表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
1章 チュートリアル
5/544

4話ジジイの観察眼

今回短めです。

  と言うわけでなんだかんだ訓練を開始する事になった俺達なんだが……ちょっとジジイの言っていた内容を整理してみようか……。


  まず、俺達が扉を開いて気付いたら知らない場所にいてジジイ曰くここは異世界?的な元の地球とは違う世界でありジジイの体にあったような大怪我も負う程危険な世界である事。


  そして、現実世界では空想上の生き物であるモンスターと言われる存在が出る事。


  そして、この迷宮から抜けて元の世界に戻るには奥に進んでこの迷宮を突破しなくてはならない事。


  しかも確証は無いと言う事だ。良く考えるとこれは相当不味い状況だ。普通ならパニックになりえない。


  しかし、運が良いのか悪いのか分からないがジジイのお陰で割と感情が落ち着いている。いや、運が良いのだろう。


  俺達だけだったら間違いなく右往左往してのだれ死んでいただろう。一先ず俺達だけでは何も出来ないのは事実だった。ジジイについて行くしか無い。


「と言う事で、トレーニングをやる事になったのじゃが場所は分かるかの?」


  俺が考えを纏めているとジジイが颯爽と聞いてきた。


  分かるわけないだろ。まず案内もされてないわ。


「「分かりませーん。「ねぇーよ!」」」


  全員が不満丸出しでハモった。そりゃそうだ。相変わらず説明不足のジジイだ。


「そこの部屋をああ曲がって、こっち行って、あっち行って……」


  俺達の不満丸出しの声に対してジジイはコントを繰り広げる様に指を左右に曲げてトレーニング場所を口頭で説明し始めた。は?案内してくれないのかよ。だから分かる訳無いだろ。ここの部屋構造とか全く知らないんだから……。


「「分かんねぇーよ!!」」


  また、ハモった。なんかこれ話のテンションがギャグ小説っぽくなって来てないか?


  いや、そう思わないようにしよう……気の所為だ。

 

  もう一度言うがきっと気の所為だ。


 そうに違いない。ジジイ。お前に喋らしたら駄目って言う事は分かったからまじで案内してくれ。


「まじで分からないから案内してくれよ?」

「分かったのじゃ」


  おお!やっと案内してくれるか……と思った瞬間だった……。


「着いたのじゃ」


  ジジイがほぼさっきの場所から動かずに言った。おい、ちょっと待て。さっきの場所じゃねえかよ!


  テメェ……さっき部屋をこう曲がってとかどうのこうの言ってたじゃねぇかよ……あれ出任せか!マジでコントかよ!?

  本当にこのジジイ何がしたいんだ……?コミュニケーション苦手なタイプか?


  しかも、さっきここめっちゃ扉あるだけだったから尚更分かんねぇーよ。


「「え、これただ扉が沢山あるだけじゃね?(よね)」」


  山西も同じ事を分かってない様な顔で言った。本当にギャグ小説と化して来てるぞ……。


「まぁそう急かすな。直ぐに説明するぞい」


  ジジイが笑いながら言った。いや急かしてないし。俺達は説明を求めているだけなんだが……。いや、態度に出てたか早くしろって。


「俺達早く強くなりたいよな?な?」


  亜蓮がオラワクワクすっぞ~的な感じで同意を求めて来た。


  おま……絶対ゲーム感覚だろ。やめろ俺達に同意を求めるんじゃない。


  現実みろ。


  だから残念イケメンなんだよ!もはやクールの欠片も感じられないんだが……。


「まぁ、焦らんでもよい。いきなり強くなろうとか思わんでも良いぞ。ここは地道に時間をかけてトレーニングじゃ!」


  ジジイが臨戦態勢で言った。お、おう、亜蓮だけじゃなくてジジイもヤル気かよ……焦ってるのはお前だよ。


  俺は元の世界で家でゴロゴロしながらオンラインゲームでもしときたいんだが……いやゲームとかは割と好きなんだが、いざ現実となると怖いからさ……未知の物って興味よりも恐怖が勝つじゃん……。


  亜蓮の場合は逆だが……まぁ戻れないものは腹括ってこっちでどうにかするしか無いんだけどな……。

 

「おお、そう言えばまだ名前を聞いていなかったのお……そこのお主の名前はなんと言うのじゃ?」


  ジジイが俺を指差しながら尋ねた。あ、俺か?普通に苗字答えたら良いのか?


「俺 安元っす」


  するとジジイはどう解釈したのか知らんがこう答えた。


「うむ。ヤスモトスじゃな」


  は、こいつどう言う頭してんだ?違ぇーよ。スはどう考えても「です」の略称だろ。


「違ぇーよ。スが余分だよ!」

「おお、ヤモトか!」


 はぁ?……マジか……全部抜くなよ。


  常識的に考えてくれ……マジで……理解力なさ過ぎだろ……。


  もう本当にこのジジイのせいでギャグ小説になりそうなんだが……。いや、もうギャグ小説で良いや。それに主人公ジジイだろ。


「イヤイヤ、抜くの最後のスだけで良いから!」

「やっぱこいつといるとテンション狂うな」


  横から添島がボソッと呟いたのが聞こえた。

 

 それには同意見……?と思い添島の方を見ると右手の親指のを俺の方に向けていた。え、今の俺に言ったの……?俺をあのジジイと一緒にしないで欲しいんだが……。


「では、お主の名前は?」


  俺の発言をジジイがスルーして添島に尋ねた。おい、後でちゃんと訂正しとけよ……マジで俺ヤモトのままとか嫌だぞ。


  すると横槍が入った……。


「では、面倒くさいので私が言いますね。このデカイのが添島で、このチビ?が亜蓮でこの大人しい子が重光さんで私が山西よ!」


  おい、山西なんでお前が答えてんだよ……と言うか言い方……気をつけような。いきなり仕切るな。茶髪元気丸め。俺は山西に心の中で合いそうなあだ名を考えるが、どうもあまり変な言い方にならない。


「「おい、山西その言い方は無いだろ……」」


  添島と亜蓮がええ……と言う感じで嘆いていた。言い方酷くてもそんなに?間違ってないから……添島デカイし。


  亜蓮は……チビ?なのか?一応亜蓮の身長は百六十センチメートルはあると思うんだが……。


「よし、名前も分かった所で本題に戻ろうかの」


  山西の言葉の内容を俺が審議していると、ジジイが目付きを変えて言った。


  なんだ!?今までと違う……人の本質を見抜く様な目!?で一通り俺達を見渡した後に落ち着いた様子で淡々と俺達に本題を伝えた。


「えーと、先ずは安元と言ったかの。お主は落ち着きが無いから。平常心を保つ訓練をして貰うぞい」


  え、もっと落ち着きない人いたでしょ!亜蓮とか亜蓮とか。さっきまでどこ見てたんだよ。


  確かに俺は心一番乱れてるし、捻くれているとは思うけどさ……まず平常心ってなんだよ……と言うか訓練って肉体鍛えるんじゃないのかよ。


「え、平常心って」

「で、添島。君は体はかなり万全で比較的この中では冷静に見えるから、この迷宮の知識を取り入れて貰いたいと思っておるのじゃ」


  おい、俺の発言スルーかよ。って添島の声漏れてた奴全部聞こえていたのかよ……。


  しかも、このジジイ自分の発言とかが酷いこと自覚していたのか……意外だ。

  もしかしたら本当はジジイこんな性格じゃないのかも知れないな。


「チッ」


  添島舌打ちするな。と言うかなんでイライラしてんだ?どこが冷静なんだか……。


「何か不満でも?」


  ジジイが凄い圧力をかけながら言った。その時ジジイの剣幕は物凄く、あの添島も冷や汗をかきながら小声で返事をしながら一歩退く。


「いいえ……」


  あの添島が一歩引いた!?ジジイの底が見えない……本当に何者なんだ?このジジイは。


「で、次はえーと亜……」

「亜蓮です」


  さて、亜蓮には何を伝えるのかな……?さっきから一番落ち着きが無いから楽しみだ。


「お主には元々筋肉の付き方や質から考えて足が速そうじゃから瞬発力を鍛えると同時に恐怖心を克服する訓練をして貰いたいのじゃ」


  な!?このジジイには驚かされてばっかりだ。亜蓮が走ったりした訳では無いのに、個人の身体能力やポテンシャルを瞬時に判断してやがる。このジジイが俺達の身体能力をチェックするタイミングは俺達が目覚めた場所からこの要塞拠点まで歩いたタイミングしか無い筈だ。それにも関わらずこのジジイ……やるな。


  さっきまで残念ジジイだったのに戦闘面では実は凄い人なのか……?ますますこのジジイの事が分からなくなって来た。


「それで重光なんじゃが。彼女には重要な役割を頼みたいと思っておるのじゃ」


 重要な役割?次は何を言いだすんだか……まだ重光殆ど喋ってないぞ。


「それは何ですか?」

「まぁ、簡単な事じゃよ。モンスターの弱点を即座に見抜いて、それを的確に味方に伝える役目じゃ」

「!?」


  そりゃ驚くわ。完全に添島の上位互換じやないか……少し添島と違う点はこっちはあくまでサポート的位置付けってところ位だ。添島は前線ゴリゴリだろう。多分。


「お主は見た感じ割と状況観察能力に優れていると思うからこの役目を与えるのには適任だとは思うのじゃがな……」


  まぁ、確かに重光さんは頭も偉いし、大人しそうな見た目と言動だがアウトドア派だ。ただ本人はいつも人に遠慮しがちであるし、天然でもある。本人が引き受けるかどうかは分からない。


「当然、モンスターの知識も必要になるのじゃがそれと実戦ではないのじゃがそれに近い形で見抜ける様にして欲しいのじゃ」


  ジジイが押してくる。駄目だ。これでは重光さんが余計に責任を感じでしまう。


「どうにかお願い出来んかのう?」


 だから駄目だって!


「私には無理です。ごめんなさい」


  ほら、本当に申し訳なさそうな顔で重光さんが断った。


「お主になら出来るとわしは思うのじゃがのう……」


 ジジイが含み笑いで言った。


「……」


  重光さんは答えない。だがジジイそれでも構わない。いや、寧ろその役割は結果的に自然に必要無くなるとでもと言う顔で次。山西の方に向いた。


「で、次は山西お主も落ち着きが無いから安元と同じ訓練をするのじゃ」


  な!?山西が落ち着きが無いのは同意するよ。そしてちゃんと俺の名前を訂正してくれたのは嬉しいんだけど、こいつと同じにされるのは嫌なんだが……。


「なんでこいつと一緒なんですか!」


  山西がジジイにぶつかりそうな勢いで言った。俺もだ。なんでこいつと一緒なんだ。


「まぁ、そんなどうでも良い話は放っておいてトレーニング開始じゃ!」


  ふざけるな!こんな奴と一緒でたまるもんか!


「「どうでも良くない!」」


  山西と俺が同時に叫んだ。


「まぁ、始めるか……」


  添島が本当にどうでも良さそうな様子で呟いた。筋トレ馬鹿が……はぁ今日から憂鬱な日々が始まりそうだ。


「「はぁ、なんでこいつと……」」


  山西と俺が二人溜息をつく……。昔からずっとこんな感じだ。ケンカする程仲が良いっていうがどうなのだろうか?何故か昔から俺に突っかかってくるのだ。


  だから嫌なんだ。


  とにかく面倒くさい。山西が何を考えているのかよく分からん。女心は難しいものだ。


「ふっ息あってやがるぜ」

「お似合いだな」


  添島と亜蓮が茶化してくるがどうでも良い。もう諦めた。


  という訳でジジイから訓練の内容が何と無く伝えられた訳なんだがこれから俺達はどうなるのだろうかと思案する俺達を他所に、ジジイはトレーニングをする場所に一人ずつ案内しようと進めるのであった。





 俺と山西は二人一緒だが。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ