20話 仲間
ボス戦中半戦です。台詞多めで読みにくいかもです、、、
どうすればいいんだ、、、!
「あんた!何ボケッと立ってるのよ!直ぐに添島を担いで撤退するわよ!」
俺が一人考えに没頭していた時だった、山西の声でふと我に返った、、、そして周りをもう一度見渡した。そして出来るだけ荒ぶる心を鎮めようと自らを抑え込み考える、、、この状況を打開する策を、、、その時だった、、、
「安元!」
山西が俺の胸倉を掴み物凄い形相で俺を揺らす。そして、俺は決意を固めた。
「まずは落ち着けよ!」
まずは皆が落ち着かなければ本末転倒だ。戦うにしろ、撤退するにしろ何も上手くいかない。だがこんな状況で落ち着けと言うのも無理がある。俺も今になって身体に震えが起こりだした。
「こんな状況で落ち着ける訳無いでしょ!」
山西がキレた。こんな事をしててはダメなんだ、、、添島を信じろ!今まであいつが全部指揮を執ってくれていた、、、そしてあいつなら大丈夫だ、、、大丈夫だ、、、だからこそ、、、!
「よし、分かった、、、だが、撤退はしない!」
「「っ!?」」
俺以外の皆は雷が走った様に驚愕の表情を浮かべ山西は憤怒の表情を浮かべ俺に向かって来ようとする、、、
「はぁ!あん、、、」
だが俺が山西の声を遮る前に亜蓮が山西の肩に手を置き首を俺の方へと振った。
「お前ら添島を信じろよ!俺は考えた!今自分が為すべき事は何なのかと、、、そう考えた結果がこのボスと戦うと言う選択肢だ。それに今撤退した所で最寄りの転移碑は十四階層の最後だ。添島に何かがあったらもう手遅れだ!だから俺は戦う道を選んだ」
俺の言葉に亜蓮は不満の様だ。
「おい、ちょっと待て!それなら尚更戻るべきだ!まず十五階層は短いし敵もいない!ボスと戦う方が明らかにハイリスクだ!」
そうなのだ。確かにそうなのだ、、、だが、、、
「せっかく添島が命賭けて作ってくれたチャンス!引くに引けねぇじゃねぇかよ!」
それに添島が作った傷が原因でシャコは俺達を睨んでいるもののずっと俺達の様子を伺っている。そして、甲殻が一部割れ内部が露出している。これなら攻撃も通る筈だ。
「それもそうだが、、、」
亜蓮は渋々相槌を打つ、、、よし、では作戦決行と行くか、、、先ずは添島の止血を早急にしないと添島は死んでしまうだろう、、、だが回復魔法の使える重光は涙目でオロオロしている。ここは添島、、、俺にやらせてくれ!そして添島はシャコを挟み向こう側にいる。添島を止血するには奴を引き寄せる必要がありそうだ。だが奴はかなり俺達を警戒している。
「おい、亜蓮!お前はあのシャコを引き付けておいてくれ!その間に俺は後ろから傷を狙う!重光は添島を止血してそこから添島にシャコの攻撃が当たらない様にバリアを添島の周りに!山西は俺のサポートを!」
「了解、、、。」
皆元気は無いが指示を受けて動き出す。パニック状態の時に必要な事、、、それは纏めて指揮を執る人だ、、、その役割はいつも添島が自然に担っているが今回は俺になる訳だ、、、あのシャコ野郎をぶっ飛ばして直ぐに治療してやるからな、、、!待ってろ、、、!添島!
「属性付与雷!」
「うぷっ、、、ごめ、、、ん、もう強化は掛けられない!」
俺は走りながら効果が切れてしまったエンチャントを掛け直す。山西はもう魔力が残っていないみたいだが大丈夫だ。
「大丈夫だ!問題無い!亜蓮!お前のククリのストックはいくつ位だ!?」
「二十位だな」
俺は亜蓮のククリのストックを確認し指示を出す。
「了解!シャコの傷口を狙って刺して敵の注意を引いてくれ!」
ストックが二十あれば投擲に何本か使っても問題ないだろう。
「了解!」
(スッ)
「キシキシキシキシ!」
勿論投げナイフよりサイズが大きなククリナイフだ。ダメージはナイフよりは大きいのだろう。奴は悲鳴を上げながら亜蓮を挟みで挟もうとするが亜蓮は避ける。よし!完全に注意は亜蓮に向いた、、、!それに奴の傷口にはククリも刺さっている、、、つまり、、、攻撃が通る!俺と山西は左右に分かれシャコの後ろから傷口を狙って斬りかかった。
「はぁぁぁあ!」
(ギィィィイン!)
シャコは間一髪で尾で俺と山西の攻撃を防ぐ。やっぱりこいつ、、、!?傷口を避けてる!傷口は狙われたくはない様だ。それから俺達は攻撃を続けた、、、しかし、、、
「くそっ、、、!あとククリが五本しか無いぞ!」
亜蓮のククリの数も底を尽き始め、、、
「いくら何でもタフすぎるだろ!?」
たまに俺と山西の攻撃は傷口には当たってはいるのだが深く刺さる前に大体避けられる、、、そして、これだけ長期戦をしていると俺達も疲弊してくる、、、だが奴も例外では無い。だが、明らかに体力は奴の方が上だ、、、次第に俺達の被弾も増えて来た、、、その時だった
「ぐはぁ!」
「安元!」
奴の拳が俺に炸裂し、俺は吹き飛ぶ。亜蓮は奴の注意を引こうとククリを投げるが奴は俺を執拗に攻撃し始めた。奴は一人ずつ確実に仕留める事にした様だ。地味に奴も学習して来ている!これは不味いな、、、このままだと俺達が押し負ける!俺は吹き飛ばされながら危機感を感じていた。そこへ
「回復!」
重光が俺に回復魔法を飛ばす、、、おい!添島のバリアは、、、!?その時だった。奴はもう一方の鋏を全力で開き、、、
「がぁぁぁぁああ!」
俺を捉え挟みこんだ。
「安元!(君)!」
「ぐわぁぁぁぁあ!く、くそっ、、、!は、、、ず、、、れ、ね、ぇ!」
奴は徐々に鋏に込める力を上げ俺の胴体を引きち千切ろうとして来た、、、そして、少しずつ視界がボヤけてくる、、、添島、、、ごめんな、、、俺には無理だった、、、お前は偉大だよ、、、俺には勿体無い位の親友だ、、、って!?山西!?お前何してんだ!お前じゃ無理だ!霞んで行く視界の先には俺の方に槍を構えて走って来る山西の姿が見えたのであった。