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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
12章 海エリア
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243話 白鯨

あれから、俺達は海賊船に近づいては魔導砲を発射する作業を全ての砲門の球が尽きるまで繰り返した。


だが、敵の数は一向に減る様子を見せない、もしかして、敵の数撃破では無くてランダムで選ばれる船を破壊する必要がある?


あまりに沢山の船を破壊したにも関わらず、なんの変化も起こらないという事は敵の複数撃破では無かった事か?


とも思ったのだが、魔導砲十二門で破壊できる海賊船の総数は多くても五十隻……大した数では無い。


五十隻の戦艦ならまだしもアンデッドの海賊船であれば五十隻なんて数は別に痛い損害でも無いだろう。


さて、どうしたものか俺達が骸骨兵達がいる海賊船の上に飛び乗って一つ一つ破壊して回るかどうか……だが、その作戦は危険が付き纏う。


何故ならば、あの骸骨兵の海賊船の強度は俺達が現在乗っている海賊船の強度と比べると比較にならない位に脆い。


そこに、他の骸骨兵達が操る海賊船の集中砲火を受けてしまえば、沈没は免れないのである。


しかも、大量の骸骨兵が常駐している海賊船に自ら飛び入るって言うのは自殺行為であり、当然危険性も高い。


同時に全ての海賊船の骸骨兵達を排除する事が条件かとも思ったが、他の海賊船からの攻撃もある為に不可能と判断する。


海賊船自体を破壊しなければ、新たな骸骨兵を乗せた海賊船は出現しない。


だが、骸骨兵のみを排除する事は物理的に不可能に近い。


と、なると一定数排除しかないのか……?


一旦俺達も撃つ砲弾が無くなってしまった為に一旦距離を取って骸骨兵達が率いる海賊船を引き離して停泊する。


船を止めて重光にマナを魔導砲に込め直す。


今日は一旦、ここで休もう。


常にこの海賊船を運転し続けている重光の負荷が半端では無い。


海賊船がこちらに追いついて来た場合、骸骨兵達が船を伝って登って来ては困るので見張りは交代で置いておく。





――そして、再び次の日エネルギーを充填完了した魔導砲を構えて俺達は再び骸骨兵達が率いる海賊船を襲う。


しかし、やっぱり幾ら倒しても変化は無い。


ただ消耗するのは俺達の精神力だけだった。


食料は正直、一年は生活できる程はマジックバッグに入っている。


そして幾ら敵を倒しても変化が起こらない事から俺達はとある作戦を決行する。


やはり、ランダム生成で何処かの海賊船の中にギミックが作られているのでは無いか?


と探りを入れて海賊船に乗り込む作戦を実行したのだ。


海賊船をフルスロットルで加速させて、敵の海賊船複数隻を巻き込む様に真っ直ぐと突っ込んだ。


俺達の海賊船は大きな音を立てて、骸骨兵達が率いる海賊船の船体に大きな風穴を開け、海賊船同士が接合される。


そして、その時は来た。


俺達が武器を構えて骸骨兵達が乗っている海賊船の甲板へと足を踏み入れた途端に大地が揺れる。


いや、海だから大地ではないか……。


海全体がグラグラと揺れ、海流が巨大な渦を巻いて周りの海賊船をバキバキと巻き込みながら粉砕して行き海の底へと吸い込んで行く。


「急いで自分の海賊船に避難しろ!」


俺達もそれに巻き込まれては堪らないので、さっさと自分達の頑丈な海賊船に避難してぐるぐると回る視界の中外の景色を眺める。


外には水の竜巻や、渦などが大量に出てきており、海全体が大きく揺れていた。


「フゥオオオオオオ!」


そして、聞き覚えのある大きな鳴き声が聞こえて、俺達の海賊船は空中に浮いた。


急いで骸骨兵達がいる海賊船から飛び移ったばかりの俺達は海賊船の内部に移動しておらず、身体は無重力状態の様な感覚に襲われ、宙に浮く。


一瞬白い巨大な頭が見え、真っ赤な血の様な色をした大量の襞が周りを覆っている。


俺は急いで全身にマナを込めて船に戻ろうとするが間に合わない。


その聞き覚えのある大きな鳴き声は、海賊船の真下の渦の中から聞こえて来ており、鋭い牙が生えそろった巨大な口は閉じられ、視界は暗闇に包まれた。


俺の身体は光を帯びて、炎と氷に包まれ、辺りを照らす。


海賊船は既に遠くに流れて行っており、俺のマナ量では追いつく事は難しそうだ。


大量の海水は洪水の様に流れており、あれに触れてしまえば簡単に流されて溺れてしまうかも知れない。


一瞬見えた姿から俺達を飲み込んだのはあの白いクジラである事は分かっている。


今俺達はあのクジラの体内にいる。


アクアの声を聞く限り他の仲間達は船内に避難しており、無事の様だ。


俺は土属性のエンチャントを使って白鯨の肉壁に張り付いて何とか流されずには済んだが長くは保たない。


暫くは壁を伝って行くしか無いな。


俺はそう思い、凸凹とした壁に体を固定しながら白鯨の体の奥を目指して進む事にした。


ひとまず、今の所の目標は仲間との合流だ。


あの船に戻れれば何とかなる。


恐らく、俺達が骸骨兵達が率いる海賊船に乗る事がこの白鯨のギミック発動の鍵だったに違いない。


それならば、この白鯨のギミックはこの階層を進むのに関して必然と考えられる。


何も焦る事は無い。


捌け口は必ずある。


しかし、アニメみたいにクジラの潮吹きと一緒に外に弾き出されるって事は無い。


あれは消化管とは繋がっていない別の器官だ。


さて、この巨大な鯨の体内の探索を始めますか……。


俺はそう思い壁を蹴った。





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