48話 追跡
「ぐっ、、、」
俺はぐらぐらと痛む頭ときしきしと悲鳴をあげる身体を起こし目を覚ます。確か、、、俺は、、、
「やっと気付きましたの、、、貴方が死なないように沼地から助けておきましたわ、、、それ以外の処置は何もしていないのですわよ」
ぐらぐらする頭を振り。歪む視界を無理矢理抑えつけて俺を助けたという女の方を確認する。そこには金髪の長い髪をカールしておりかなり美形と言っても良い女性が立っていた。そして俺は二十三階層と二十四階層の間の階段の所で横になっている。
「何故を俺を助けてくれたんだ、、、?」
俺がそう聞くとその女性は別の事を話し始めた。
「貴方の仲間さん、、、貴方の後ろから三人向かって来てますの、、、」
その女性はそう意味深な言葉を呟き俺に背を向ける。
「ちょっと待ってくれ、、、礼を言いたい、、、俺を助けてくれてありがとう。」
俺はその女性に礼を向く。その女性は少し口元を綻ばせた後真っ黒の影に包まれ消えてしまった。何だったんだ、、、さっきの女は、、、?後ろに三人俺の仲間がいると言うのだ。何処から情報を得ているのかは不明だ。もしあの女の情報を信じるならば俺はここで待っていた方が良いだろう。そして、俺が待ち続けて数時間後の事だった、、、自身の身体に所々紫色の斑点のような物が浮き出ており、体力的にも探索を一人で続けられる自信も無い。そして今の気の残量から考えると気を広げて展開する事は出来そうにない。それならば重光などを待って毒の解除を頼み慎重に進んでいきたい所だ。そう思い俺は重光達を待つために階層の狭間でゆっくりと座り体力の消耗を抑えて重光達を待つ事にしたのであった。
〜〜〜山西達三人side〜〜ー
重光さんが安元の指示に従って魔法を唱えたのだが、効果は無かった。そして、安元が消えた。昔から安元は注意力が足りない。そして、添島も消えた。全く、、、なんでこうも男ってこうなるのかしら、、、私は周りを見渡し亜蓮を見る。アレがいたか、、、完全に忘れていたわ。だけどここで悩むべきはどうやって進むかよね、、、まずこのメンバーだと誰かはぐれたら終わりな気がする。私のスキルは補助向きスキルだし実力も劣っていると思う。この中で一番頼りになるのは重光さんね。
「はぐれちゃったわね、、、どうしましょう?」
私は重光さんに尋ねる。
「まずは安元くんや添島くんの動きを音波探知で探ってそれを追いかけましょう」
重光さんはそう言いソナーを発動させた。確かにこれならまだ近くにあの二人がいるならば追えるはず。
「うーん、、、あの二人らしき人物の場所は分かったのだけれど片方は猛スピードで移動していてとてもじゃないけど私達が追いかけられる速度ではないわね、、、もう片方はそこまででも無い速度で動いているのでそちらに向かいましょう」
恐らく物凄いスピードで移動している片方は添島だろう。安元もどちらかと言えばスキルは補助向きに近いから一人だと大変な筈だ。そして、重光さんの土魔法を使って地面を歩きやすくしてから私達は歩きを進めた。そして、暫く歩いた頃に私は気がついた。食料、、、安元に全部の食料を持たせたので私達の食料は一切残っていない。そしておかしな事にここを歩いていて食べられそうな生物には遭遇していなかった。困った。お腹の音が鳴る。
「重光さん、、、あいつらを追うのは良いんだけど、、、食料はどうするの?」
私は不安になり魔法を使いながら歩いている重光さんに話しかける。
「んん、、、山西さんは知らないと思うけどね、、、湿地帯とか沼地って意外に食べ物あるんだよ?見てて」
確かに食べ物が無ければ鳥や魚などの生き物は繁殖する事は出来ない筈。だけどこの階層では鳥も魚も発見出来ていない。もしかしたらいるのかも知れないけど。そして重光さんは徐に地面に手をかざし地面を隆起させ始めた。何をしているのかと思ったら地面の奥底から何かを掘り出しているらしい。すると地面から大きな芋の様な物が出てきた。
「ほらね?食べ物あるでしょ?まだ、この階層で生き物と言う生き物にはあっていないけれど多分虫とかそれを食べる鳥とかはいると思うわ」
成る程ね、、、泥の塊の様な生き物?は分解者で小さな微生物とかは地面に混在しており、昆虫も地中に潜っていたりするわけね、、、出来れば虫には会いたくはないのだけどね。そして、かなりの時間を歩き私達はご飯の時間にした。重光さんが芋で料理を作ってくれて有り難かった。そして私達は眠る事になる。そして、朝大きな音と共に目を覚まして重光さんが前日と同じ様にソナーを使う。だけど重光さんが不思議な顔をした。どうしたのかと尋ねると安元と添島どちらの反応も無くなったらしい。ソナーの反応範囲から外れたか、、、もしくは、、、いやそんな事は考え無いようにしたい。私は不意にも安元と顔を思い浮かべて生きている事を祈るのであった。