レベルアップと送り犬
『種族:ゴースト 固体名:パトリック 進化条件を満たしました。進化しますか?』
表示されている文字は間違いなく『進化』と出ている。条件とは一体なんなのか。いや、今は条件云々よりも
「みんなのレベルを上げた後、お前を進化させるから残っててくれ。」
本当に進化出来るとは思ってなかったのであろう。鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている。
「条件を満たしたってあるからレベルが25以上になるってのも鍵だったのかもな。」
ちなみにパトリックのレベルは25になったが、冒険者から見れば15レベルで止まっている。
この世界にはモンスターとしてのレベルと種族としてのレベルの2種類がある。冒険者に見ることが出きるのはモンスターとしてのレベルだけだ。
なぜレベルが2種類あるのか?等の疑問はあるがそれは置いておこう。
『そうか、進化先は送り犬だっけ?』
「そうそう、後でまた説明するよ。」
今は他のメンバーの強化をしていく。それに種族レベルが条件なら騎士のおっさんも種族レベルが25になる。
レベル25だけが条件ならこのおっさんも進化可能になるはずだ。
結果は進化しなかった。進化先の固定や半年の間パトリックに暇を見ては協力してもらった実験の中に条件の1つがあったんじゃ無いかとあたりをつける。
そんなことを考えながらどんどん種族レベル上げを進めていく。モンスターレベルを上げ過ぎると初心者冒険者が来なくなるからな。
「ん?どうした?」
レベルアップを終えたウィルがその場に留まり、火の勢いと体の揺れで俺に訴えかける。
「そろそろ進化したいって?」
そうだ。と言いた気に揺らめく。
「わかったから少し落ち着け。この後お前も残れ。」
そう言うとウィルは次の奴に場所を譲る。
本当にめんどくさい仕様だな。わざわざモンスター1体1体に直接ポイントを与えるのは。このままモンスターが1000体とか越えたらそれこそレベル上げが1日仕事になりそうだ。
「ダンジョン繁栄の為にこれからも頼むぞ!!」
最後の1体のレベルアップも終わり、解散にする。
『もう進化出来るって本当かい?』
「あぁ、これからすぐに進化するか?それとも後にするか?」
『そうか、この子も進化できるようになったんだね。』
「いや、こいつは早く進化したいと駄々をこねたからな。まぁ、進化させても良い位の働きもしてるし、丁度良いタイミングってことで残ってもらった。」
まぁ、増えてきたウィルオウィスプのリーダーになってもらう思惑もあるけどな。
『そうか、そっちは少し時間が掛かりそうだし先に僕の方を進化させてもらえらかな?彼を進化させてる間にどんなことか出来るか確認しておくからさ。』
そうだな。進化の順番はパトリックからで良いだろう。ウィルにもちゃんと話して説得したみたいだし。
「それじゃ、進化させるぞ。」
俺はメニューを呼び出し、進化を選択する。
それと同時にパトリックを闇のような霧が包み込み、段々と小さくなっていく。
30秒くらいかけて大型犬程度の大きさになると霧が晴れていき、ニホンオオカミに良く似たモンスターが現れた。
「調子はどうだ?」
その問いかけに目の前の犬は答える。
『悪くないよ。ただ、目線が下がったのと視界が狭まった感じ。あと、四足歩行に慣れないとダンジョンデビューは辛いかな。』
成る程、人間型から変わるとそう言ったデメリットがあるのか。これは少し考えた方が良さそうだな。それも踏まえて次が問題だ。




