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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
8章 森エリア
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81話 男爵様の経緯談

 安元がウッドゴーレムと戯れている頃エルキンド達はエルキンドの家でボードゲームを楽しんでいた。

「ダウト!」

「ありゃりゃ、見破られたか、、、俺はこれでも偽政をしてきたつもりなんだけどな、、、だから仮当主にしかなれなかったのかもな、、、」

 エルキンドは首を掻きながら答える。

「いや、そりゃ偽政も何も相手の心情を読み取るコントロール系の魔法を禁止にした瞬間これだから元々それで相手の心を読んで来たんじゃないのか?ハートの七」

 添島がエルキンドに冷静にツッコミを入れながらカードを上に重ねる。

「ダウト!」

 エルキンドが叫ぶが

「残念。俺は嘘は付いていない」

 だがエルキンドが裏返したカードにはダイヤの四のカードが裏返しになっていた。

「お前またズルしただろ?」

 エルキンドはつい、、、と言いながら謝る。

「そもそもだ、お前は一体何者なんだ?それと安元を放置して大丈夫なのかよ」

 添島が自分の番を待ちながらエルキンドに質問する。

「まぁ、そう焦るなよ。話せば長くなる。まず俺はロークィンドって言う世界の出身だ。それでこの迷宮も元々ロークィンドの世界の一部分だったのさ」

 エルキンドはカードを全て置いてあがる。誰もダウトとは言わない。

「そして、俺がここに来たのは約千五百年前、、、ロークィンの世界で大戦争、、、次元戦争が起こった年だ。あの時俺は地方の豪族に雇われて迷宮を探索していたんだ。あの時はまだこの迷宮もここまでの強さは持っていなかった」

「千五百!?ってまたそれは凄え昔だな、、、アンデットになったって事はここで死んでずっと生きてるんだろつが、お前ほどの強さを持つ人間がここら辺の階層でやられるとは到底思わないんだが、、、」

 添島は疑問の表情を浮かべてあがる。


「俺もここじゃ負ける事は無いと思ってたよ。あの当時でも俺は君達の世界の格付けで仮定するとAランクの冒険者だったんだ。おっと勘違いして欲しく無いのが冒険者ギルドはただの仲介業者の様な物だ。依頼者に信頼と安全がある程度保証された冒険者を派遣するのと引き換えにギルドは冒険者に仕事を仲介する。良いフリーの仕事さ」


  エルキンドは俺達に釘を刺した。仲介業者って事はエルキンドが元いた世界の冒険者ギルドは仕事以外にも売買取引や治療などのサービスも有料の仲介をしているって感じなのか?まぁ、確かにそれだと互いに利益が成り立っているな。冒険者とかあまり美味い仕事では無さそうだし。


「何故か地球人は殆どが冒険者ギルドを傭兵ギルドとか開拓ギルドか何かと勘違いしてる人が多いから一応釘を刺して置くよ。それはさて置き、仮当主の権利を得ててこの迷宮を探索し終えたら戻って男爵の爵位を継ぐ予定だったんだ。だけどな、ここの迷宮は信じられない事が起こっていたんだよ」

 エルキンドは急に真面目な顔をしていう。

「まずこの迷宮は次元戦争の時に起こった次元の亀裂によって場所は隔離、、、いや世界が丸ごと隔離されてしまった。そして、信じられない事にこの迷宮の核が自らの意思を持って動き出した、、、そして、奴に追われて負けた」

 エルキンドは悔しそうにぶつぶつと語る。

「あがりね、、、疑問があるんだけどその核は私達を殺しに来てないのよね?それはどういう事かしら?」

 重光があがり山西が負けて重光はエルキンドに説明を求める。

「やつなら数百年前に奴は自ら呼び出した勇者に封印されて最下層から出られなくなってるぜ、、、だが、もうその封印も長くは無いだろうな」

「さて続きは後にしよう。そろそろウッドゴーレムのマナが切れる頃だ。別にここからマナのバイパスを繋いで長期稼動も出来たんだがそうすると難易度上がっちゃうからこうした訳だ。まぁ、すぐ戻ってくる」

 そしてエルキンドはワープして居なくなってしまった。

「本当にあのエルキンドって何者なのか全然分からなかったな、?ロークィンドっていう世界のことは知れたのは確かだな、、、ってちょっと待てよ、、、これ元の世界に戻れたとしてもロークィンドに戻るんじゃないだろうな、、、?」

 その場にいる全員が息を呑む。

「まぁ、良い。今はこのエルキンドっていう奴が俺達を鍛えてくれるって言ってるんだから鍛えて貰おうぜ!」

 添島は精一杯静かになった空気を取り戻す様に笑い始めた。なお俺達が遊んでいたこのトランプは木製で数十年前にエルキンドがトランプという遊びを知った時に自作したものである。その頃安元の場所ではエルキンドによる指導が始まっていたのであった。

「最初の段階でウッドゴーレムを倒せとは言ってないぜ。しっかり機会を見定められる様に俺が能力を引き出してやるよ。そうすれば、自然とその能力は力になるぜ」

 試合を止められた安元に対してニヤニヤしながら自論をエルキンドは熱論するのだった。


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