想はしてた。和製ホラー御用達の古民家風廃墟が無い。
「自分でイメージした建物がリストに無い場合は諦めるしか無いのか?」
「フロアや付属部品ならともかく、建物を一から作る機能はありません。なので限りなくイメージに近しい建物を選択して建材を変更させるくらいしか思い浮かびません。」
そこまで万能じゃなかったか。
初のダンジョン作成ってことで和風ダンジョンにしたかったんだけどここまで言われたら諦めざるを得ないか。
建築スキルみたいなのがあったら自分で作るんだが。
「ん?スキルを使って自分で作る?」
アンデッド系モンスターの家を作れば良いんじゃないか?
「ダンジョンの領域内であれば空にダンジョンを作ろうが地中にダンジョン作ろうが自由なんだよな?」
「はい、さすがに限度はありますが空中ダンジョンでも水中ダンジョンでも好きに作ることができます。」
「デカいモンスターの背中にダンジョンを作って移動式ダンジョンなんてこともできるか?」
「モンスターがダンジョン内に居れば可能です。数は多くありませんが前例もあります。」
前例があるのか、なら少し気楽に試せるな。
怪異創造、スキルの発動を念じるとキャラ作成ゲームのエディエット画面が目の前に表れる。
モンスターのイメージが目の前で形作られていく。しばらくすると画面の中には一軒の古民家風の廃墟が映し出されていた。
「思いの外チートなスキルだったな。」
あまりの性能に呟きが漏れる。
外見を創るだけでなく性能もカスタマイズし、種族名を付ける。たったこれだけでこの世界に存在しない新たなモンスターが誕生した。
「六花、これを見てくれ。」
そう言って六花にステータス画面を見せる。
種族:迷ひ家 レベル1
筋力:なし 耐久:18
敏捷:なし 知力:5
精神力:なし 幸運:なし
HP :18 MP:17
「これはモンスターなんですか?どうみても珍しい建築様式の廃屋にしか見えないのですが。
それにこれでは冒険者と戦うどころではありません。」
驚くのはまだ早い。
迷ひ家
所有スキル
・自己再生(弱)
・転移
「成る程、高い防御力と回復能力で安全地帯を確保し、危険になったら転移で逃げる移動要塞型のモンスターなんですね。まさかこんなモンスターがいるなんて思いもしませんでした。」
運用方法としては間違ってない。しかし、それは普通のダンジョンでの話だ。ここではそんな面白くない運用はしない。
「こいつはモンスターでありダンジョンだ。そして俺のスキルで作った新種のアンデッド系モンスターだ。」
「モンスターにダンジョンを作るのは前例があってもモンスターでダンジョンを作るなんてはじめて聞きました。早速このモンスターを召喚しましょう。」
「まぁ、待て。このダンジョンモンスターには一つ重大な欠点があるんだ。」
「エサを食べないからすぐに餓死するとかですか?」
「いや、それは無いんだけど呼び出すのに7000ダンジョンポイントか5000ポイントのMPを使うんだ。」
本格的にダンジョンの作成が始まって一安心




