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学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
4章 浜辺エリア
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19話 浜辺の主

十五階層のボス戦前半です。

しっかりとボス戦への準備を整えた俺達は十五階層に来ていた。

「よっしゃー!今日はボス戦だ!気合い入れて頑張るぞ!」

皆んなに声をかけ俺達は歩み始める。どうやら十五階層は何かの巣穴の様だった。しかし、警戒はしていたものの何かが出ると言う事も無く、直ぐにボス扉の前に到着した。巣穴っぽい場所なのに敵が居ないのはどうもおかしい、、、この奥にいる奴が余程の強者なのか、、、それとも、やっぱり浜辺エリアはやっぱりそこまでの難易度を用意していないのか、それは分からない。巣穴を作ってそこに敵を配置せずに閉篭もるとはまるでニ◯トみたいな奴だ。とは言ってもボスは扉の中からは出られないのだが。まぁそんな事は良いのだ。これからはボス戦だ。気持ちを引き締めよう。

「よし!準備は良いか?」

「当たり前だ」

俺の問いかけに添島が答え皆が頷いた。そして俺は十五階層のボス部屋の扉を開いた。さて、ニ◯トの顔を拝むとするか、、、

(ガチャ)

扉が開く音がして視界が開ける。するとそこには、まるでシャコの様な鋏とカニの様な鋏を合わせ持ち甲殻は貝殻を何重にも重ねた様にゴツく、尾の先には排水をする為であろう器官を合わせ持っている、、、そしてその分厚い甲殻と甲殻の隙間には遠目で見てもヌルヌルと粘膜が輝いているのが見える謎の古代生物の様な生き物がいた。体長は優に五メートルは超えている。鋏だけのサイズでも人間程の大きさはある。あの鋏に挟まれたら、、、想像しただけで恐ろしい。

「うおっ、、、何だ、、、この生き物は、、、!」

添島が驚きの声を上げる。

「あの巨大な鋏、、、挟まれたらひとたまりも無いわね、、、」

山西が俺が考えていた事とほぼ同じ事を呟く。何故かこいつと思考が同じだ。まぁ、あまり気にはしていないが、、、何か少しもどかしい。

「いや、俺的にはもう一方のシャコみたいな鋏の方が脅威だ、、、シャコは手の平サイズでも水槽のアクリルガラスを粉砕する程の威力と聞くしな、、、あのサイズだとどんな威力になるのかも想像もつかん。まぁどちらも大きな脅威なのには間違いないがな、、、そしてあの甲殻、、、生半可な攻撃ではダメージが通りそうにねぇな、、、」

と俺達がそれぞれの見解を示していると痺れを切らしたかの様にシャコの様なモンスターはキシキシと言った甲殻類特有の音を上げながら沢山の足を使いこちらに走って来た。

「来るぞ!奴の甲殻は表面には弱点は無さそうだ!関節か腹側が無難か!?それと物理で殴るよりは属性を通した方がダメージは通る筈だ!」

添島の見解を聞き俺は

属性付与エンチャントサンダー!」

直接的なダメージが強い火属性よりも雷属性を選択し、俺を含む前線メンバー全員にかけシャコに斬りかかる。

二重強化ダブルアップ 撃防速マルチ!」

そこへ山西も援護する様に前線メンバーに強化をかける。だが

(キシキシキシ!)

俺が刀を抜きシャコがいた場所を斬り裂くが俺の刀は空を斬る。

「危ない!避けろ!」

シャコは尾を地面に叩きつけ俺の上を舞い後ろから攻撃を仕掛けようとしていた。俺は刀を両手で振った勢いのまま両方の刀を横に薙ぎ払いその反動で避けようとする、、、

多重防御壁マルチバリア!」

(バリィィィイン!)

その時重光のバリアが何重にも目の前に展開され、シャコが一瞬の内にシャコのような鋏で拳を撃ち出した。そして、その拳は全てのバリアを砕き切り拳が元々俺がいた場所に到達するがそのバリアが時間稼ぎになり俺はシャコの攻撃を回避する事に成功した。なんて威力だ、、、だが威力と攻撃速度はあの十階層のゴリラを上回っているものの範囲は狭いな、、、しかし、普通にこの攻撃を出されると山西の強化込みでも回避は厳しいだろうな、、、そしてシャコが地面に着地する寸前のタイミングを狙って添島が腹を狙って斬りかかる。

「大丈夫か!?技の出が早いから気をつけろ!はぁぁぁぁぁ!」

(ギィィィイン!)

「な!?嘘だろ?腹側でもうっすら傷がつく程度だと!?しかも粘膜で覆って少しずつ回復してやがる、、、雷属性も粘膜で身体を覆って遮断してやがる、、、なんて防御力だ、、、こりゃ、どうしようもねぇな、、、重光!魔法はどうだ?」

添島の攻撃がシャコの腹側に当たったにも関わらずシャコは大したダメージは負っていない様だ。そしてシャコが地面に着地した瞬間

多重火雷槍マルチフレイジングランス!」

(スドドドド!)

多数の赤や黄色の槍の形をした魔法がシャコに当たり煙と轟音を上げる。

「どうだ、、、?」

添島が敵の様子を確認する、、、そして煙が晴れるとそこには

「なっ!?魔法も効かないのか!?」

自分の甲殻を前方に逆立て盾の様に展開したシャコのモンスターの姿があり、シャコ自身はほぼ無傷のようだった。そして、

(キシキシキシ!)

「安元!そっちに行ったぞ!鋏が来る!避けろ!」

盾の様に展開した甲殻を一瞬にしてしまい俺の方に飛びかかり鋏を振るった。

「分かってる!」

俺はシャコの巨大な蟹の様な鋏を後ろに下がって避けた、、、だが、

(ビュルルルル!)

「だぁぁぁあ!」

回復ヒール!」

シャコは鋏を振るった勢いで回転しながら尻尾の排水管から大量の水をレーザービームの様に噴射し、俺達の周囲全体を薙ぎ払った。もちろん近くにいた攻撃を仕掛けようとしていた仲間達もシャコに攻撃する事は叶わず吹き飛ばされる。

「大丈夫か、、、?」

添島が声をかける。が問題は無い。水の噴射は威力がそこまでは無い、だが俺達を吹き飛ばす位の威力はある。そして、どんな体勢からでも放て、周囲を一掃されるのが厄介な点である。くそっ、、、攻撃も通らねぇし、機動力も申し分ねぇ!こいつ倒せる気がしないんだが、、、

そこで添島が意を決した様に言った。

「、、、山西、俺に強化を三重にかけてくれ、、、これでダメージが入らない様だったら撤退を考える、、、」

そうか、ボス部屋からは出る事も出来る。だから一回出直すのも作戦の一つだろう、、、悔しいが今の所こいつを倒す手段に欠けるのは確かだ。

「まぁ、少しは魔力量も増えたから倒れなくはなったけど、、、本当に撤退するのね?」

山西が少し俯きながら言う。やはり皆撤退するしか無いと分かっていても悔しい様だ。

「ああ、これで駄目だったら一旦戻って作戦を考え直すか鍛え直す、、、俺は今の自分に賭けてみるんだよ、、、撤退するのはそれを試してからだ!」

添島はそう言うと山西の返事も聞かず駆け出した。

「はぁ、、、分かったわ!三重強化トリプルアップ撃防速マルチ!うっぷ、、、」

山西はかなり気持ちが悪そうに唱えた。そして、

「これで、、、!どう、、、!?」

添島がシャコに向かって駆けていき地面を蹴った時だった、、、

(ダァァァアン!)

(バキ!)

「だぁぁぁぁあ!」

何時もの様に気を込めようとした添島だったが添島が足に力を込めた瞬間足に物凄いエネルギーが流れ始めて放出された。そして地を蹴った添島はとんでもない速度で空中に投げ出され、シャコの方へと移動した。

「「添島!(君)!」」

空中に投げ出された添島の足を見るとぷらんぷらんとしている。あれは確実に折れている。俺達の心配の声が響くが、

「ぐっ、、、」

添島は必死に痛みを堪えながら空中で大剣を構えて言った。

「くらぇえええ!」

添島が落下し、シャコも甲殻を盾の様に逆立て、添島を迎え撃つ体勢に入ろうとしている。そして大剣の射程に近づいた時添島が大剣を振り下ろそうとするとまた添島が輝き出した、、、そして、剣を振り下ろした瞬間、、、

(ドゴォォォォン!)

(キシャァァァ!)

「がぁぁぁぁぁあ!」

物凄いエネルギー波が轟音と共に添島から発せられ、シャコの背中の甲殻に大きな亀裂が入る。そして、

(ドン!)

添島は反動で吹き飛び壁に激突した。添島に意識は無く、全身の骨がボロボロになっており、今にも死にそうだ。

「添島君、、、!?」

「添島、、、」

「あぁ、、、」

皆はパニックに陥りまともに指示が通らない状態にもなっており回復魔法もかけていないこのままでは添島は死ぬ!どうすれば良いんだ!そして、、、添島の渾身の攻撃を食らったシャコはまだ生きていた、、、動きは鈍いが俺達を次こそは殺す!と言う感じで見ている、、、パニックになっているのは俺も例外ではない、、、だが!不思議とこう言う時は逆に冷静になるものだ。そして、俺がぼーっとしている間にも仲間達はパニックになり何かを言っているが俺には聞こえない。こんな時はどうすれば、、、いつも指示を出していたのは、、、!?添島、、、俺はどうすれば良いんだ、、、!撤退、、、それしか、、、いや、、、だが、、、俺の思考は纏まらない。そして錯綜する、、、。こうして俺達の十五階層のボス戦は絶望的なスタートを切ったのであった、、、




〜〜〜単語やスキルなど〜〜〜

シャコの様な古代生物みたいなモンスター…モンスター名 首領貝盾蝦蛄(ドス シェールド マンティス )十五階層のボスであり浜辺階層の主。体長は優に五メートルは超えており強靱な盾のような貝殻を模した甲殻を幾十にも重ねており防御するときはその甲殻の一番上を一瞬にして展開し巨大な盾を作る。そして、蟹のような鋏とシャコのような鋏、、、何方も人間程のサイズはあり挟まれたり殴られたりすると一たまりも盾無い。そして尾には排水管らしき物があり、水を勢いよく噴射したりして敵を遠くへ放したり、機動力の増加に使ったりする。

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