表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
11章 闘技場エリア
213/544

210話 異なる両者

俺は昨日はゆっくりと眠りにつきながらあの夢の事を考えていた。


あの魔術師……夢を見た時は恐怖でそれどころじゃなかったが……どこかで見たような……まぁ気のせいか……?


俺はあの夢に出て来た魔術師の顔がどこかで見た事のある顔に似ていた気がした。


だが、あまり顔を視認出来ていなかった所為なのか……いや、視認したのだがあまり覚えていないだけなのかも知れない。


しかし、こんな事を考えても特に思い当たる節も無いので素直に俺は眠りについた訳だ。


「ウフフ。四十九階層にようこそ」


両腕に大きな鋏を持ち、クラブマンよりも著しく発達した甲殻を持つ受付嬢が妖艶な笑みを浮かべて俺達を案内する。


目は赤く光っており、口元からは大きな牙が覗かせている。


そして、尾骶骨の後ろまで繋がっている甲殻から連なる巨大な尻尾には大きな針が付いていた。


受付嬢の身長は一メートル八十センチく位あって女性としてはかなり高い。


甲殻を含めると二メートルを超える。


格好が、前は腹部分を覆っている甲殻以外は無いので少し目のやり所に困るが俺は意識を逸らされない様に集中する。


胸は山西レベルだ。


俺達はその受付嬢に今までと同じ様に中に案内される。


「よぉ挑戦者チャレンジャー

「奴らの命の灯火を狩ろうと思う」


闘技場の向かい側に立っている二人の選手が俺達に話しかけてくる。


恐らく、挑戦的な口調の戦士がアキレスでもう一人の独特な口調の戦士がペルセウスだと考えられる。


アキレスは身長は亜蓮と同じ位だが、肉体は引き締まっておりかなりカッコいい。


鎧は腰布以外は何も付けて居らず靴さえも履いていなかった。


一応腕には短めの両刃の槍を持っているが、あれは槍と言うよりは剣に近いかも知れない。


左手にはバックラーと言うべきなのか直径五十センチ程の小さな盾を持っている。


一方ペルセウスは、身長は先程の受付嬢と同じ位とそれなりに高く、右手に長剣、左手は何も持っていない。


しかし、頭までしっかりと覆われた甲冑を着ており、頭には赤く長い鳥の羽毛の様な飾りが付いている。


先程全身甲冑とは言ったものの、昔の時代を意識しているのか西洋の鎧の様な重厚な感じでは無く、腰から下も刺繍が入った腰布と、重量はあまり感じさせない。


「両者準備は良いわね?試合開始!」


受付嬢が口元を吊り上げてアハハッと言う笑い声と共に試合が始まった。


「ペルセウス。先に行かせて貰うぜ」

「勝手にするが良い。先々の行く末は見るものでは無いのでな」


アキレスはそう言って猛スピードで走り出して加速する。


速いな。恐らく今までに見た敵の中でもトップクラスだ。


だが、アキレスの鎧はかなり軽装だ。


攻撃を当てる事が出来れば瀕死に追い込む事が出来る。


ペルセウスは……ちょっと何言ってるのか分からないが、ゆっくりとアキレスの方向や俺達の方向を見ながら俺達の方に歩いてくる。


五重強化クィンティプルアップ 撃速防マルチ


山西がバフを俺達全員に掛けて身体能力を強化する。


良い判断だ。


速度が速いアキレス相手ならば身体強化はかなり有り難い。


影騎士シャドウナイト


既に俺達の間合いに入り込んだアキレスは右手の武器を振り上げるが、突如として真横に現れた影騎士に注意を奪われて影騎士を殴り飛ばした。


俺はそのタイミングを狙って両腕に力を込める。


そして、添島も反対側から回り込む様に大剣をアキレスに向かって振り下ろす。


しかし、そこでペルセウスが動いた。


しなやかな軌道で左右に身体を揺らしながら物凄い速度でアキレスと俺達の間に踏み込んで来たのだ。


内部圧縮属性付与インプレスエンチャント 氷火アイスバーン!!!」


俺はアキレス諸共ペルセウスを吹き飛ばす様にインプレスエンチャントを放ち、その反動で後ろに後退してペルセウスの攻撃を避けようとする。


添島は既に振り払おうとする大剣を更に回してステップを踏んで後ろに後退している。


「やはり盾は要らぬか、矛こそ最高の盾よ」

「いいや、速さは最高の盾にもなるし、矛にもなり得るから速さこそ至高だぜ」

「そういうお前は盾を持っているでは無いか」


俺は不意に瞬くインプレスエンチャントの中と後ろから聞こえて来た会話に耳を疑った。


馬鹿な……?


どうやってあの状況から離脱した?


ペルセウスは俺のインプレスエンチャントを長剣でいなして軽い火傷で済ましており、再び長剣を構えて既に刺突の体勢に入っていた。


そして、俺が驚いたのはアキレスだ。


まず、亜蓮のシャドウナイトをどうやって切り抜けた?


シャドウナイトの耐久性を考えてもあの短時間で消失させる事はーー!?


俺の視線を動かした先にはまだアキレスと戦っているシャドウナイトが居り、俺は目を疑う。


「残念だったな!俺達の勝ちだ」

「そうはさせねえよ」

「おっと!ペルセウス!」


後ろから勝ちを宣言するアキレスの声が聞こえたが、俺も後ろに添島が回っている事は理解しているので、俺は正面のペルセウスに集中する。


アキレスが二体いる事は謎だが、今はペルセウスだ。


ペルセウスは瞬間的に攻撃の速度と威力が上がる攻撃を放つ。


アキレスは常時高速で動き回っている。


やはり、一筋縄では行かないか……。


俺はそう思い辺り一面に瞬時に導火線を張り巡らせた。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ