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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
8章 森エリア
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80話 見極め

ウッドゴーレムは右腕を振り上げ俺目掛けて振り下ろす。巨大な体格からかその攻撃は俺にでもゆっくりに見える。動きは遅くて避けれない程じゃないか、、、俺は後ろに下がりウッドゴーレムの拳を躱す。普通のゴーレムを生成する魔法は本来中級魔法の位置付けだ。重光のマルチフレイジングランスも中級魔法だ。このウッドゴーレムも普通のゴーレムならば、俺でも流石に勝てる。そんなレベルなのだ。普通はだ。ゴーレムは元々戦闘用では無く運搬作業などに使われており戦争の道具では無かった。だがそれを改良して出来たのが戦闘型ゴーレムだ。あのエルキンドの事だろうから普通のゴーレムだとは思っていない。実際力だけで言えばオーラドーム状態の添島と勝負出来るくらいだから力では俺に勝ち目は無い。だが動きが遅いって言うのは俺の高火力技も放てると言う事だ。さて、一発いきますか、、、俺はゆっくりとマナを込め始めた。そしてマナを貯めながらもウッドゴーレムの鈍重な攻撃を躱し続ける。そして時は来た。

内部圧縮属性付与インプレスエンチャントファイア

俺はウッドゴーレムに向けて爆炎を撃ち放つ。それに対してウッドゴーレムは片手を盾にするかの様に右腕で自分を守った。耐久力はありそうだな、、、だけどそこまで強い様に思えない。その時だった。

「っ!?」

爆炎が直撃し漂っている煙の中から何かが俺目掛けて飛んでくる。蔦だ。そして俺は刀を腰から引き抜いて蔦を断ち切る。そんな手は俺には効かねえぞ、、、?そう思っていると蔦の一本が地面に向かって突き刺さっているのが見えて俺は嫌な予感がして後ろに飛び退いた。

(ドッ!)

蔦の一本が何本かと合体し地中から中の物体を包み込む様に螺旋状に捻れ瞬時にツリーが形成される。あぶねー、、、あれ食らってたら身動きが取れなくなるところだった、、、だが、それがどうしたって感じなんだが、、、しかし煙が晴れて俺は衝撃を受ける。

「なっ!?」

俺のインプレスエンチャントの爆撃を食らった右腕は何事も無かったかの様に再生していたのだ。落ち着け。効いていない訳じゃない筈だ、、、ゴーレムはマナを貯蓄している筈だ。それならば押し切れる筈だ。だがそのまま俺は戦闘を続けてかなりの時間が経った。

「はぁっはぁっ、、、一体こいつはどれだけのマナを貯蓄出来るんだ?」

俺が精神的に参ってきた頃だった。ゴーレムの動きが止まりエルキンドがやってきた。


「いやぁ、やっぱり遊戯は良いね。職務から離れられる。まぁ、今となっては職無しだけどね。ハハハ」


笑顔のエルキンドが皮肉を語りながらマナを供給しにきた。


「これでリセットだね。君が攻撃を開始するとゴーレムも動き出すから頑張ってくれ。俺はトランプをしてくる」

そう言ってエルキンドはまたワープした。はぁ、、、ウザい、、、。俺は支給された飯を食いながら体力を回復させてもう一度ウッドゴーレムに挑む。するとウッドゴーレムは動き出し再び地面に蔦を埋め込んだ。何度も同じ手に引っかかるかよ、、、と思っていた時期が俺にもありました。

「は?」

蔦を地面に埋め込んだ瞬間俺を含む周囲が植物の根で盛り上がり、壁の様になる。そして、壁が俺に襲いかかる。

「ちょ、、、こいつ!戦闘パターンランダムかよ!」

俺は迫り来る壁を見て瞬時に腕にマナを込める。

「それじゃあダメだ。一旦終了だ」

だが俺の技は、放たれる事は無くエルキンドの声が聞こえ俺は意識を遠のかせて失ったのであった。

「お前達の成長はこれからだ。既存の方法で何とか出来るならば苦労はしない筈だ。俺がお前達に新たな技、、、いや、考え方を与えてやろう。お前達が今すべき戦いは倒す戦いではない、、、お前達が今すべき戦いは逃げる戦いだ。その見極めが今後を分けるぞ」

エルキンドは意識を失った俺を見てそう呟きウッドゴーレムを停止させたのであった。


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