50話 拠点へ
いつのまにか50話、、、ストック無しの連日更新のせいか、日に日に文字数が減っている気がします、、、後書き追いついていなくて申し訳ないです。
「ん、、、」
ふかふかの布団の様な物はないけど、それなりに寝心地は悪くない重光さんの即席拠点で私達は目を覚ます。それから昨日焼いておいた鳥の残りと芋を食べて今日も探索を開始する。それから歩き始めて私達が次の階層への階段を発見するのにそこまで時間はかからなかった。思ったよりも私達は進んでいたらしい。近くに倒れていた巨木は気になったがそれよりも私達は階段の方に注意が向く、、、そこには、
「よぉ、、、」
全身に紫色の斑点模様を浮かび上がらせ階層の狭間の壁に背中をもたれさした添島の姿があった。そして、その添島は私達に気がつくと弱々しい声で声をかける。
「添島くんっ、、、!?異常回復!」
それを見た重光さんは焦燥した様子で添島の方へと走って行き添島の体内の毒を取り除く。
「ありがとよ、、、ゴホッ、、、ゴホッ、、、」
添島の毒は取り除いたものの添島は相当体力も消耗しているようでまともに探索が出来る状態では無かった。私達は腰のポーチに入れておいた昨日倒した巨大な鳥の焼いた肉の残りを全て添島に分け与える。添島は私達と別れてから殆ど何も食べていなかった様で貪るように食べた。本人曰く食べた物はあの鳥の血液のみらしい。よくもあんな生臭い血液を飲む事が出来たとは思ったが、調理手段が切るくらいしか無いのなら仕方が無かったのだろう。私なら飢え死んでいてもおかしくない。添島の生命力は目を見張るレベルだわ、、、重光さんはどこか添島に好意を抱いている様に見えた。そして、安全な階層の狭間で添島の体力が戻るまで休んだ私達は次の階層の特徴を添島から聞いて出発する事にした。とは言っても数時間休んだだけで動けるようになる添島も添島だと思ったのは私だけなのだろうか?そして、転移碑が無かったのでそのまま私達は先に進むことにする。
「範囲状態防御壁!」
重光さんがドーム状の透明な薄黄色っぽい色のバリアを張る。重光さん曰く普通のエリアバリアと違い攻撃は貫通するものの制御がしやすいらしく、普通のエリアバリアだと動きながら張るのが難しいがこのバリアなら動きながら張る事が可能になる。本来はドーム状でなく身体に密着する形で張れれば良いのにね、、、と本人が言っていたけどこれでも充分だと思う。そして、もう一つ重光さんは氷魔法を使って地道に高温の沼地を冷却していく。だけどこれは骨の折れる作業だ、、、マナリンクで無限に魔力を供給できる重光さんだからこそ出来る技ね、、、流石に腰ほどの深さがある沼地は土魔法で進むのは難しかったようだ。こうして私達は地道に目の前の沼地の温度を風呂より少し暑いくらいまで下げては進む作業を繰り返しながら進んで行く。空中から私の大嫌いな虫達が飛んでくるが亜蓮がナイフを軽く投擲して葬り、間合いに入られたとしても私か添島が虫を撃墜する。私は虫に対しては慈悲なんてものは無い。そして、その作業を繰り返す事丸一日。ようやく遠くに次の階層と思われる階段が見えた。途中で亜蓮の投擲できるナイフも無くなったので亜蓮は近接に切り替えていた。食料は何故か道中にこんがりと加熱調理された生き物がいたのでその中でも綺麗なものを戴いた。そして私達はまさに疲労困憊と言う言葉がぴったりな様子で転移碑の元へと辿り着き拠点へと転移する。私達が転移碑に着いた時にはもうとっくに夜を回っていた。拠点に着くとお爺さんが私達に回復魔法をかけてくれて細かい傷を回復してくれた。安元がこちらへと近付いてくるが今の私達には喜びたい気持ちはあっても喜ぶ元気などは存在しない。安元の様子を見る限りかなり前にここに到着していた様子だ。安元も疲弊した私達の様子を見て遠慮したのか何も言わずに私達を見送った。それを横目に確認した私達は拠点の布団に倒れこんだ。そして、翌日私達は先に拠点に着いていた安元と話をしたのだけど、、、あの高温の沼地の原因はてめぇかよ!?
「お前のせいで私達は大変だったんだからね!?」
安元に私は突っかかる。
「キュイイ!」
横から喧嘩はやめて!みたいな可愛い鳴き声が聞こえてくる。
「え?」
昨日は疲れていて気が付かなかったのだろうか安元の隣には可愛いドラゴンの赤ちゃんが大人しく座っており困ったように鳴いていた。安元曰くこの子にはアクアと言う名前をつけたらしく小さい割に結構助けてくれるらしい。
「アクアちゃん、、、安元を助けてくれてありがとうね!」
「キュイ!」
私がアクアに声をかけるとアクアは嬉しそうに一吠えし私に頭を擦り付けて来た。べ、別に安元が大事な訳じゃないから、、、ただ、生きててくれてありがとう、、、って事ね、、、夜一人で不安になって泣いていた事は内緒だ。なのに、、、いつものほほんとしている安元の態度が私は気に入らなかった。今回も私の気持ちはつゆ知らず安元はのほほんとしている。それに腹が立って私も強く当たってしまうのだ。それくらいは分かって欲しいものだ。こうして私達は安元と合流し、メンバー全員が再び揃ったのであった。