鬼ごっこの始まりと避難開始
こいつはヤバい、目が完全に逝っちゃってるとかそんなレベルじゃない。話し合いで解決とか無理なんじゃないかなぁ。無理だろうなぁ。
一応話しかけてみる?いや、「人間の言葉が理解できるモンスターだ!!素材も期待できるぞ!!」的なこと言われて襲われるだけな気がする。
どうしたもんかと考える時間もない。そうだな、逃げよう。
昔の偉い人は言った。「三十六計逃げるに如かず」って。
「エヘヘ・・・毛皮ガ1枚、エヘヘ・・・アレデドンナ装備ガ作レルカナァ?霊布モ欲シイナァ」
そう言いながら奴は近づいてくる。
「今すぐそこから離脱!!出来ればある程度時間を稼いでくれ。その間にいったん達を避難させる。そうだな、5分ほど稼いでくれればありがたい。」
《5分で間に合うのかい?何ならもう5分位なら時間を稼ぐよ?》
「ありがたい申し出だけど、それは良い。これからウィルも向かわせる。」
《それは大丈夫なのかい?彼はそのままそこにいた方が良くない?》
「ウィルのスキルであの冒険者のMPを削る。流石にMPが尽きれば帰るだろ。」
《MP回復のポーションを使われる可能性も有るんじゃないかな?》
「そこはMPが回復しても狩る獲物が居なければ帰るだろ。」
さらに言うなら追いかけ回してるうちに他のモンスターも姿を消したとなれば今日のところは帰ってくれるかもしれない。
「ウィル!話は聞いてたな?」
俺の問いかけに翼を広げて大丈夫とアピールしてそのまま飛んでいく。
「頼むぞ。パトリックを助けてやってくれ。それと"百鬼夜行"の合図出すけど今回は集合しなくて良い!!」
ウィルに伝えることは伝えた。
パトリックにも百鬼夜行のことを伝えるため感覚共有を発動する。
「ウィルが今むかってる。細かい場所はお前が念話で伝えてくれ。それと、百鬼夜行の合図を出すけどお前とウィルはそのまま囮を続けててくれ。」
《分かった。撤退の合図はもう1回百鬼夜行の合図を出してほしいな。》
「分かった。撤退するまでやられるなよ?」
《了解。》
早速百鬼夜行の合図を出す。ダンジョン内に響くように太鼓を5回鳴らす。
ちなみに百鬼夜行は全モンスターでダンジョン内を練り歩くパレードみたいなものだ。その為に1度ここに集合することになっている。
まさか、こんな使い方をすることになるとは思わなかったな。
『前回の百鬼夜行からまだそんなに時間が経っておりませぬが如何なされた?』
一番最初に来たのは騎士のおっさんだった。




