決定と改造
人間に化ける。そういうのもあるのか。
『いや、元々人間に化ける目的で付けたスキルじゃなかったっけ?』
「・・・・そうだよ。」
人に化けて接触するのは良いとして、問題はどういう罠で2人を孤立させるかだ。
真っ先に思い付くのは離れた場所2ヶ所にスイッチを置いて同時に押さないと次に進めないように見せかけた落とし穴を作るか、あの冒険者を先行させて閉じ込めるか。この辺がシンプルで楽なんだが、どうしたものか。
「お前が人間として近付くのは決定として次は理由だな。最悪その場の流で臨機応変に対応するってのもアリだと思うけど、ある程度設定練った方が話の矛盾とか防げるだろう。」
『確かにそうだよね。いきなり知らない人が「協力しよう。」なんて言っても警戒されるだけだろうしね。それと、さっきの間はなんだったのか教えてくれないかな?』
こいつ、人が触れてほしくないことをソフトタッチしてきやがった。
「『見たことがないモンスターがいたから倒すのを手伝ってくれ。』とかそれっぽくは見えるけど初対面の人に頼むか?って思わなくもない。と言うか思う。あと、さっきの間とか言われても何の事やらさっぱりだ。」
『確かにそうだね。ドロップ品の分配とかで揉める可能性があるのに見ず知らずの人を仲間に誘うなんて疑われるだけだろうね。』
「やっぱり『怪しい仕掛けを見つけたんだけど、1人じゃ作動させられないから手伝って欲しい』が無難そうだな。」
『そうだね。でも、今度はあの冒険者にとってのメリットが薄くない?彼としては僕のドロップアイテムが取れる訳じゃないし。』
それはそうだ。だからと言ってもう1体送り犬を出して送り込んだらダンジョンポイントが足りなくならない!?そうだ、レベルが上がってスキルが強化されたんだ。
「今確認したら送り犬を出しても隔離部屋を作る分のダンジョンポイントは残りそうだ。」
『僕らが扉を開けると同時に新しく出した送り犬を飛び込ませてやれば彼は躊躇いもなく入ってくれそうな気がする。』
「補足するなら君が扉近くのスイッチを押してあの冒険者が少し離れた場所のスイッチを押させると犬の回収も安全にできそうだな。よし、これで行こう。」
トラップの部屋はパトリックを避難させるときに使ったあそこを使うとして、ギミック動作スイッチは部屋の両端に設置して監禁部屋への扉と監禁部屋本体を増設する。
「監禁目的だし、そこまで広い部屋にしなくて良いよね。とりあえず一畳分くらいにしとこう。」
『イチジョウってどのくらいの広さだい?』
「確か縦の長さが1800mm位で横の長さが900mm位でだったかな?細かい数字は覚えてないけど大体このくらいだ。」
大体の大きさを実際に見せたら『せめてもう少し部屋を広くしてあげて』とパトリックに止められた。




