表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校内の迷宮(ダンジョン)  作者: 蕈 涅銘
4章 浜辺エリア
18/544

閑話 異世界の散髪事情

今回短めです。本当に閑話です笑

 俺達は蟹パーティーを終え、潮風で傷んだ髪を木材で作った櫛で梳かしながらこんな事を考えていた。髪伸びたなぁ。髪を最近切ったのはいつだっただろうか?俺達はまだこの世界に来てから一ヶ月も経っていない。だが思い返してみればとても濃い一ヶ月だった。


  まず最初の一週間は俺達が現状を理解する前にジジイの修行を受けた。そしてそれから三週間も経たない内に俺達は十階層を突破した。この勢いで行けば一年程でこの迷宮ダンジョンを突破する事も可能だろうか?俺はふと考える。いや、無理だろう。なんせ、あのジジイですらこの迷宮ダンジョンを突破出来ていないのだ。それにジジイの話を聞いている感じだとどんどん下に行くにつれて難易度は上がっていく筈だ。


  イマイチ今回の浜辺階層は難易度が上がっているとは思えないのだが、モンスター一個体の強さは上昇している。


  それとは別に今俺には新たな悩みが出来た。本当にしょうもない悩みなのだが、最近、本当にこの髪が鬱陶しくなって来たのだ……とは言っても一般からみたら少しロン毛に入るか入らないかのレベルではあるのだが、戦闘の時に髪が目に入ったりするとかなり邪魔になる。今のところ一瞬の気の緩みが死に直結する様な戦闘はボス戦以外無いが、今後その様な戦闘に直面した時に髪のせいで負けたりしたらマジで笑えない。


  大体三ヶ月周期で髪を切る俺にとってはそろそろ髪を切りたくなるものだ。しかし、ここには髪を切る設備など見つからず、ましてや美容師なんているわけが無い。まぁ俺は千円カット安定だった為特に髪にこだわりは無い。その為、自分でカットする予定だった。


  以前ジジイが散髪をしているのを見た事があるが、あの時は髪の先を少し整えただけであった。それもあって絶対あのジジイにやらせたらロクな事にならない予感がする。妙に器用で料理以外は何でも出来るジジイなんだがジジイが髪を伸ばしている事もあり、あまり髪を切っていない様に見える。だが毛先などは自分で整えているのか歳の割に整っている。さてどうしたものか……いや御託を色々並べてはいるが理由は無いのだろう。とにかくジジイにやらせたく無い。その一心である。


 自分で切っても別に良いのだが変な感じになるのが拭えない。今はもう少し我慢するか……伸びたら結んどけば良いし。


「はぁ。髪切りてぇ」


 俺が声をそう漏らした時ドアの方からノックの音が聞こえて来た。なんだ?ジジイか?それにしても何の用だ?俺は飲みかけの飲み物を机に置き、ドアを開ける。


「髪を切りたいならワシが切ってやろうか?」

「ゲホッ!?ゲホッ!?」


  俺は喉元に溜まっていた水分を誤って飲み込み噎せる。


 あ、危ねえ!さっき飲んでいた飲み物をほぼ飲み込んでいて良かった……。って俺の声聞こえてたのかよ!?今の声がドア越しに聞こえると言う事はもしかしてこのジジイには全ての部屋の出来事などが筒抜けなのか……?おいプライバシーの侵害だぞ!そもそもこの異世界においてプライバシーもクソも無いが女子達が可哀想だわ。


  いやいや、それは良いとしてだ……ジジイに髪を切って貰うのは勘弁だ。ここは素直に断らして貰おう。いや、断らせる。


「いや、良いよ。自分で切るから」

「はっはっは!遠慮しなくても良いぞい!まぁ座れ」

「ちょ!?え?」


 ジジイの笑みが俺に迫る。


  やめろ!ジジイは笑いながら俺の肩と腕を掴み強引に部屋の椅子に座らせた。俺は捥がくが当然ジジイの腕は解けない。


「うむ、あまり動くとうまく切れんぞい。粘着ディサイブ

「ふっざけんな!」


 透明な粘糸がジジイの腕から射出され、俺の身体を拘束する。手は愚か、足や首すら動かない。おい!こんなにがっちり固定する必要ないだろ!終わった……さよなら俺の髪の毛。絶対明日皆んなに笑われるのだろうな。くそっ!覚えてろよジジイ!


  「準備は万端。そっちの準備も万全じゃの」

「何処がだよ!?」


  ジジイはハサミも持たずに散髪を始めた。勿論俺の声を聞く耳も持っていない。ジジイは器用に風魔法を使いながら髪が散らばらない様にし、水魔法を使い髪を程よく濡らしていく。その手際はかなり手慣れており、俺の予想に反して不快感は一切無かった。


  そして切る速度が半端では無い。普通の散髪は十分はかかる。その筈なのにジジイはほんの一、二分で散髪を終わらせ満足そうに頷いた。魔法の技術は褒めるけどちょっと雑すぎじゃね?


  俺の頭に櫛を当てて少し整えるとジジイは俺の拘束を解き、魔法で鏡を創り出した。おいおいちょっと待てよ?そう言えば俺髪型言って無いんだが!?


  諦めた心持ちで鏡を見た俺は目を見開く。おいマジかよ。



  「普通に良いじゃねえかよ」

「何言ってるんじゃ。当たり前じゃろ?」


 そこには普通にショートカットの良い感じの髪型になった俺がいた。ジジイごめん。評価改めるわ。これなら他の仲間達にも散髪をジジイに担当させても良さそうだ。まぁ多分最初は俺と同じ様に拒むだろうがな。


「ほれ、どうじゃ?ワシ的に中々良い感じになったとは思うのじゃが」

「ありがとな。他の仲間達も髪が伸びて来てるからそれも頼むよ!」

「うむ、了解じゃ」


 ジジイに仲間達の散髪を頼んで数分の事だった。他の部屋から悲鳴が聞こえて来た。あ、しまった。先ずは俺の髪見せなきゃジジイは信じてもらえないよな。ジジイは強引に始めるしな。


  それを理解した俺はこのジジイにカットして貰った髪を見せ無理矢理皆んなを納得させ、ジジイに散髪して貰ったのであった。


  俺としては、女子陣の髪は切ったと言うよりは整えた感じがする。添島は元々髪が短かったのであんまり切った後でも見た目は変わらなかった。そもそも添島に関しては切る必要無かったかも知れない。


  そして、この世界には香料的な物等も豊富な事も分かった。というより前の草原階層で結構採れたらしい。見逃していた。


  俺達は探索重視と言うよりかは攻略重視って言うのもあって隈なくエリアを探索する事はあまり無い。そして驚きなのは植物を合成して作成したリンスー的なものも存在していた。ジジイがそれを出した時には女子達の目が輝いていた。美容にはやっぱり目がない様だ。後にリンスーに昆虫素材を使用している事をジジイに暴露され、山西がブチギレたのは言うまでも無い。


  おい、ジジイ俺の時は香料もリンスーも使わなかったよな?女子贔屓か?まぁ良い。こうして俺達は散髪を終え快適な睡眠を手に入れたのであった。


胸のサイズは山西<重光です。 ※浜辺階層では水着は見られません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ