76話 鷲獅子王の本気
「はぁぁあ!」
首から鮮血をあげグリフォンは悲鳴をあげた。そして、添島はまだ攻撃を仕掛けている途中だ。
「グルル!」
グリフォンは首元から血を滴らせながらもその瞳はしっかりと添島を捉えていた。グリフォンは悪い姿勢で添島の攻撃を脚でいなすが流石に体勢が悪過ぎたのか後ろに吹き飛ぶ、、、いやあれは衝撃を逃がすために自分から跳んだんだ、、、相変わらず凄まじい戦闘能力だ。グリフォンは身体を反転させて受け身を取り地に足をつけて首を高々とあげた。
「グルルルルルルルルルル!」
そして、グリフォンはお遊びはここまでだとでも言うように先程までとは比べ物にならない威圧感を放ち咆哮する。そして、その咆哮で吹き荒れる暴風で添島は吹き飛ばされるが再び剣を構えてグリフォンに向かって攻める。俺の頰から大粒の汗が零れ落ちる。さっきのはそれほどの威圧感があったのだ。今までとは目付きが、、、!?俺は援護出来ればとインプレスエンチャントのマナを込め始めた時信じられない物を見た。
「がぁぁぁぁぁあ!」
「添島ぁぁあ!」
再び上段に剣を構えて攻めに行った添島がグリフォンの蹴り一撃で完全に押し負けて地面から土煙をあげながら吹き飛ばされたのだ。
「多重雷火槍!」「グルル!」
「なっ!これは不味い!」
重光がグリフォンが蹴りを入れたタイミングぴったりで魔法を撃つがグリフォンは宙返りをする様に跳び上がり蹴りの衝撃波と風圧で魔法を爆散させる。これは不味いと思い俺はグリフォンの懐に潜りインプレスエンチャントを発動させる。
「内部圧縮属性付与!火!」
俺は確実にグリフォンにぶつけた自信があった、、、だが、、、
「グルルルルルル!」
「なっ!?」
グリフォンは黒煙の中から翼をはためかせてそのまま俺を脚で掴み地面に叩きつけた。
「があっ!」
グリフォンの一撃で脳が揺れ意識が飛びかける。そんな馬鹿な、、、っ!直撃はギリギリ避けていたと言うのか、、、っ!
「うおおぉぉぉ!」
俺はその時添島の声が聞こえた気がした。そして、
「グルル!」
添島は今までに無いようなスピードでグリフォンに近づき全力の下段斬りをぶちかます。気貯蔵のエネルギーを更に出力したのか、、、!?添島は血だらけになっておりかなり辛そうだ。それ以上出力をあげたら身体が保たないぞ!だがその添島の渾身の一撃にも関わらずグリフォンは距離を取って下がった。だが添島も猛犬の様にグリフォンに向かって突っ込んでいく。
「四重強化 撃防速」
山西が効果時間を切れそうになった強化魔法を継続させながらグリフォンの後ろに回る。山西はマナはまだ残っているようだが五重は流石に無理なようだ。するとグリフォンはそれを察知したのか添島の背後に回り添島を掴み投げ飛ばして、山西は尻尾で吹き飛ばす。山西は槍でカウンターを狙ったが威力負けし吹き飛んで地面に転がり込んだ。そして、次の標的、、、重光の方向へとグリフォンが飛ぶ。
「多重防御壁!」
「っ!?」
重光が複数の透明な障壁を展開するがグリフォンはそれがどうした?とでも言わんばかりにバリアを蹴りで破壊した。だがその時だった。
「気貯蔵!、、、拡張!圧縮!」
添島がエネルギーの渦をドーム状に展開し自分の方向に放出させて有り得ないスピードでグリフォンの胸元へ詰め寄った。なんだ!?あの技は!
「この技は負荷が大きくてな、、、一回使うと動けなくなっちまうんだよ、、、!つまり!奥の手だ!気円蓋とでも言っておこうか!」
そして添島はそのまま大剣をグリフォンに向かって振り払った。
「グルルルルルルッ!?」
そして添島の大剣が出る速度に咄嗟に反応したグリフォンは悲鳴をあげて、足から血を流しグリフォンは押されて空中へ一旦避難して衝撃を逃がす。そして動けない添島の背後から急襲を仕掛けて添島を空中に打ち上げた。俺は咄嗟に溜めていたインプレスエンチャントを放つ。
「内部圧縮属性付与火!」
「グルルルルルル!?」
添島に完全に注意が向いていたグリフォンは悲鳴をあげ俺の方へと意識を向け急襲を仕掛けてくる。重光は添島を回収し、治療にはいる。不味い!避けられない、、、無茶な事は分かってる、、、だが!俺は痺れる腕を奮い立たせ咄嗟に全力でマナを両手に込めた。