144話 確実性
マジかよ……俺達の目の前には赤く轟々と燃え盛る大きな竜の姿があった。
頭の甲殻には大きな亀裂が入っており細くくびれた身体からは緑色の体液が流れている。
アリジゴクは羽化してバーニングドラゴンフライになったのだ。
既にバーニングドラゴンフライはボロボロだが、羽化してからクールダウンを必要としないのは凄いな。
バーニングドラゴンフライの熱気は伝わってくるが、既に重光はアクアランスを準備しており、バーニングドラゴンフライは既にボロボロだ。
こんな好条件は無いだろう。
「ギィイアアアア!」
バーニングドラゴンフライが全身の炎を立ち上らせて吼える。
バーニングドラゴンフライの熱気は俺達にも伝わり汗が流れる。
ただでさえ暑いのに、こんなの堪ったもんじゃねえな。
さっさと決めないと……
「藍水槍行きます!」
重光がアクアランスの構えをしてアクアランスを放つ。
「ギィイアアアア!」
するとバーニングドラゴンフライはアクアランスに向かって火を吹きながらぐるぐると暴れながら炎をばら撒く。
速い!そしてバーニングドラゴンフライぐるぐると回りながら重光を狙っている事に気がつく。
そして地味にばら撒いた炎は俺達を妨害する。しかし、俺はそこでスパイルから学んだ事を生かして落ち着いて考える。
まず、バーニングドラゴンフライはボロボロだが、動きが速い。普通に攻撃して仕留められるとは思えない。
今までの俺達だったならば、添島や俺が高火力の攻撃を重光を守るように放ってバーニングドラゴンフライごと吹き飛ばそうとしただろう。だが、今回は違う。
「亜蓮はヘイト管理!重光はアクアランスを収束させて前方放射!山西は速効性の強化!添島は適当に動け!」
「「了解!!!」」
「……俺は自由か……了解」
「影武者」
亜蓮がシャドウウォーリアを発動させてナイフをバーニングドラゴンフライの左側。
つまり、添島がいる方向へと注意を向けさす。
「へっ!気爆破!」
添島は亜蓮がシャドウウォーリアを放つのを確認してその方向へと動いてバーニングドラゴンフライを捉えたのだ。
これは俺の予定には無かったがナイスだ。添島。
だが、これは添島が俺の意図を捉えた上で、行った行動であり、本攻撃では無い。
本攻撃であれば、山西のバフを受けずに添島が攻撃をすると言う事は無いだろう。
実際に添島の攻撃はバーニングドラゴンフライの動きを抑える役割を果たしており、バーニングドラゴンフライの周りの炎を吹き飛ばす程度に済ましている。
だが、バーニングドラゴンフライの注意は現在添島と亜蓮に向いており、添島の攻撃で動きを遮られている。
「四重強化 撃防速」
来た!俺は全身にバフがかかったのを確認して両手に冷気を込める。
しかし、俺の攻撃はバーニングドラゴンフライを仕留める物では無い。
足止めは二重にかけて、確実性を高めるものだ。
「ギィイアアアア!」
バーニングドラゴンフライは俺の思惑に気がついたのかアクアランスを前方に終息させて放とうとしている重光を捉える。
だが、遅い。
「内部属性圧縮付与 氷!」
俺は重光の攻撃の射線上に入らない様に後ろに飛びながら両手から強い冷気を放出させて射線上のバーニングドラゴンフライごと薄い氷で覆う。
「ギィイアアアア!!!」
バーニングドラゴンフライはすぐ様炎を上げて氷を割るが時既に遅し、重光の放出させた取り分け大きなアクアランスはバーニングドラゴンフライの目の前に迫っていた。
そして、重光のアクアランスはバーニングドラゴンフライに直撃した。




