17話 イージーモードは逆に不安を煽る
今回も短めです、、、ボス戦まで少々お待ちを!
蟹料理をしっかりと堪能した次の日俺達は再び十二階層を探索していた。
「よっしゃぁ!また海だぜ!」
俺はまたテンションが上がり叫ぶ。
「はぁ、、、遊びじゃないのよ、、、?」
山西があきれたような感じで言う。
「そう言えば、、、ここは蟹がでるんだったな、、、他の食材も集まれば、、、!?バーベキューが出来るな!」
俺は昨日の蟹料理の事を思い出し、他の料理も食えないかと考えておりぼーっとしていると、、、
「お前は人の話を聞けぃ!」
「へぶしっ!」
いきなり山西の飛び蹴りが飛んできた。痛ぇ、、、と言うより話を聞かずに飯に没頭していた俺が悪いのだが、、、それで蹴るのもどうかと思う。相変わらずの暴力女だ。それにしてもだ、、、まぁ、このやり取りは良いとしてだ。
(スズズ)
またあの蟹が姿を現した。まぁ、食材になるから倒しておいて損は無いし、添島の気の練習にもなるだろう。
「また蟹か、、、それでだ添島今日の調子はどうだ?行けそうな気はするか?」
添島に尋ねる。すると添島はいつもと同じ様にエネルギーを纏いながら蟹に斬りかかる。が、途中でそのエネルギーは霧散し散ってしまう。
(メキッ!バリバリバリ!)
添島の斬撃は蟹の甲羅を砕き蟹は泡を吹いて倒れる。地味に昨日よりは威力は上がっている気はするのだが、、、
「火球」
(ギィィィイ!)
重光が泡を吹いている蟹にとどめを刺す。添島は満足していないようだ。本人はあと少しなんだが、、、とか言っている。まぁゆっくりで良いから頑張って欲しい。まぁあんまり気に負わないで欲しい。その時だった、、、
(ヒュゥゥウン!)
「はあぁ!」
(バリィ!)
何かが物凄い速度で風切り音を立てながらこちらに飛んで来て亜蓮がその何かを叩き落とした。そしてその何かが落ちた所を確認する、、、すると、
「何だ、、、エビか、、ってエビ!?」
そこには真っ二つに亜蓮に両断されたエビがいた。
(ヒュン!ヒュン!)
「うわっ、、、」
(バリィ!バリバリッ!)
すると俺がエビを視認したのを皮切りに次々とエビが飛んで来て亜蓮が次々と葬っていく。そして、次第にエビは飛んで来る数を減らし、亜蓮に駆逐された。駆逐するってエ◯ンじゃねぇぞ。一文字違いだけどな。それよりも危なかった。あの速度で飛んで来るエビを亜蓮が切り落としてくれなかったらかなりのダメージを受けただろう、、、亜蓮以外は多分避けられない。だが、あんなに簡単に一刀両断出来ると言う事はあのエビ、、、俺達にぶつかっても死ぬんじゃ、、、儚い運命だな、、、ってそれよりも、、、
「亜蓮てめぇ何気無く何倒してんだよ!?」
すると亜蓮はん?俺何かしたか?みたいな雰囲気で、、、
「何って、、、エビだけど?」
と答えた。いやエビなんだけどさ、、、ん?待てよ?これでバーベキューが出来るのじゃないか?素晴らしい!と歓喜に浸りながら俺達はこのまま足を進め、十三階層へと進んだ。そして気付いた。バーベキューに必要な肉類と野菜が圧倒的に足りない。まぁ、魚介類だけで良いか。そう考えながら十三階層を進んでいたのだが、あまり十二階層との違いが分からない。と考えていると、
「きゃあぁぁ!」
山西の悲鳴が聞こえた。山西の方を見ると海の方から触手のような物が伸びており、山西の身体を拘束し、海に引き摺り込もうとしている。すると添島が
「触手だ!急いでその触手を切れ!」
と焦った様子で叫び俺は急いで触手を切ると触手は海の方に引っ込んで行った。何だったんだ、、、?さっきのは、、、と思い触手から解放された山西を見るとどこかぐったりとしていて立ち上がらない。
「どうしたんだ山西、、、何処か悪いのか?」
「神経毒みた、い、、、で身体が痺れて上手く動け無いの、、、」
どうやら先程の触手には神経毒が含まれているようだ。しかもいきなり海中から飛んで来た様で一人で行動すると危険だ。そのまま海に引き摺り込まれてしまったらお終いだ。しかし、その触手の正体は見えないままだ。良く注意して進むことにしよう。
「異常回復」
重光が状態異常を解除する魔法を唱え山西の毒を解毒する。
「ありがとう」
山西が礼を述べる。ここはさっさと抜けた方が良さそうだ。だが、この階層は今までの階層に加えてただ触手が出るだけ、、、本当にそれだけだった。本当にこんなにイージーモードで大丈夫なのか?と不安になる。まぁ、考えても仕方が無いので俺達は次の十四階層へと進み、転移碑を起動して拠点へと戻った。結局あの触手の正体は分からないままだった。そして、十四階層は少し見ると岩場が多くゴツゴツしており歩き難そうな印象だった。明日はその階層からの探索である。明らかに今までの階層とは違う気がする。浜辺と言うよりは岩場だ。だがこの階層のコンセプトを考えるとどうも嫌がらせの様な気がする。まぁ、添島の事もあるし出来ればボス部屋までに気を習得して貰えればかなりボス戦が楽にはなるだろう。そうやって色んな事を考えながら俺達は眠りについた。
「早く来いよ、、、また新しいのが来たんだろ?異世界の住民供、、、」
何処かの階層で痩せ型の青年、、、いや、アンデッドだからかそう見えるのだろうか?その人物が面白がって呟くがその声は誰にも届く事は無い。
「俺はもう死んでるんだ、、、今回こそはお前らがここから解放してくれる事を信じてるぜ、、、」
〜〜〜単語やスキルなど〜〜〜
エビ…排水管を使い、海から空中を物凄い速度で飛んで来る。背中の小さな貝とくっ付いた様な見た目をしているが、殻がそこまで硬く無いので儚く命を散らす。成虫になるものは少なく、そこまで生きられれば圧倒的な身体に強固な甲羅を持ち、強靭なハサミを持つと言う。
触手…神経毒をもち海に引き摺り込もうとする。触れると体の自由が効かなくなる。
異常回復…毒などを解除する