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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
20章 古代文明エリア
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489話 無限機兵団

「マジかよ。これ、どうすりゃ良いんだよ……」


  九十五階層の洞窟の突き当たりまで機械兵達の上空を飛び、アクアで移動した俺は思わず困惑の声をあげる。広い洞窟。全長五十キロは有ろうかと言う巨大な箱型の洞窟。その奥地で俺が見ている光景はとんでもない光景だった。五十キロもある洞窟の端から端まで地面は機械兵達で埋まり、どこにも逃げ場は無い。しかも、洞窟の突き当たりは地下に繋がっており、そこから大量の機械兵達が規則正しく並び、隙間無く敷き詰められて地上に這い出て来るのだ。それも、その生産速度は止まる事を知らない。この生産速度だと俺達が幾ら機械兵達を破壊しても機械兵達の破壊が追いつかない。破壊するだけ無駄だって事だ。だが、洞窟の先が地下に繋がっているのであればここを俺達は通らなければならないだろう。


「まぁ、ただの機械兵程度ならば範囲攻撃でも十分破壊出来るか……重光。火災旋風のスキル発動出来るか?」

「ええ、可能よ。ただ、ここで火災旋風を起こしたら貴方達も地下へと向かえなくなるわよ?」

「そうだったな……じゃあ、爆裂弾エクスプロージョンの方が有効か?」

「そうね。アクアちゃん。もうちょっと上空まで退避してて」

「グルル!」


  俺の問いに対して重光は淡々とアンケートを答える様な口調で答え、アクアに上空に退避する様に指示を出した。ああ、これは広範囲で魔法を爆発させるつもりだな。今の重光が全魔力を使って魔法を放てば直径五十キロ四方を一撃で焼野原にする事が可能だ。その火力は爆発力だけで言えば核爆弾にも相当する威力である。


 ただ核爆弾などと違って放射線などの有害物質を放つ事は無い為、それは純粋なエネルギーの爆発と熱光線による燃焼火力だ。それを考えると今の俺達がどれだけ地球では異質な存在か理解できるだろう。核爆弾のエネルギーは多種多様だが、手榴弾の爆発するエネルギーの十の二十乗倍近いエネルギー量を誇ると言われている。とは言っても手榴弾の爆発するエネルギーも人間が一日に摂取するエネルギー量にも及ばないのだが、そのエネルギーを一瞬にして暴発させるから大きな被害が起こるのだ。


 直径五十キロを爆発させる際に起こる爆発エネルギーを分かりやすく示すと、爆心地には秒速四百メートルを超える速度……つまり、音速をも上回る速度の爆風が巻き起こりその付近にあった大砲が数キロ弾け飛ぶ。更には周囲きは温度六千度を超える熱線が照射されその辺り一面は淘汰される。その位の威力がある。そんな威力の攻撃を範囲拡散せずに直線上に集中して放つ内部圧縮属性付与インプレスエンチャントでも巨人機兵タイタンヒューマノイドを消し炭にする事は叶わない上、周囲の建物も崩壊させる事が出来なかった。それを考えると異世界の大量のマナを含んだモンスターや、金属などの物質がどれだけ強度が高いか分かるな。これ地球に持ち込んだら加工するのも一苦労だと思うぞ。


 俺が長考している間に重光の魔法詠唱は完了する。赤い魔方陣を足元に形成した重光は目を細めて右手に持った杖の先を遥か先に見える地面に向けて傾け、狙いを定めてマナを一気に魔方陣に注いで叫ぶ。


爆裂弾エクスプロージョン!」


  杖の遥か先の地面にに赤い光が灯り、それが一瞬にして轟音を立てて爆発する。数キロ上空に避難していても全貌が確認できる程大きな赤い炎の球体は悍ましい程の熱を放ち、俺達をも爆風が襲う。数キロ離れていてもこの爆風だ。その為、爆心地付近は悲惨な事になっている事は間違いない。半径二十キロに渡り重光が放った魔法は被害を及ぼし、機械兵を破壊する。物質であれば、地表付近は遥か高温になり、魔法が爆発した中心付近の地面は融解している筈だ。だが、ここの地面は融解は愚か抉れてすら居ないだろう。強いて言えば、魔法が爆発した中心部分の鉄板が焼け焦げ、凹んでいる程度だろうか?そう思いながら俺達はゆっくりとアクアと共に地表付近へと近づいて行く。地面付近は魔法が爆発した影響で高温になっているものの、数千度の高温にも耐えられる肉体を持つ俺達にとっては大した温度では無い。


「一応、周囲の機械兵は淘汰出来たか……」


  地面に降り立って周囲を見渡すと地面には粉々に破壊された機械兵の機体が転がっており、どこかのスクラップ場みたいになっている。これ、どこかのロボット映画の一部のシーンみたいだな。俺はそう思いながら地下へと足を進める。当然全ての機械兵が今の攻撃で駆逐出来たとは思っていない。今の火力でも破壊出来る機械兵は良くて爆心地から半径一キロ四方に位置していた機械兵だと俺は見ている。奴らにはそれくらいの耐久度がある。


  地下へと足を進めようとした俺達だったが、直ぐに地下から聞こえて来た足音に俺達は足を止めた。やっぱりな。その足音が聞こえる場所は一キロ程先からだ。間違い無い。機械兵達だ。


「ったく……本当にキリが無いな。範囲攻撃で破壊するって考えは捨てて地下に向かって突き進む位しか突破方法は無さそうだぞ?」


  強行突破。それしか俺の頭にはこの階層を突破する方法が見つからなかった。今のところ俺達にとって嬉しかった点は相手に空機兵エアークラフトソルジャーが居ない事だろう。空機兵エアークラフトソルジャーがいるか、居ないかでは攻略難度が天と地程差がでてくるものだ。


 


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