84話 読心術?
「いやぁー面白いモンが見れたぜ!はっはっは、、、」
エルキンドが上機嫌で山西を抱えて戻り、エルキンドの拠点でトランプをして遊んでいる俺達に言う。ええ、山西の時はエルキンドも見ててくれるんだな、、、俺の時はそそくさと帰りやがったのに、、、
「レディーファーストさ」
エルキンドは俺の不満そうな表情から読み取ったかの様に言った。何がレディーファーストだ。
「いやぁ彼は何か不満そうだけど次行こう。残りは二人か、、、それだったらなぁ、、、でもそれだと俺が楽し、、、」
「キュイィ、、、」
アクアは僕は?みたいな感じで鳴き、エルキンドは自分がやりたいボードゲームを模索し、なかなか決まらない。もう残り二人だとジャンケンでいい気がするんだが、、、残り二人?あれ、、、あと一人居たよな、、、確か。そして、エルキンドはポンと手を叩いた。
「ああ君は契約竜かな?それにしてもこの種は珍しいね、、、育てれば強くなるよ。この子は本能的に何かを覚えると思うし契約主が強くなればこの子も強くなるからご主人様が強くなれば問題ないよ。ううん、しょうがない、、、将棋をやろう。観ることも戦略を組むのに大事だ」
「キュイ!」
アクアは分かった!と言うように鳴き、何故かエルキンドは俺の方を見ていた。いや、まるで俺に何かを伝えたいように言葉を不自然に強調して話す。俺か?アクアの事か?いや、エルキンドが強調したのはその部分じゃない。最後の部分だ。もっと視野を広く、、、観察、、、いや、分からない。エルキンドは他の仲間の訓練の様子は一切見せてくれれない。だから余計にその意味が分からなかった。もし、俺に観察すればアイデアが浮かぶかも知れないとエルキンドが思っているとしたら何か別の事だろう。だが俺はその事が浮かばなかった。その時添島の声が俺の思考を遮った。
「いや、いい俺が行く」
添島はエルキンドの将棋の提案を断った。エルキンドはやや不満そうだがエルキンドもそこまで執着する物でも無いと割り切ったのかウィンクを決めてオーケーマークを出す。こいつやっぱり自由人だなぁ、、、俺が言えた事ではないが。
「じゃあ俺が転移させるからそこでウッドゴーレムと戦っててくれ。俺はここで遊んどくから」
エルキンドはそう言って、苦笑いする添島をワープさせる。あいつ男は無視か、、、ってそう言えば、、、亜蓮がいない、、、俺は今更その事に気がつく。ババ抜きをした時点で亜蓮の姿は既に無かったのだ。あいつババ抜きだけにひっこ抜かれたか?いや、それとも近くのモンスターに、、、そんな事を考えそわそわしていると
「彼の場合ちょっとあのウッドゴーレムじゃ、新たな能力を獲得出来そうに無かったから別の子に相手して貰ってるよ」
エルキンドは少し申し訳無さそうに言う。新たな能力を獲得出来そうになかった?どう言う事だ?亜蓮はグリフォン戦で火力も出るようになり、更にスピードは俺達の中でもトップクラスだ。あの動きの遅いウッドゴーレムとは相性は良いはずだ。いや、ロークィンドの世界で生きてたエルキンドの事だ。何個か固有スキルを知っていたりそのスキルの応用で現在俺たちの技術で取得できてもおかしく無いものを考えて敵を変えていたとしてもおかしくは無いだろう。いや、だが、、、そこまでやる為にはそのスキルを詳しく知っていなければ出来無い芸当の筈だ。
「君は良く考えるね、、、その通り。俺は固有スキル持ちだよ。『鑑定』って言うスキルだ。俺の鑑定はそれなりに高位の鑑定で大体の物が理解出来るし、相手の大体の強さも分かる。ただ、固有スキルや一部のレアなアイテムとかは流石に候補が何個か出るか曖昧な感じで頭に入ってくるから俺でも固有スキルに関してはそこまで詳しくは分かってないよ。普通にここまで鑑定スキルを上げるってなったら難しいだろうね。いやほぼ無理だね」
鑑定スキル、、、なにそれ欲しい。エルキンドは心をまた読んだかの様に、、、ってこいつ魔法使って俺の心を読んでやがるな、、、
「いやぁ、バレちゃったか、、、まぁある程度マナを制御出来る人ならば簡単にレジスト出来ちゃったりするからあまり使えないんだけどね。武術経験が無い貴族には昔良く使ってたよ。使ってもバレる事は無いし、そんなに露骨に相手の心から読み取った事を話すわけでも無いしね」
エルキンドは笑いながら言う。いや、怖えよ。大体なに考えても俺の考えはあいつに筒抜けっ事じゃないか、、、勘弁して欲しい。せめてこいつの読心魔法くらいはレジスト出来るようになりたいと思う俺だったのであった。