予定地と地理
この作戦を取る場合、必要になるのはダンジョンポイントと囮のパトリックがどこかへ転移しないようにするトリックだ。
さっきも言ったようにここのダンジョンに使えるポイントは500ポイントも無い。馬車で一月以上の場所へは飛ばすことが出来ない。
ならば歩きでしか通れない場所へ送ってやれば良いのではないか。例えば、最初に開いたゲートの近くの山の中に放置するとか、公衆浴場の女湯に出るように調整して牢屋にぶち込んでもらえば時間はかなり稼げると思う。まぁ、山の中に放置すると下手したら死ぬ可能性があるから却下だし、女湯の方は別の奴らが大挙して押し寄せそうだから止めておくけどな。
「俺としてはこのオーエ山の頂上出前の広場に出して高山病と戦ってもらうのも面白いと思う。それに、あそこなら足場が悪いとか天気が変わりやすいとかで下山するのに2~3日掛かることもざらにあるらしい。」
『いや、それは登山用の装備をした一般人の話だからね。全然関係無い所から飛ばされたら下手したら死ぬよ。』
『パトリック殿、奴はあれでも冒険者の端くれ。確実に生きて下山するだろう。悪天候での足止めも何処まで効果があるか。』
足止めにはもってこいだと思ったけど、評判はあまり良くない。
『僕はこっちの樹海を推させてもらうよ。冒険者なら森の中で食料に困るとこは無いんじゃないかな?それに、歩き続ければいつかは森から出られるし危険なモンスターも居ないよ。』
さてはこいつ、森ビギナーだな。森は森で毒虫とか危険があるうえに、足場の悪さやら同じ様な景色ばかりで方向を見失う罠の宝庫だ。
それにこの森はを選びにくい理由がある。
「この森って確かゴブリンとオークが覇権争いしててどっちもレベルが高かったはずだ。勿論レベルもだが、陣形を組んだり奇襲のタイミングを図ったりと戦術が下手な軍隊よりも戦術のレベルが高いと聞いたぞ。」
つい100年くらい前まではパトリックが言ったように食料の宝庫で危険なモンスターも居ない普通の森だったのだ。しかし、ゴブリンとオークが住み着き、森の支配権をめぐって戦いが始まり今に至るのだ。100年も戦っていればその周辺に住んでる2種族のレベルが高くなるのは当然と言えるだろう。
『それではこんなのは如何ですかな?』
おっさんが自信ありげな表情で進言してくる。
『公衆浴場の女湯にゲートを繋げて牢屋に繋げてもらえばよいのだ!!』
・・・・・こいつ、アホだ。
「それをやったら試しに来るバカ共が出るだろ。それとも、うちのダンジョンの評判を落としたいのか?」
『しかし、これが最良の手だと・・・・』
「うん、君は少し黙ってようか。」
最後まで言わせずにおっさんから発言権を取り上げる。
「結局山か森の2択だな。」
さて、どうしたものか。
『んー?あぁ、でもあれって出来るのか?』
「何か思い付いたのか?良かったら聞かせてくれ。」
『良いけど、その前に幾つか聞きたいんだけど良いかな?』
俺に聞くってことはダンジョン関係のことなのか?
「良いぞ。答えられる範囲なら何でも答えるよ。」
『ありがとう。それじゃ早速。』
彼に聞かれたのは、
・ダンジョン内に密室の部屋を作れるのか。
・作れたとしてどのくらいのスペースが確保できるのか。
・その部屋の壁は壊したりとか出来ないようになっているか。
彼がやろうとしてることが分かって来たぞ。




