合流と宴の準備
まさか、自分のダンジョンで婚約披露宴的な催をすることになるとは思いもしなかった。今度からは思いつきで行動するの控えようかな。
「ところで、いく先々で睨まれたりするのってやっぱりあの嫁入り行列のせいだろうか?」
「ワン!」
肯定するように鳴き声を上げる。
「やっぱりそうだよなぁ。さっきから『こいつがあの子達の結婚相手か?ぜってぇ違うな。こんなチビにあんな美少女が嫁ぐわけがねぇ。』って顔してるやつばっかりだもんなぁ。」
「ワン!!」
「はぁ?女性冒険者はそんな目してないって?いやいや、あの目は自分より幼い子供が自分よりも早く結婚するのを見て焦って彼氏候補を探してる目だ。俺を見ても『あら?こんなところに子供がいるわ。』位にしか見てないって。」
俺から見た感想を伝えると軽く溜め息らしきものを吐いて『やれやれ、これから先が思いやられるぜ。』と言いたげに首を振る。解せぬ。
解せぬついでにあの不名誉な称号の確認をしよう。歩きスマホじゃないから大丈夫だろう。
称号
ケモナー:獣系モンスターへの執着が凄いモノに与えられる称号:獣系モンスターを10体以上連続で呼び出したり、進化させる。獣系モンスターの成長にプラス補正が付く。
ロリコン:パーティの幼女比率が一定値を越えたものに与えられる称号。幼女に好かれやすくなり、ロリモンスターの成長にプラス補正が掛かる。
ちょっ、ロリコンの称号はヤバイってこれ!称号の変更又は効果の修正を要求する!!
これは洒落で済まされない。 特に『幼女に好かれやすくなる』って所だ。いや、憧れの近所に住むお兄さんとして好かれるならまだ良い。LOVEじゃなくてlikeだから。ただ、2人の幼女と婚約と言う名の実質結婚を迫られている俺としてはどうしてもこの『好かれやすくなる』がlikeじゃなくてLOVEの意味でしか受け取れない。
「おや?君は新人君かな?1人?良かったらお姉さんと一緒に探索しない?今、他の人達は可愛らしいモンスターのお嬢さん方の結婚を見に行ってるから探索し放題よ?」
今度はナンパかよ。
「誘っていただけて嬉しいのですが、今ちょっと人を待たせているので貴女とダンジョンを回ることはできません。もし、機会がありましたらその時は宜しくお願いします。」
それでは失礼します。と挨拶も忘れずにその場を去る。とりあえず早いこと皆と合流しないとな。
その後も嫉妬に駆られた男性冒険者や婚期に焦る女性冒険者に絡まれること数回、無事にパトリックが居る隠し部屋の前までたどり着けた。まさか、婚期に焦る女性冒険者があんなに居るとは思いもしなかった。
しかもみんな揃って美人さんばっかりだ。この世界の男はロリコンしか居ないのか?
「待たせたな。頼まれてたアイテム見つけてきたぞ。」
壁に耳あり障子に目ありどこで誰が見てるかわからないからな。動けなくなった仲間のためにアイテムを取りに行ってましたよ~。的な雰囲気を出して部屋に入る。
『首尾はどうだい?』
「あぁ、少し手間取ったけど良い塩梅だ。それと、皆もここに向かってるからそれまでにやることはやっておこう。」
恐らくだが、あいつらを追いかけてる冒険者もここに来るだろう。それなら派手な宴を見せてそれだけ力があるぞと牽制する。
さっき捕まえた冒険者を1人使って作った肉料理とか言って肉を出せば1人は死亡、1人は後日なんとか脱出に成功と言うことでカタが付くだろう。
『豪華な料理を沢山なんて用意できるのかい?』
そこはそれ、ちゃんと考えてある。今日だけでダンジョンポイントを大量消費してる。モンスターは十分だけど今度は洞窟すら作れない。やっぱり普通の狐から進化させるのは無茶だったのかもしれない。或いはコハクだけ狐から進化させて他は野狐出だした方が良かんだろうな。
反省会は後にして宴会の準備だ。




