85話 本来の固有スキルとは
「くそっ、、、!?何だよあいつ!?」
俺は何かエルキンドが拠点にみんなを連れて行く途中で俺に耳打ちしたかと思えば俺は広い広場にワープさせられており現在戦闘中だ。俺の目の前にいる生物?いや、あれもゴーレムの一種なのだろうか?最初に出てきた五メートル級のゴーレムと比べて多少は小さいものの背丈は三メートル近くあり大きい。そして細身である。だがそのゴーレムの肉体は木で出来た弾倉の様になっており的確に俺の位置を把握しそこに目掛けて木の種を噴出させたり長い手を鞭の様にして攻撃してくる。動きはそれなりに早く、回避できない訳では無いが的確に俺の軌道を邪魔してくる為上手く動けない。どちらかと言えばこちらのゴーレムの方が相性は悪いと言えるだろう。しかも部が悪い事にそのゴーレムは体を森の木々に隠れながら攻撃をしてくるのだ。そして、地面にぶつかった木の種は一種で大きな木へと成長する。多分あれは木の種と言うよりは何かの魔法である事は間違い無いだろう。エルキンドがゴーレムに魔法を組み込んでいるのだ。目の前のゴーレムの攻撃の威力はもちろん低めだ。耐久力があまり無い俺でも食らってもすぐに復帰できるレベルだ。だが、奴には手数と言う武器がある。これは消耗戦だ。マナを込めたナイフを投げるとしても当たったところであの攻撃は攻撃範囲に劣る為心臓などの弱点部位が少ない、、、いや、何処にあるか分からないゴーレムに対しては元々相性が悪かった。だが、前の動きの遅いゴーレムであればじっくりと観察する余裕があったのだ。ゴーレムはマナを流し込まれそれをエネルギーとして活用し、動いている。だから動く時にマナが放出されている場所を探れば自ずと弱点はわかる。だがエルキンドの作ったゴーレムは魔法の精度が高く殆どマナが放出されていない事をマナを細かく感知することの出来ない亜蓮には確認する術は無かったのだが、、、俺は茂みに身を隠しゴーレムの様子を伺う。広場の中心で悠々と動きを止めてゴーレムは周りの様子を確認していた。だが、勿論長い手は地面に既にセットしてあり迎撃準備は万端そうだ。くそっ、、、あいつの迎撃はかなり的確で殆ど隙が無い、、、せめてヘイトを別の方向に向ける事が出来れば、、、ん?待てよ、、、俺の固有スキルって、対象をマーキングしてそこに必中させるスキルだったよな?ナイフをナイフにマーキングして投擲するとどうなるんだ?やってみないと分かんねぇな、、、
「はぁっ!」
俺は対象をナイフにしてからナイフを投擲する。だが、ナイフは真っ直ぐと飛んでいき特に変わった事は起きなかった。ええ、結論何も起こらないかよ、、、複数のナイフで一つのナイフにマーキングを集中させてから投擲、、、いや、それをするくらいなら複数のナイフを敵にマーキングしてから投げた方が圧倒的に良いと思う。俺が今したいのは敵をマーキングするのでは無く敵がこちらのナイフをマーキングすると言う事なのだ。あれ?俺の能力って本当に敵をターゲットにして仕留めるものなのか?俺は自分の固有スキルに疑問を抱き始めるのであった。
〜〜〜添島視点〜〜〜
「やっと俺の番か、、、この前はエルキンドの邪魔が入って最後まで戦えなかったが今度は戦えるな」
俺は目の前のウッドゴーレムを視界に捉える。前回試して分かった事は強引に力で突破する方法では無理だと言う事だ。俺がオーラドームを使った状態でやっとあいつと力は同じくらいに追い付ける。つまり普通の状態だと確実に押し負ける。オーラドームを使えばしばらく動けなくなる為オーラドームを今使うのは得策では無い。前回は少し熱くなって奴の攻撃に合わせたが今回は違う。俺はオーラタンクを発動して走ってウッドゴーレムの背後へと回る。
「背後に周り込めれば俺のターンだ!」
俺は背後から剣を振りかざす。だがウッドゴーレムは背後を振り返る事はせずに地面から木の根を生やし防御する。勿論実際に鍔迫り合いを起こした自分は奴の耐久力を知っており背後から襲ったとしてもダメージが通るとは思っていない。だが、奴がよろけて大きな隙でも出来ればそこに全力の攻撃を叩き込めば十分にダメージを与えられると思っている。だが添島は勿論このウッドゴーレムは破損した部位を再生出来る事など知る由はない。エルキンドは元々このウッドゴーレムを倒させる気なんて無いのだ。問題は新たな自分の能力を引き出す事が出来るか出来ないかなのであった。