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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
12章 海エリア
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238話 海竜種

先程の魔導砲の威力には驚いたものの先程の巨大なモンスターが何で単体で居たのか分からない。


さっきのはフィジーターって言うクジラの一種でイカ類を主食としている。


頭の部分が大きく膨らんでおり、ゴツゴツとした防御力の高そうな皮膚と鋭い牙が特徴だ。


俺的にはマッコウクジラの一種と判断しており、俺達……いや、俺と添島に染み付いたイカの香りに誘われてやって来たと思われる。


しかし、マッコウクジラと同じ生態ならば、近くに他の個体が何体か居ても不思議ではない。


マッコウクジラの雄は単体で独立して行動するが、繁殖期にはその別れた単体の雄同士で集団を作って行動する事もあるらしい。


海の捕食者達は殆どが群れで行動している。


だから、集団で囲まれると魔導砲では処理が追い付かない。


しかも、魔導砲は一発あたりのマナ消費がエゲツないので運転係の重光が抜けないと充填出来ない。


しかも、あの量のマナを一気に充填するのにもそれなりに時間を食ってしまう。


もしも、その止まっている間に囲まれて船の前方を塞がれてしまえば割と不味い。


フィジーターの様な脅威的な力を持っている海洋生物の場合船が止まった拍子に転覆させられるのは目に見えているのだ。


海階層は奥に進めば進むほど生物が巨大化する。


また何かが攻めて来た時は、対処法を考えないと行けないな。


フィジーターの仲間がこちらに来ない内に出来るだけ船を進めておきたい。


さっきフィジーターの死骸の場所には海のギャングと名高いシャチの仲間が集まっていた。


シャチの中にはクジラを好む個体もいる。


さて、もしも群れと遭遇した場合だけど、その時は危険ではあるが、魔導小型ボートで誘導して処理する他ないだろう。


だが、魚達は血の匂いを漂わせたりしない限りはそんなに襲われる事は無い。


今までの階層と違って俺達は物凄い速度で進んでいる。


実際に砂漠エリアでサンドリザードに乗って移動していた時はあまり敵襲は受けなかった。


出来れば今回も、偵察としてアクアを空に飛ばしたい所だが、まだアクアの能力だと船の速度にはついて行けずに置いてきぼりになってしまう。


だが、敵の姿を早めに察知出来れば船の進む航路を微調整し、遠回りしたりして敵との遭遇戦を避ける事も可能だ。


「重光。速度を少し落としてくれ、アクアに偵察を頼む」

「了解」


重光に船の速度を落とす様に指示して船の速度は先程までの約半分……時速五十キロ程に落ち着き、アクアは船の真上をぴったりと着いて飛ぶ。


多少は距離が離れても言葉のやり取りは出来る……だけど、アクアは地図が読めない為に座標指定も不可能だ。


だけど、アクアは目が良い。


沖に出た事もあって、島などの障害物も少ない。


そう言う訳で俺はアクアを船から離すか、追尾させるかを決めあぐねていた。


だが、無難に船の周りを警備した方が良いと考えて俺はアクアを船に追尾させた。




しばらくの時間が経過して、アクアから連絡が入る。


(船から前方約五百メートルにモンスター同士が交戦中。どうする?)

(了解。一旦アクアは戻って休め。船を回す)


俺はその指示を受けるや否や重光にこの事を伝えて遠回りをさせる。


するとアクアが言った通り直ぐにそのモンスターの姿が見えた。


クジラの群れが俺達が釣り上げたイキタイや、イワシの様な魚の群れを泡で包んで漁をしていた。


この海賊船は旋回能力も悪く、急には止まれない。


アクアを偵察に出していなかったとしたらほぼ間違いなくこの群れと衝突していただろうな。


それで、相手の機嫌でも損ねてしまえば、面倒だった。


ナイスだ。


しかし、アクアもスタミナがあるからそんなには長くは飛べない。


しかも、今俺達が向かっている方向は雲行きが怪しく薄く雷が見える。


航海始まって初めての雨天だ。


警戒して行かなければ……天候が荒れればモンスター達も荒れ、凶暴になる。


風も徐々に強くなって、海面が雷に撃たれてピカピカと光る。


そして、奴は現れた。


海面から巨大な甲殻を露わにしてピカピカと光を反射して光る。


ウネウネと長い身体を動かしてたまに見える頭からは立派な角と牙が見え、その身体はまるで自分を捕食する者が居ないとばかりに悠々と泳いでいた。


奴は俺達には気が付いていないが、このまま進むと間違い無く衝突する。


竜種か……。


魔導砲があれば何とか勝てる相手ではあるが、中々厄介な奴が出てきたもんだ。


魔導砲は、船の横にぶように付いておりあの長い身体で巻き付かれてしまうと魔導砲を当てるのは困難であり、甲板に居ても攻撃を当てられてしまう。


だが、甲板まで頭を出してくれればそれは俺達にとってはラッキーだ。


何故ならば、俺達も攻撃出来るんだからな。


流石にエリアモンスター程の強さは持たないが、今までの雑魚モンスターと比べても奴は強い。


俺達は、船の速度を緩めずにそのまま竜種の身体に体当たりを当てた。


相手が集団で無ければどうとでもなる。


これ以上遠回りは難しい上に、この竜種の蛇の様な長い身体が邪魔でこの距離では海賊船の旋回能力では避けるのも中々難しいと俺は考えていた。


俺は逆に魔導砲の威力を武器にしてやろうと思い作戦を決行した。




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