94話 新技披露
「おっと、、、これは不味いな、、、敵の数もだが何よりも、、、あの中心の一際大きなゴリラ、、、あいつは強いぞ、、、全員に補助魔法を頼む、、、気貯蔵」
添島は中心のボスゴリラを見つめて言い。駆け出した。
「四重強化 撃防速」
山西が俺達全員に補助魔法をかける。身体が身軽になって力が湧き出る。ただ向こうもバフが掛かっている様なのでまともに正面から気螺大猩々クラス以上の奴らに対抗できるのは添島位だ。バフの効果はこちらの方が大きいが元々の力は気螺大猩々の方が強い。さっき添島が言った通り形勢は悪い。まずあの一際目立つ巨体のゴリラ。あれは気螺大猩々王だ。気螺大猩々の上位個体である。奴は気螺大猩々とは力や硬さが違う事や自身が率いる群れにバフがかかるのは当たり前として、更に強い点がある。それは
「ヴオォォ!」
「っ!?厄介な攻撃をしやがる」
キングオーラゴリラは遠距離からでも攻撃が出来る。オーラゴリラは気を体内でしか練ることが出来ないのだがこのキングオーラゴリラは空気中でも同じ事が出来る。つまり、不可視の衝撃波として攻撃を放つ事も楽々行うのだ。空気中から攻撃をするという事は隙が少なく回避しづらい。しかもオーラゴリラより俊敏かつ強力な攻撃を繰り出してくるキングオーラゴリラの攻撃を避け続ける事は困難を極める。だがな、、、!
「お先に頂くぜ!影武者」
俺が分身しようとしていたら亜蓮に先を越された。亜蓮は紫色のオーラを纏わせたナイフを次々とキングオーラゴリラに向かって投擲していく周囲のオーラゴリラの注意がキングオーラゴリラに向く。複数本投げたのはオーラゴリラ全員に対象にする為か、、、本来そのくらいの隙が出来れば添島は攻撃を決める事が出来る。筈だった。だが今回は相手が悪い。
「食らえ!」
「ヴオォォ!」
「何っ!?」
キングオーラゴリラは動きが鈍くなって自分の方向へと向かって来たオーラゴリラ達を邪魔だと言わんばかりに一切の躊躇無く衝撃波で吹き飛ばしてオーラゴリラの陰から攻撃を仕掛ける添島に拳を叩き込む。地味に亜蓮はオーラは纏わせていないものの小さな猿達を少しずつ葬っている。俺も仕事しなくちゃな、、、だけどそこら辺は重光に任せるのが良さそうだ。範囲攻撃なら重光の方が得意だ。重光ならばあの猿ぐらいの敵ならば仲間を守りながら戦えるだろう。そして、俺が戦うべき対象は、、、あのオーラゴリラ数体だ。亜蓮が気をそらしてその隙にインプレスエンチャントの一撃を叩き込んでやる。山西は強化要員だが重光が詠唱している間に襲ってくる猿達を倒して貰っている。あのデカイの?あれは添島に任せよう。ゴリラにはゴリラをぶつけた方が良いだろう、、、と言うかあれは添島以外相手出来そうにないがな。ただ流石の添島も一人ではあのボスゴリラの相手は厳しそうだ。それなら俺達がさっさとオーラゴリラを片付けてから向かうのが得策だろう。添島それまで耐えてくれ!
「内部圧縮属性付与火」
「ヴオォォ!」
「おい!どこを見ている?お前の相手は俺だ。気爆破」
(ドォォォン!)
俺が溜めていたインプレスエンチャントをオーラゴリラ二体を巻き込む様に放とうとした瞬間ボスゴリラが俺を邪魔するかの様に動いたが添島がその正面に回り強烈な爆風を発生させて、ボスゴリラと残りのオーラゴリラと後ろの猿達を巻き込んで吹き飛ばした。なんだ、、、!?あの技は、、、あの威力の攻撃で尚且つ範囲も広く添島は反動を受けていない、、、いや、違う二つの別の衝撃波を出して反動を相殺したのか、、、あれが添島の新技、、、俺はあまりの凄さに言葉が出なかった。だが俺も制御をしくじると不味いので集中して爆炎を放ちオーラゴリラ二体を吹き飛ばす。
「グォォォォ!」
そして俺が攻撃した個体は地面に叩きつけられ二体とも地面をのたうち回っている。そして添島が吹き飛ばした個体はダメージは受けているもののヨタヨタと立ち上がる。あの攻撃あるなら俺達要らないじゃねえか、、、俺は多少そう思ったのだが添島もその雰囲気を感じたのか言う。
「やっぱり燃費悪りぃな、、、いつもの安元程ではない無いがな」
多少毒が含まれていた気がするが実際俺の攻撃より燃費悪そうだぞ、、、?つまりはあまりあの技は添島的には使いたく無いのだろう。そして、一番問題なのは、、、
「グォォオォ!」
あのボスゴリラだった。奴は多少ダメージは負ったもののまだピンピンとしている。少し添島から離れていたとは言え何て耐久力だ。流石にグリフォンまではいかないが強敵なのは間違い無い。やっぱり下の階層に行けば行くほど敵が強くなるのを痛感するのであった。