許嫁と謎の結束
どうやらメニュー画面がバグったみたいだ。多分ケモノの支配者とかそんな感じの称号を表記しようとしてバグったやつだ。1度画面を閉じてから称号を確認すると違う称号が表記されてるに違いない。
称号
・冥界の開拓者
・ダンジョンマスター
・ケモナー
・ロリコン
酷い字面だ。上2つは良いとして、下2つが酷すぎる俺はケモナーでもないし小児性愛者でもない。称号の変更を要求する。
「主様?どうかなさいましたか?もしや、私が何かお気に障る様なことを?」
「いや、違うんだ。やけに可愛い子が出てきたんで少し、驚いただけだ。」
顔を紅くして凄く照れているのが見てるだけでわかる。「か、可愛いってプ、プロポーズされた・・・・」とか言ってるのは聞かなかった事にしよう。
『主殿は皇帝陛下から2つ名を賜った貴族だったのですか!?何故それを早く言って下さらなかったのですか!?』
「・・・・詳しいことは全部終わってから説明するから落ち着け。」
本当にこいつはめんどくさいな。でもお陰でパニックにならずに済んだのかもしれない。あのままだったら称号の事ばかりに気を取られて作戦どころじゃなくなっていたと思う。・・・・・実は計算尽くじゃないよな?
「主様?」
先ずはこっちの狐幼女の方から順番に処理していこう。
「あぁ、すまんすまん。これからすぐにしてもらうこt「分かってます!!主様とのけ、結婚の事ですね!!」
!?どういうことだ?結婚なら同じ種族の中から選ぶか、ここのダンジョンのモンスターを選ぶのではないのか!?
「私では、駄目なのでしょうか・・・・・」
そんな悲しそうな顔でそんなことを言わないでくれ。俺が凄く悪い事したみたいになるから。
「あー、うん、まぁ、落ち着け。君くらいの子供と結婚するとな?社会的に俺が死ぬ。」
『それについては大丈夫ですぞ主殿。このくらいの年頃になればもう嫁ぎ先が決まってて当然ですぞ!むしろ挙式を上げる秒読みと言っても過言ではありませんな。』
知っとるわ!そしてそれは人間同士でしかも貴族の話だ。今は関係無い。
『昔とある貴族が言っておりましたぞ。「愛に種族も歳の差も関係無い。」と。その方は自身よりも20以上年下の娘ばかり嫁にしていたとされております。それを考えれば主殿は15、6歳。こちらの娘が7、8歳と一般的な貴族の夫婦ですぞ。』
「俺は今年で21だ!確かに背が低いかもしれないけどそこまでガキじゃない!」
「わ、私も人間換算では17歳です!確かに他と比べて少し小柄ですけど・・・・」
こいつも苦労してるんだな。それにしても知らなかったとは言え、こうも話の腰を折る辺りこのおっさんは道化の才能があるんじゃないだろうか。
『なんと、歳の差については解決しましたな。種族については1度置いておくとして、主殿は彼女の何処がお気に召さないのですかな?』
こいつ、話を逸らしやがった。
「主様・・・・」
そんな悲しそうな顔でそんなことを言わないでくれ。俺が凄く悪い事したみたいになるから。
あれ?なんかデジャブ。
「気に入らないところなんてそんなのわかる筈がないだろ。今日出会ったばっかりなんだし。」
『ふむ、そうですな。それでは今日の百鬼夜行はあくまで主殿と彼女の顔見せとして行い、今後は許嫁としてお互いの事を知っていく。その先はそのときに決めると言うのは。』
おっさんの提案に乗らせてもらおう。上手くいけばお互いに傷付かずに上司と部下の関係に戻れるかもしれない。
「俺はそれが良いと思う。結婚とかはお互いの事をもっと知ってからだな。」
俺の一言に彼女は考える素振りを見せる。狐耳がピョコピョコ動いてて可愛い。
「そうですね。主様に私の事をもっと知ってもらって種族の壁を越えて見せます。」
彼女の宣言にその場に居るモンスター達から拍手が沸き起こる。女性のゴーストからは「頑張って!」と激励も飛んでいる。ダンジョンの仲間達が1つになった瞬間である。
まさか、今起きているダンジョンの危機じゃなくてモンスターの恋物語で結束が強まるとは。
『結婚するとなれば第1婦人の六花殿も巻き込んだ話になります故に御3方でゆっくりと答えをお探しくだされ。』
おい、そこのポンコツ騎士は最後の最後にとんでもない爆弾投下しやがったぞ。




