身代わりの指輪とスケルトン
『元にした話で言う所のイザナギは冒険者だとして、イザナミはどうするんだい?』
黄泉比良坂の説明を聞き終えての質問だ。
『話を聞く限りだと、イザナギがイザナミに会いに行ったのはそれだけ大切な人だったからだと解釈したけど、冒険者相手じゃそれなりに貴重なのアイテムでも置くってことになるのかな?』
その指摘は最もだ。好き好んでガラクタを取りにダンジョンへ潜る物好きは居ない。かといって貴重なアイテムを置きまくるとダンジョンポイントが足りない。理想的な流れとしては駆け出しの冒険者が鉄の剣をゲットして帰ってかつ、鉄の剣(5ダンジョンポイント)+3~5ダンジョンポイントを落としてくれれば有難いんだけどな。
「その辺は様子を見ながら調整していこう。」
「それなら初めに置いておくのは身代わりの指輪などはいかがでしょうか?」
「身代わりの指輪?」
『あぁ、その手があったか。あれ?でもそんなものを置いたらそれこそダンジョンポイントが・・・・』
「それは戦闘以外でも効果がある性能が高いものです。ダンジョンの中でさらに戦闘中に限って効果が発動するものなら大体10ポイント程で出すことが出来ます。」
『なるほど。それで身代わりの指輪を着けてても死ぬ貴族が居たのか。』
突如始まった異世界アイテムトークにおいてけぼりを喰らう。
誰か説明をくれ。それが駄目ならせめて俺にも話の内容が理解できるようにしてくれ。
「申し訳ありません。思わぬ所で反応があったのが嬉しくてつい興奮してしまいました。」
彼女は意外と話したがりなのかもしれない。
「いや、良いさ。最初から説明してくれるならな。」
「分かりました。それでは身代わりの指輪についてから説明させていただきます。」
身代わりの指輪とはその名の通り装備者の受けるダメージ等を替わりに受けるアイテムで、冒険者から貴族まで幅広く使われているアイテムらしい。
『身代わりの指輪は使い捨てアイテムだから常に需要があるんだ。』
だからといってそんなもんホイホイ出してたらダンジョンポイントが足りなくなるだろ。
「大丈夫です。性能を最低限にして効果が発動する条件を戦闘によるダメージだけに絞れば10ポイント程で出せます。」
ダンジョン設定のアイテム欄で確認してみてください。と促され確認してみる。
8ポイントで出せるようだ。ウィルオウィスプ4体分である。
他に候補があるわけでもないし、暫くはこれで何とかしてみよう。
「それじゃあ、次はお待ちかねの召喚タイムだ!!」
今のこちらの戦力はゴースト1体にウィルオウィスプ5体、一反木綿2体の合計8体。
黄泉比良坂どころの騒ぎじゃない。今の規模だと少なくともあと15体は欲しい。さらに20体居ればとても嬉しい。
しかし、悲しいことにモンスター召喚に使うと決めたポイントは残り170ポイント。ゴースト換算で8体半、スケルトンなら17体、ウィルオウィスプは85体、ゴーストの比率を多くしたいけどそれじゃ数が確保できない。
やっぱりスケルトンを気持ち多めに出すか。
「ゴースト1体とスケルトン13体、ウィルオウィスプ10体出そう。」
「なぜその内訳にしたのですか?ウィルオウィスプを5体減らせばスケルトンを1体増やせますし、出さなければゴーストが1体出せますよ?」
「ウィルオウィスプはスキルの実験用に7体ほど連れて帰る。それを計算しての10体だ。」
「それではスケルトンを実験に使っても宜しいのではないでしょうか?」
「俺は、ウィルオウィスプに可能性を感じた。だからこいつらを使うんだ。」
その一言で六花は引き下がる。
「何もこいつらを消滅させるとかそんなんじゃないから安心しろ。」
それだけ言って俺は、スケルトンを召喚する。
種族:スケルトン レベル1
筋力 :7 耐久:8
素早さ:8 知力:14
精神力:5 幸運:3
HP :7 MP:5
スキル
・自己修復(弱)・呪撃
こいつ・・・・数値上なら賢いぞ!?




