鬼ごっこと撤退
めんどくさい奴が一番乗りしてきたな。
『次の百鬼夜行までは暫く間を開ける・・・・まさか!いや、わかっておりますぞ。主殿は冒険者どもを皆殺しにする決心が付いた。そういうことですな?』
盛大な勘違いをしている騎士のおっさんマジポンコツ。
「いや、そうじゃない。今うちに頭のおかしい奴が来てるんだ。そいつを追い払うために一時的にみんなを避難させてるだけだ。」
『冒険者の連中はどいつもこいつも頭のおかしい奴ばかり!!故に追い払うのではなく息の根を止めるべきですぞ!!』
本当にこいつはなんでこんなに冒険者を目の敵にするのだろうか。そのうち聞いてみよう。
「ダメだ。死ねばそこで終りだ。だから死ぬほどびびらせて帰すんだ。あいつらは必ずリベンジに戻って来る。この半年間ずっとやってきたことだろう?」
そう、ビビらすだけでいいのだ。しかも、負けず嫌いなのかリピート客はかなり多く、2度3度とやって来る。まぁ、2度目以降は顔を真っ赤にして「化け物共め!!今日こそはあの世に送り返してやる!!」と息巻いて来るのだが、帰る頃には顔面蒼白になっている場合が多い。
『その様に生温いことを言っているからこのようなことになるのだ!!』
段々ヒートアップしてきたおっさんをどう諌めようか考えているうちに続々とモンスター達が集まってくる。
「この話は後だ今のこいつらじゃあれには勝てない。」
今こうして口論している間にも時間を稼いでくれてる奴らが居る。おっさんを黙らせるよりそいつらを無事に撤退させる手を考える。
《こいつ少しずつ動きが速くなってる!!このままじゃ持たない!!》
パトリックから念話が入る。
「わかったもう撤退をはじめてくれ。地下の最奥の少し手前に隠し扉を作ったからそこに逃げ込んでくれ。中に転移の罠を設置してるから構わず作動させろ。」
《分かった。》
転移の罠はここの入り口近くに繋げてあるし、ウィルは洞窟の前まで追跡したらこっちに来るように伝えてある。
さて、後はあの冒険者を退去させる方法とこれからの対策だな。




