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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
20章 古代文明エリア
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488話 軍勢

  城壁の上空に俺達が移動して、煙幕の影響下から逃れると城壁の上部が明らかになった。九十三階層と違って城壁の上部は広く、壁の幅も数キロ先まで続いている程あった。壁を破壊する作戦を取らなくて正解だった。勿論俺も壁の内部が全部ぎっしりと金属鉱石が詰まっているとは思っていないが、数キロも幅がある壁の表面を抉り取った所でそれは何の意味も為さない。


  もし、俺が壁をぶち破って強行突破する作戦を取っていたならば確実に時間を取られ、巨人機兵タイタンヒューマノイドに囲まれていたに違いない。城壁の上部に移動しても敵の猛攻は止まらない。俺達が城壁の上部に移動したと見るや否や、城壁の上で待機していた巨人機兵タイタンヒューマノイド達は進路を断つように一斉に槍を投擲し、巨怪機兵タイタンドラゴノイド達はエンジンから青い炎を勢い良く噴かせて俺達を追い詰める。現在亜蓮の指示でアクアが上下左右に激しく相手を揺さぶる事によって何とか敵を捌けているが、これ以上敵が増えるとキツい。しょうがない。迎撃するか。


 《アクア。お前はただ俺の指示に従って全力で先を目指せ。あとは気にするな》

 《分かった。くれぐれも無理しないで》

 《ああ、無理するのは俺じゃないから大丈夫だ》


  アクアに俺は亜蓮のサインから読み取った指示を念話で伝えながら俺は後ろの重光に魔法迎撃の指示を出す。正直、アクアが全速力で飛んでいると正確な狙いは付けられないし、防御壁も上手く張れない。だが、攻撃を乱雑に放つ事位は可能だ。それに俺の想定よりも亜蓮の空間認知能力と演算能力が高かったお陰で今は助かっている。魔法陣が重光の所に浮かび上がるのに若干遅れが生じた事により、重光の動揺が窺えたがその動揺を取り戻すかの様に重光の元から大量の魔法で形成された槍が四方八方に放たれる。その中に藍水槍アクアランスの様な単体火力の高い物は含まれていない。全て燃焼槍バーニングランス雷火槍フレイジングランス水槍ウォーターランスなどの簡易な物だ。だが、その一発辺りの威力は以前とは違う程に高い。


  乱雑に重光から放たれた槍は接近していた巨怪機兵タイタンドラゴノイドの機体の表面を軽く抉り、小さな傷を付ける。余りにも小さな傷。とても致命傷にはなり得ない傷だが、これが積み重なる事によってそれは大きな傷へと変化する。それに重光の放った魔法は巨怪機兵タイタンドラゴノイドの本体だけでは無く、巨怪機兵タイタンドラゴノイド迎撃人工衛星インセプターサテライトが放った弾丸にもぶつかりそれを貫いて破壊する。相手が放つ弾丸は俺達に対して誘導性がある為、重光が放つ魔法は乱雑でも確実に弾丸を破壊し、俺達への被弾を減らす。誘導性のあるホーミング弾にはホーミング弾なりの利点もあるが、対象に弾丸が集中する為、自衛や迎撃に徹されると厳しいと言う欠点も存在するのだ。城壁の上には俺達が見た事が無い蜘蛛の様な形の巨怪機兵タイタンドラゴノイドもいたが、その機兵は地上専門の様で動きは速いものの、俺達に対する有効打は持っていない。


  これにより、俺達はフェイズ一の城壁を抜ける事に成功するが、驚くべき問題はこの城壁がまだフェイズ一と言う事だ。九十四階層には幾つもの城壁が進行を拒むかの様に一定区間に設置されている為、俺達はこれを何度もくぐり抜ける必要があった。






  その後俺達は数個ある城壁を同じ方法でくぐり抜け、ノンストップで九十四階層を走り抜けた。当然アクアも大分疲れておりヘトヘトだ。その状態でボスがいる階層に向かうと言うのだから、どこかで一回休みを挟みたい所だ。


  九十五階層に入ると景色は一変し、蒼を貴重とした金属鉱石……いや、違う。加工された謎の鉱石で作られた鉄板で覆われた巨大な洞窟に切り替わる。


「エスカーチがいた場所に似てるな」

「ああ、だがここまで静かだと不気味だぜ」


  その巨大な洞窟はエスカーチがいた場所と同じような雰囲気を醸し出しており、静寂に包まれていた。俺達の話し声が洞窟の壁に当たって響き渡って洞窟内に広がる。周囲にモンスターはいない。それならばここで休める。誰もがそう思うだろう。いや、俺もアクアを休ませてやりたかった。だが、この雰囲気に俺は見覚えがあった。最近の下層のエリア最終階層に良くあるギミックであるボス部屋と階層が一体化した空間である。


  階層に入った途端にボスが現れる。そんな階層もある為、俺はそのタイプだと思った。そうでなければこれだけ静かなのは説明がつかない。そう思った俺達は恐る恐る静かな洞窟を進む。


  だが、進んでも何かモンスターや機械兵達が現れる気配は無い。俺の杞憂だったか?そう思って俺達が地面に腰を下ろした時だった。洞窟の奥から何か音が聞こえて来た。ザッザッと言う何かが揃って動いている様な音。間違いない。機人兵ヒューマノイド達や機怪兵ドラゴノイド達だ。ここはボス部屋では無いのか?そう思いながらも俺達はやはり休めないかと少し残念そうに呟きながら戦闘態勢を取る。


  そして、姿を現したのは俺達が予想した通り、機人兵ヒューマノイド機怪兵ドラゴノイド達だった。空人機兵エアークラフトヒューマノイドの様な機兵達は存在しない。だけど、現れた数が桁違いだった。周囲を見渡す限り一面が機怪兵達の姿で埋まっており、洞窟の地面が見えなくなる程だ。


「一旦、空飛んで先の様子見に行くぞ」

「そうだな。それが良さそうだ」

「アクア済まない。もう少し頑張ってくれ」

「グルルル!」


  一先ず全体の様子を見た方が良い。ボス扉が新たにあるかもしれないと考えた俺達は全員と相談してアクアに再び騎乗し、先を目指して空中に飛び立った。


 


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