作戦決めと意外な策士
彼が言いたいのは「出入り口の無い所に暫く閉じ込めておこうぜ」って事だろう。
「あいつをどっかに閉じ込めて時間稼ぎしようってことで良いか?」
『その通り。あと、出来る事なら他のダンジョンで使う予定だったモンスターも貸してくれたらうれしいなーって。そしたら少しでも経験を積んだ幹部を最初から配置出来て運営も楽になると思うんだけどなー。』
「ダメだ。ここの問題はここにある物、人材、資源で何とかしないと次もまた次もってなるからな。」
ここで他のダンジョン用のポイントを使ったらこの先ずっとそうするだろう。それだとダメだ。
このままだと話が進まない。ここで俺は宣言する。
「今回の出来事はこのダンジョンの力で解決するんだ。お前たちは何もできない置物何かじゃないだろ!!今こそみんなの力を合わせてこの状況を乗りきるぞ!!」
体育会系のノリは苦手何だが、なにもしないよりはマシだろう。実際、騎士のおっさんを含めた何体かはやる気っぽいものをたぎらせている。
『おお!!主殿はそこまでこのダンジョンの事を大切に・・・・感動しましたぞ!!それにひきかえ冒険者殺す冒険者殺すと自分の事ばかり考えていた我が身を恥じるばかりですぞ!!』
お前は落ち着け。恥じる身なんてとうの昔に墓の下だろうに。
「ダンジョン内に閉じ込めるのは良い考えだ。これで行こうと思う。」
この作戦のメリットは
・監視下に置けるため、時間稼ぎには持ってこいと言える。
・監禁方法にもよるがダンジョンポイントを継続的に得られる可能性もある。
・自演してない行方不明者と言う実績ができる。
実績については気持ちの問題が大きいが、残り2つはダンジョンに直接的な利益が見込める。
デメリットとしては
・この冒険者が死なないようにする手間が増えること。
・外に返したとき色々とめんどくさい事が増えそうな気がする。例えば、調査のために冒険者が派遣されてくるとか、あの冒険者がもっとここに興味を持って居座るようになるとか。
挙げていけばメリットもデメリットもまだまだあるだろうけど今は考えたくないな。それに、今挙げたメリットとデメリットだとデメリットの方が大きい気がする。えーい、もうどうにでもなぁれ!
「大まかな作戦も決まったし、あとは細部を詰めていこう。」
と言っても囮役はパトリックに決まっているとして、彼の安全を確保する方法と奴に食料を届ける手段を考えるだけなんだけどな。
『ちょっと良いかい?』
「ん?どうした?」
囮役が
『僕が人間に化けて彼を罠に嵌めれば良いんじゃない?』
そこに気が付くとは、天才か。
『そんな「ハッ、その手があったか!!」みたいな顔をしないでよ。』




