ステータスと現実
名前が付いたことで気持ちに変化があったのかすこし大人びた雰囲気を纏った六花が説明を続ける。
「ステータスの説明に移りますがよろしいでしょうか?」
ステータスか、例え死んでも目を覚ますだけの俺にはあってないようなものだ。
まぁ、夢の中だから俺のダンジョンに足を踏み入れたやつは皆殺しにするけどな。
ダンジョンに来て良いのは殺される覚悟があるやつだけだ。
「あぁ、頼んだ。」
「それでは『ステータス閲覧』と念じてみてください。」
言われた通りステータス閲覧と念じてみる。
すると半透明のモニターが目の前に現れた。
これに俺のステータスが標示されてるのかと画面を覗きこむ。
柳 八雲 男 レベル1 職業:ダンジョンマスター
筋力 :5 耐久:8
素早さ:13 知力:16
精神力:17 幸運:16
HP :6 MP:17
うわっ・・・俺のステータス、低すぎ・・・?
「なぁ、これってこの世界的に見てどうなんだ?」
そう言って六花にステータス画面を見せる。
「レベル1の魔法使い職で言えば天才と言ってさしつかえありません。しかし、戦士職としてなら魔法で強化して物理で殴るよりも戦場の隅で一発芸をしてた方がまだマシなレベルです。」
酷い言われようである。殴らずに一発芸してろって、足手まとい扱いじゃん。
「もっと言わせていただけるなら護衛に囲まれて散歩をするような貴族のお嬢様と一対一で殴り合って負ける可能性もございます。」
足手まといどころか足手まとい以下だった。
「レベルを上げる方法は?」
「普通ならモンスターを倒したり人間同士で殺し合ってレベルを上げますが、ダンジョン側は冒険者を殺すかダンジョンポイントを経験値に変換するかのどちらかです。」
まぁ、ダンジョンで無限湧きするモンスターを殺し合わせて最強ダンジョン作っても仕方ないしな。強化するモンスターは吟味しないとだめだな。
「それにしても夢の癖にめんどくさい仕様だな。」
「?マスターは今起きていますが夢を見ていらっしゃるのですか?」
そうか、こいつにとってはここが現実なのか。
「良いことを教えてやろう。夢の中では痛みを感じないんだ。だから頬をつねるんだ。これで痛みを感じなかったら夢ということになるんだ。」
そう言って俺は自分の頬をつねる。
・・・・痛い。痛みを感じないどころかいつもより痛みが強く感じる。そんなバカな。
ステータスを確認してみる。HPが5に減っている。
「マスター、夢は覚めましたか?」
不思議そうに声をかけてきた彼女の目は不思議なものを見る。そんな目をしていた。




