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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
6章 沼地エリア
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52話 大食漢

一旦ボスと距離を取り作戦を練る事にした俺は案を思いつき仲間に話す。ボスはこちらを眺めているものの何もしてこない。正直この作戦はあのボスに対して効果があるのかどうか分からない。だけどリスクはそこまでないので全員俺の作戦には肯定の意を示す。その合図を皮切りに俺は腰のマジックバックに手を突っ込み叫ぶ。

属性付与エンチャント!(ファイア)!」

俺は肉を取り出しながらそれなりのマナを肉に込めてエンチャントして肉を放り投げる。俺のエンチャントがかかった肉はめらめらと赤い炎を勢い良く放出しながら亀型の巨大なモンスターの目の前に落ちる。

「グルルルルルル!」

めらめらと燃える肉を前に奴は嬉しそうに肉を頬張って飲み込んだ。

「おいおい、お前、、、これは、ただ肉を焼いて与えただけなんじゃ、、、」

添島が呆れた様子で呟く。いやそんな筈はない筈だ。しばらくの間は奴の体内に入ってもあの火は燃え続ける筈だ。ただ火を付けただけだったら俺のエンチャントの需要性が問われる。とは言ってもここまで仲間のサポートしか出来ていないのは歯痒い部分なのだが。奴が俺が火属性を付与した肉を食べて直ぐの事だった。変化は訪れた。

(ブシュゥゥウ!)

奴の背中の管から出る毒煙が突如加速してで始めたのだ。ほんのり普通の煙が混ざっているように思う、、、もしかして、逆に強化させてしまったか?、、、これで火属性はダメな事が分かった、、、そして次に俺は肉に氷属性を付与して奴に食わす。すると、毒煙の出る速度が多少は下がった。あのモンスターは蒸気機関かよ、、、もしかしたら何を体内にぶち込んでも自身のエネルギーに変換しているのかもしへない。もしそうだとすると勝ち目は無いだろう。流石にドラゴンでも体内への攻撃なら通ると思ったんだが、、、威力不足か?いや、、、まだわからない。俺はそう思い次は雷属性が付与された肉を奴に食わせた。そして、それはこれまでの俺の予想を覆す結果となって俺達に襲いかかった。

「ぐっ、、、」

雷属性の肉を食った奴の背中の管からは紫電が迸り毒煙の水分を伝い俺達を襲う。

「馬鹿野郎っ!早くこの電撃を止めろ!」

範囲防御壁エリアバリア!」

添島の怒号が響き重光がバリアを俺達の周囲に展開し、俺達は難を逃れる。

「はぁ、、、もうお前の作戦に付き合ってられるかよ、、、とは言っても奴を倒す策がある訳でも無いんだよなぁ、、、」

添島は効果をなさない俺の策に頭を抱え呆れた様子を示すが本人も奴にダメージを与えるヴィジョンが思い浮かばないのか歯痒そうだ。

「まぁ、最後までは試してみるよ、、、」

俺もこれで駄目だったらもうキツいんだが、、、さっきので少し分かった事がある。それを試したいんだ。俺はそう思い土属性を付与した岩の塊のような肉を放り投げる。勿論奴はボリボリと岩が砕ける音を響かせながら肉を頬張る。そして、奴の背中の管からは砂埃の様な煙が毒霧に交じって見えた。そして、少し奴の身体から放出しているドロドロとした毒々しい液体の粘度が増した気がする。これで俺は確信に至った。奴は食べた物をエネルギー変換しているのでは無い。何故直前に同じ物を見ておいて気がつかなかったのだろうか、、、奴は食べた物によって身体から出す攻撃の属性が変わったりする。直前にこいつの下位種の亀型のモンスターから毒が出ている事を確認したばかりだったのに気が付かない方がおかしかった。一応その後風属性を付与した肉を食べさせたが効果は俺が想像した通り、、、毒霧の出る速度が加速した。これで奴の生態は分かったわけだ。ん?待てよ、、、これが分かった所で全然奴を倒すイメージが浮かんで来ないんだが、、、詰んだな。だがその時俺の中で一つ無謀とも言える案が頭に巡る。、、、この方法なら奴にダメージを与える事は出来る、、、いや、もしかしたら倒す事が出来るかも知れない、、、だが、リスクがでか過ぎる、、、この方法はどうやっても不可能だ。

「少し良いか?一応奴を倒す方法を思い付いた」

俺の先程の案が無駄だと分かり頭を抱えて真剣に奴を倒す方法を考えている仲間達に俺は話しかける。

「今度はどれくらい信じたら良いんだ?」

添島が半分信じていない様な目で言う。

「いや、今回は成功すれば奴を倒せる!だが、今の所この方法は実現不可能なんだ、、、」

そして俺はこの作戦を成功させるにあたって必要だが現時点で不可能な原因を話す。その不可能な原因とは、、、あの毒霧だ。まずこの作戦は俺が直接奴の体内に入りそこで暴れると言うものだった。幾ら竜種とは言えども体内で全力で暴れられたらひとたまりも無いだろう。痛い位では済まない。内臓、、、その部分はそれだけ弱い部分なのだ。だが、この作戦を実行するにはこのアクアが精製したドームを出る必要がある。アクアがドームの位置を制御しながら俺が体内に入れば良いと思うだろうが奴の体内に俺が入ってしまうとアクアは俺の居場所を正確に察知できないだろう。それに奴の体内で魔法を外側から具現化できるかどうかは不明だ。逆にそれが出来るならば最初から重光がしている筈だ。体内にいきなり魔法を精製してぶっ放す。それが出来れば俺がこんなリスクを冒す必要なんて無いだろう。そんなこんなでこの作戦は実行不可能なのだ。アクアを一緒に連れて行く事も考えたが、それは難しい。奴の体内には勿論胃酸はあるだろうしアクアはまだ空を飛べない。そんなアクアを抱え込みながら体内で暴れるのは難しい。俺は自身に岩を纏わせて奴の体内に入るつもりだ。そうすれば胃酸による溶解の時間を伸ばす事が出来ると俺は考えていた。土魔法も使え、バリアも張れる重光を一緒に連れて行く案もあったが奴のの外側で何かあった時にガードとかが難しいという理由でそれは却下された。俺はどうすれば、、、

「キュイイ!」

そう悩んでいるとアクアが俺に対して吠えた。何かを俺に伝えようとしている?だが俺にはアクアがこの状況で何を言おうとしているのか分からない。もしかして自分を連れて行けと言っているのか?それは先程も言った通り無理だ。

「アクア、、、だからな、、、お前を連れて行くのは無理なんだよ、、、」

俺はアクアに言う。だがアクアは首を横に振り再び何かを俺に伝えようと吠え続ける。俺は必死にアクアの伝えたい事を模索し、読み取ろうとするのであった。


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