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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
12章 海エリア
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256話 追加統合魔法

――お前は仲間が少ない。少ない仲間を信じろ。そして、言うようにしろ。


あの闇智が最後に放った言葉……。


あのあと俺は意識を手放したんだが、その時僅かに闇智は口を吊り上げて何かを話したんだ。


高圧的な口調ではあったが、それが俺に対するお節介である事は分かっていた。


強大な敵であるリヴァイアサン……だが、俺達はそれよりも強大な力を持つ存在に訓練して貰ってるんだ!


闇智の言葉である少ない仲間と言うのは自分に対する皮肉も込められており、俺達五人と一匹だけの事を指している訳では無いと今なら気付ける。


最後に闇智が言おうとした言葉――




勝って生きろ。話はそれからだ。





その言葉を思い出した瞬間俺の肉体は今までよりもより大きな力を帯びる。


だよな。


死んだら元も子もないんだよ!


リヴァイアサンにこんなに舐められて黙ってやられる何て事はあってはならねえ!


全身から勢いよく炎を立ち昇らせて俺は空中で姿勢を整えて真空波を尻尾で放って身体を捻りながら頭から落下してくるリヴァイアサンの頭を俺は捉える。


そして、直線上に俺は飛翔してリヴァイアサンの頭目掛けて飛んでいく。


《ム?血迷ったカ?》


真っ直ぐとリヴァイアサンに向かって飛んで行く俺を見たリヴァイアサンは少し戸惑った声を上げるが、それも気にする程の事では無いとでも言う様に口を大きく開けて俺を待ち受ける。


俺は真っ直ぐとリヴァイアサンの頭に向けて飛翔しながら地上の様子を確認する。


順調に進んでいるなーー


そして、アクアに合図を出してリヴァイアサンの口の中に俺は飛び込む。


それと同時にリヴァイアサンは大きな口を勢い良く閉じる。


普通であれば、俺の身体はリヴァイアサンの鋭い牙で貫かれて粉々になっているだろう。


だが、なんの勝算も無しに俺がリヴァイアサンの口の中に飛び込んだりすると思うか?


否だ。


リヴァイアサンが口を閉じる瞬間に口元でアクアが放った水泡が連続して破裂を起こし、リヴァイアサンが口を閉じるタイミングがズレる。


そして、俺は口の中で更に火力を膨らまして全体に向かって炎を噴出させた。


「グォォォオオオオ!?」


予想打にしていない攻撃にリヴァイアサンは驚き念話を行う事を忘れ、素の悲鳴を上げ、口から黒煙を上げて少し仰け反る。


そのタイミングを見計らって俺はリヴァイアサンの口から脱出してアクアに飛び乗った。


下では重光が大きく膨らませた炎の球にいくつもの魔法を撃ち込んで更に巨大化させていく。


それは、まるで太陽の様な輝きを放っており、巨体な火球はビリビリと青い稲妻を纏って今にも破裂しそうだ。


あれはアディショナル・インターグレートマジック。


俺が事前に指示していた通りだ。


重光から時間と大きな隙と引き換えに魔法を統合し威力をかなり上昇させる事が出来るとは聞いていた。


だが、まさかあそこまでの威力とは思わなかった。


よく見ると山西も周りの空気を押さえつけて重光の援護をしている様にも見える。


巨大な火球の中では複数の火球が鬩ぎ合い、バチバチと言う音が五十メートル以上離れている上空からでも聞こえて来そうだ。


あと四十メートル。


リヴァイアサンは先程の攻撃で少し撒いたもののどこまで俺とアクアが逃げられるか……。


リヴァイアサンは既に俺の上空十メートルまで迫っており、逃げられる気がしない。


アディショナル・インターグレートマジックを確実にリヴァイアサンの頭に当てられる距離まで引き寄せないとーー


無理だ。


俺は咄嗟にマジックバッグに手を突っ込んで防護シェルターを展開してアクアと共に包まれる。


そのまま防護シェルターに向けて突っ込んだリヴァイアサンは一瞬で防護シェルターを破壊し、その衝撃でシェルターも元の液体となって瓶に戻り俺達も下に吹き飛んだ。


身体が打撲で痛むが少しは距離が稼げた筈だ。


あと、二十メートル!


そこでシャドウウォーリアの射程距離になったのか両手に合わせて十本のナイフを握って投擲の姿勢に入った亜蓮を俺は捉える。


そして、亜蓮が腕を振りかぶるのと同時にナイフが微妙に軌道をズラした螺旋状に飛んでいき、リヴァイアサンの攻撃の方向が少し変わる。


しかし、リヴァイアサンは身体に触れただけでナイフを次々と砕いて行く。


だが、誘導はバッチリだ。


亜蓮は十本のナイフを投げ終わる前にマナで即座にナイフを形成して投げ続ける。


あと五メートル!


「今だ!行けぇぇえ!!!」


ドンッと言う大きな音と同時にリヴァイアサンの頭に巨大な火球がぶつかり、大爆発を引き起こす。


火球の大きさはリヴァイアサンの頭程のサイズを誇っており爆風は周りにいた俺達さえも吹き飛ばし、氷の大地さえも炎に包み込む。


頭に強烈な攻撃を食らったリヴァイアサンは黒い煙を上げながら燃え盛る氷の大地に頭から突っ込み、大きな水飛沫を上げて再び氷の大地を砕く。


海に転落した俺達は海面に顔を浮上させて、割れて尚、海上でもえさかっている氷の塊を見て先程の火球の威力を思い知る。


しかし、リヴァイアサンの身体の動きは止まらない。


長い身体をくねくねと動かしながら、更に海中深くへと潜って行く。


そして、水中からリヴァイアサンの黄色い眼が輝き、光る。


《今のはかなり効いたぞ?》


そして、リヴァイアサンはまだ余裕を保った声で俺達に対して声を掛けた。


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