たたりもっけと条件
強化前に今現在の強さを確認する。
名前:ウィル 種族:ウィルオウィスプ レベル7
筋力 :4 耐久:5
素早さ:35 知力:24
精神力:18 幸運:15
HP :7 MP:10
ここで表示されているレベルはモンスターレベルだ。筋力と耐久が全然伸びていない。これは種族の特徴なのかもしれない。
これから進化する予定のモンスターについて説明する。
「お前は『たたりもっけ』に進化させる。このモンスターは赤ん坊の魂が梟に宿った存在と言われている。」
「俺はそんな子供じゃない!!」と言わんばかりの勢いで激しく燃える。
「落ち着け。赤ん坊の魂が梟に宿るってのはあくまで伝承の1つだ。成人した女性や船乗りがたたりもっけになったって話もある。その話は今は置いといて、お前にはウィルオウィスプを率いるリーダーになって欲しい。」
思うところがあったのか、ウィルは火の勢いを弱める。わかってくれたなら次はスキルの説明だな。
「たたりもっけには念話、鳴き声、祟り目、追跡のスキルを着けた。一応説明はするけど後で自分でも確認はしておけよ。まずは、念話だな。これは離れたところにいる仲間と意志疎通を計るためのスキルで、効果範囲はダンジョン内全域をカバーできる。まぁ、対象との距離が離れてる分魔力の消費が激しいからそこは注意してくれ。」
この念話スキルの効果対象に俺と六花が入っているのはこの半年間の経験だ。報告、連絡、相談は大事。
「次に鳴き声だけど、これは範囲内に居る敵の恐怖心や不安感を煽る効果と一定時間毎にMPを1ポイントずつ減らすスキルだ。これは後で説明する追跡と組み合わせて使う事が前提だな。」
本当なら一定時間毎に20ポイントくらいMPを削ることも考えたが、それだと退治されかねない。あと消費ダンジョンポイントがかなり多くなる。
増幅された恐怖心と不安感に気がついたらMPが空っぽなんて若干ヒヤッとするだろうな。
「3つ目の追跡は万が一にもターゲットを見失わない為の保険だ。鳴き声の効果範囲は直径約150メートルあるけどあまり近づき過ぎると狩られる可能性もあるからな。付かず離れずの距離を守れるようにするんだ。」
これはあくまで保険であって無理に追跡をする必要はない。そこのところも言い含めておく。
「最後の祟り目は対象に少し悪いことが起こりやすくなるスキルだ。あくまでも歩いてたら釘を踏んづけて怪我をするくらいのものだから戦闘には使えない。『このダンジョン何かおかしい』って思わせる事が出来れば御の字程度に覚えていてくれ。」
これでスキルについては一通り説明できたな。あとは進化させるだけだ。もしかしたら種族レベルが25以上、モンスターレベルが10以上が条件かもしれない。本当にめんどくさい仕様だ。しかも新種は進化ツリーが見れない。どうしようもないくらいめんどくさい。
モンスターレベル10、種族レベル25
変化は無し。筋力と耐久も上がらない。
モンスターレベル15、種族レベル25
お、条件を満たしたようだ。進化を選択する。これで進化に必要なのは最低でもモンスターレベル15、種族レベル25が確定した。
「さあ、お待ちかねの進化だ。」
パトリックの時のように黒い霧がウィルを包み込む。この霧のなかで何が起きているのか興味はあるが、わざわざ首を物理的に突っ込む程危険を侵したくない。霧がだんだん晴れていくとそこには、人間の赤ん坊のような顔をした梟が1羽こっちを見ていた。元がウィルだと知ってても結構怖い。近づいて確認する。
人の顔だと思ってたのはただの模様のようだけど、リアルすぎて人面梟にしか見えない。こんなのに追い掛けられたら俺は「うわぁぁぁ!!」とか言って逃げ出す自信がある。
ともかくステータスを確認する。
名前:ウィル 種族:たたりもっけ レベル:1
筋力 :4 耐久:5
素早さ:35 知力:24
精神力:18 幸運:15
HP :7 MP:10
モンスターレベルも種族レベルも1にまで下がっていたが、基本的なステータスは変化していなかった。あれ?これって進化し続ければ最強のモンスターできるんじゃね?




