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察知されない最強職《ルール・ブレイカー》  作者: 三上康明
第7章 DRAGON SLAYER

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想定以上のこと

また腸をやられました(今シーズン3度目の故障)。胃が生きてたぶんだけマシかな?(低い目標)

「剣聖」ローレンスに見つかった以外は、シルバーフェイスがドリームメイカーを出て北を目指すことは感づかれなかった。

 出発に当たっては装備品をきちんと整備する。

 まず移動はハンググライダーと徒歩の併用だ。ハンググライダーの有用性はヒカルが確認していたので、ラヴィアやポーラも使えたほうがいいだろうとヴィレオセアン滞在時に訓練していた。

 ふたりも「隠密」系統のスキルを覚えているので空中を飛んでも問題ないだろう。ただ無茶な動きをすると大ケガにつながるから安全第一の移動になるだろうが。


(ソウルボードのポイントは……もうちょっと「隠密」に振っておきたい気もするけど、今は温存しておいたほうがいいかな。特殊な魔力干渉とか毒とかあったら、それに合わせて振らなきゃいけないし)



【ソウルボード】ヒカル

 年齢17 位階55

 3


【生命力】

【魔力】

 【魔力量】1

【筋力】

 【筋力量】3

 【武装習熟】

  【投擲】10(MAX)

   【天射】0

【敏捷性】

 【瞬発力】8

 【バランス】1

 【隠密】

  【生命遮断】5(MAX)

  【魔力遮断】5(MAX)

  【知覚遮断】5(MAX)

   【暗殺】3(MAX)

    【狙撃】3(MAX)

   【集団遮断】5(MAX)

【直感】

 【直感】2

 【探知】

  【生命探知】1

  【魔力探知】5(MAX)

   【探知拡張】3(MAX)



【ソウルボード】ラヴィア

 年齢16 位階35

 6


【生命力】

 【スタミナ】3


【魔力】

 【魔力量】15

  【魔力の理】2

 【精霊適性】

  【火】6

  【魔法創造】1


【敏捷性】

 【隠密】

  【生命遮断】3

  【魔力遮断】3

  【知覚遮断】3

   【集団遮断】3



【ソウルボード】ポーラ=ノーラ

 年齢19 位階22

 8


【魔力】

 【魔力量】7

  【魔力の理】1


【敏捷性】

 【隠密】

  【生命遮断】2

  【魔力遮断】2

  【知覚遮断】2


【精神力】

 【信仰】

  【聖】4

   【回復魔法】8

   【支援魔法】1



 ヒカルは変わっていないが、「魂の位階」はラヴィアが1、ポーラが3上がっていた。これはヴィレオセアン滞在時にモンスター討伐の仕事をしたりしたことによる。

 さすがに50を超えてくると位階もなかなか上がらないようだ。毎日毎日モンスター討伐に明け暮れれば別なのだろうが。

 ギルドカードの「職業」は、ヒカルが【上級天ノ遣神:グレーターエンジェル】とし、5つの「職業」をサブとして設定しているのだが、今回、数か月ぶりに確認したところ新しい「職業」があった。


【光ノ下僕神:ライトブリンガー】

【祓邪伐竜神:邪と戦う者】


 これを見つけたとき、「うーん」と唸ってしまった。おそらくいずれも、ドリームメイカーでの経験を元に出てきたものだろう。だが「下僕」というのがどうにも引っかかる。


(これじゃまるで、僕が世界のために使役されているみたいじゃないか)


 そんなつもりはまったくないし、ヒカルは自らの自由意志で竜を倒しにいこうと思っている。だから「ライトブリンガー」はナシだなと思った。

 最終的に選んだ5つは、


【上級天ノ遣神:グレーターエンジェル】

 【隠密神:闇を纏う者】

 【投擲神:デッドショット】

 【広域探知神:グランドソナー】

 【森林散歩神:フォレストウォーカー】

 【祓邪伐竜神:邪と戦う者】


 となった。

 ラヴィアとポーラもそれぞれ、【火炎精霊神:フレイムメイガス】、【回復魔神:エクストラヒーラー】の「職業」だ。

 ラヴィアについては「火魔法」6を上げていけば3文字神が出てきそうなのだが現時点ですでに過剰戦力気味なので、もしものときを考えればポイントを残しておきたかった。特にヒカルが心配している「免疫」系はまったく振っていないのだから。

 ポーラに関しては「生命力」項目のアンロックからなので残りポイント8というのは少々心許なくすら感じられる。ヒカルなんて3ポイントしかないが、自分よりも他人のことが心配になるものであるし、ポーラの回復魔法があればある程度のことは乗り切れるということも考えてはいた。

 外傷に特別な効果を持つ回復魔法も、解毒では少々効力が弱くなり、病気の治癒などは相当パフォーマンスが落ちる。もし3人のうち誰かが戦闘不能になれば、その時点で一度「逃走」を選択せざるを得ないだろう。

 そう考えるとポーラが生命線になるのでリヴォルヴァーの回復魔法弾丸はポーラを救助するぶんだと思っておいたほうがいいかもしれない。


「……リヴォルヴァー、これちょっとマズイよなぁ」


 使いまくったせいか、金属の銃身にガタ(・・)が来ている。

 いつ壊れてもおかしくないので気をつけたほうがいいだろう。それもあってラヴィアを連れていくことは理に適うとも言える。リヴォルヴァーが撃てなくなった場合、大量にモンスターを葬ることができなくなる。ラヴィアがいれば魔力が続く限り——しかも魔力は回復する——敵を倒すことができる。

 ともかく、今回の目的は邪龍討伐である。基本的には道中のモンスターはすべて無視して突き進むことになるだろう。




「ラヴィア、ポーラ、準備オーケー?」

「ん」

「はいっ、大丈夫です!」


 明け方、ヒカルたちは城壁の上にあった。風は東から吹いており、飛行には問題ない。ハンググライダーを広げたヒカルたちを、城壁の下で親衛隊たちが見守っている。


『じゃー、行ってくるから。あとは頼んだぞ!』

『ハッ!』


 ガリクソンが拳を胸に当てる形で敬礼すると、他の隊員もそれにならって全員で敬礼態勢を取った。


「よし、じゃ、行こう」


 ヒカルは言うと、最初に城壁を蹴って飛び出した。ラヴィアとポーラがそれに続き、彼女たちの姿がとけるように感じられる。気を抜いたら見えなくなるだろう——すでに「隠密」を発動しているのだ。

 同様にヒカルも「隠密」を発動中ではあるのでラヴィアたちにもヒカルの姿は見えない。ただヒカルは「魔力探知」を上限まで上げているので姿が見えなくとも位置は把握できている。

 彼女たちはお互いの姿が見えないためにあらかじめ着陸地点を指定しておく必要があった。


「……ポーラは上手いな」


 ハンググライダーの練習を始めて見ると意外なことにポーラが適性を見せた。本人も空の旅を気に入ったようでめきめき実力を伸ばしている。ラヴィアは、そもそも高いところが好きではないと言っていたから飛び方もどこかぎこちない。

 朝焼けが照らし出す森林地帯は美しい。

 この下に邪に汚染されたモンスターがうじゃうじゃいるとは考えられないほどだ。


「……元凶の邪龍を倒せば元に戻る……はずだけど」


 それより前に、自分の力で倒せるのかどうか。

 灰貴龍を葬ることができたから大丈夫だろうとは思っているのだが、灰貴龍をはるかに超える存在だったら?


「……やれることをやるまでだ」


 ヒカルは迷いにケリをつけ、最初の到着予定地点へと向かった。




 3人が消えた——文字通り——城壁を見上げていたガリクソンに、隊員が話しかける。


『行かれましたね』

『ああ……ほんとうは我らが女神様をお守りしたかったが、仕方ない。我らにできることをなそう』


 親衛隊が隊列を組んで街へと戻っていく。

 彼らも準備を整えて、近場のルーツの偵察と、周辺モンスターの討伐を行う予定だった。ルーツそのものを攻略してしまわないのは、各国軍の取り分を犯さないためだ。

 だが、


『ん』


 ガリクソンは眉をひそめた。

 夜が明けたばかりだと言うのに、建物の周辺に数人の兵士がいて、入口のドアも開け放たれている。

 その建物は連合国軍本部。

 各国の代表者が昼夜問わず詰めており、協議を行うための大会議室を備えたものだ。ドリームメイカーでは中央区画の役所だった場所でもある。


「どけどけ! 副長閣下がお乗りの馬車だぞ!」


 遠くから馬蹄が響き、馬車がやってくる。他にも複数の足音が聞こえている。あちこちからこの本部に向かっている人々がいるのだ。

 なにかがあったな、と感づいたガリクソンは仲間とともに本部へと向かう。

 彼らは「冒険者」扱いなので中に入ることはできないが、本部の外にたむろしているくらいならば咎められない。そこで、漏れ聞こえてくる言葉を——慣れない言語だったが、聞いた。


『なんということだ……』


 さほど難しい内容ではなかった。

 しかし緊急の用件であることは間違いなかった。


「——ランズハーヴェストがモンスターに制圧されたってマジ?」

「——みたいだぞ。まあ、誰も人間はいなかったから当然だろうけど……」

「——山のように大きな巨人が現れたとか」


 ヒカルが言っていた、本気で街を攻めるならば必ず使うであろうヤママネキの投入。

 敵は、確かに本気で人間をつぶしにかかっているようだ。


『——急いで街を出る。そしてルーツを叩く』

『え、本気ですか、隊長。敵がこっちを向いてるなら防備を固めたほうが……』

『逆だ。こちらが戦力を集中しているとなれば敵は攻めやすい。こちらはルーツを転々と叩いて回り、敵の戦力を散らす。我らが動けば動くだけ敵の戦力は拡散する。それこそが我らに与えられた役目』

『いいのですか。竜石は各国軍が欲しがるものでしょうに……』

『恨まれ、嫌われる程度、なんということもない。このドリームメイカーが陥落し、女神様が悲しむことに比べればな』


 ガリクソンは言いながら、仮面の少年のことを思い出していた。


『ボス……あなたの想定以上に事態は急変するかもしれませんよ』


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