98話 激レアドロップアイテム
「ふぅ、、、毎回こんな敵出て来たらまともに進めねえぞ、、、?あのゴリラが普通の敵とは思えないんだがな」
戦闘が終わり俺達はひと段落つく。確かにそうだ。あんな奴らが毎回襲って来たら俺達はまともにこの迷宮を進む事は出来なくなる。だが俺はよく考えてみたらこれは中ボスモンスターなのでは無いかと思う。多分忘れている人も多いと思うが草原エリアでヘッドバットトータスと戦う前の事だ。あの時ジジイは言っていた。エリアにはエリア毎に普通のモンスターとは一線を課す強さのモンスターが居ることがあるとそれが中ボスモンスターだ。そしてあのジジイの居ることがあると言う表現から滅多に遭遇する事は無いのだろう。だが、、、俺達は二エリアに一回、、、いやそれ以上は中ボスモンスターと遭遇している気がする。もう本当に勘弁して欲しい。やっぱりふ俺達って運が悪いのかもしれない。だけど中ボスモンスターと戦う事で得た経験もあるので一概には運が悪いとは言えないのだが、、、中ボスモンスターを倒してアイテムとかがドロップすれば良いのだが、、、この迷宮、、、いや、この世界でモンスターから宝箱がドロップした事はまだ無い。と言うより現実的に考えればモンスターを倒して宝箱が出る方がおかしい気がする。とか言い出したら魔法とかモンスターが存在する時点でおかしいのできりが無い。どちらかと言えば宝箱はドロップすると言う感覚よりかは迷宮の討伐報酬で宝箱が出て来たりモンスターが溜め込んでいた宝を見つけたりみたいな感じだろう。ロマンの欠片も無いや。だけど、本当にごく稀にモンスターを倒した時に光が収縮して宝箱を形成する事があると言う話は亜蓮から聞いた事がある。つまりは激レアドロップみたいなものだ。この知識は亜蓮の元のオタク知識からの情報なのか、どこかで書庫を見たのかは分からない。だからあんまり信じていない。亜蓮はマラソンは数週間はぶっ通しでやるもんだとか訳分からない事言っていたが確率おかいしいだろ。ここまで一回もモンスターから宝箱が出ていないと言うのは流石におかしいのでは、、、無いかと、、、は?俺が考え事に耽っているとキングオーラゴリラの死体の周りに光の玉が複数個出現し舞い始める。え?これマジで言ってる?さっきまで俺が信じていなかった事が起ころうとしているのか?俺はそう思ったがもしかしたら森だから妖精とかかも知れない。そして光が収縮し集まって俺達の身体ほどはある大きな宝箱になった。宝箱の中身は亜空間になっている事がある。だから宝箱の大きさと中身は比例するとは一概には言えない。逆に宝箱が大きくても中身がスカスカの場合もある。宝箱は中身を取ると消失するから宝箱をアイテムボックスとして持ち歩く事は不可能だが。
「お、何だ?宝箱?」
添島が驚きの声を上げる。これ、多少のタイムラグ発生するんだな、、、キングオーラゴリラを倒してから一分くらいは経ってるぞ、、、
「ほら言ったろ!激レアドロップだ!やっぱりジジイの書庫の情報は本当だったんだな」
やっぱり亜蓮お前、、、ジジイの書庫に忍び混んでいたのか、、、?だが亜蓮のいつもの発言とかモンスターと遭遇した時の反応を見る限り見た項目は戦闘面に関係無さそうな所だとは思うが、、、多分あいつ自分の基礎のオタク知識とこの異世界の姿を照らし合わせたくてついつい書庫に忍び混んでしまったのか、、、?良くあのジジイの目を盗めた事だ。まぁ、書庫は書庫でも公開されてる書庫と公開されていない書庫はあるんだが、、、俺が見た限りそんな情報が書いてある文献は無かった筈だ。まぁ、これは別にジジイがこの情報を隠す意味も分からないけどな。あのジジイの事だ。あんだけ沢山本があるんだ。置く場所を間違える事もありそうだ。俺だって一人で数十万冊もの本を整理しようと思ったら考えただけで頭が痛くなりそうだ。それはさて置きだ、、、宝箱の中身が気になる所だな、、、そう思い蓋を開ける。
「おい、罠がかかってたらどうする、、、」
添島の声が聞こえる前に俺は宝箱の蓋を開けた。亜蓮は横で指をグッドの形にして立てているので大丈夫なのだろうが、すまん、よく考えたら罠の可能性を考慮してなかったわ。
「は?何だこれ、、、?」
そこには大きな布切れ一枚と手のひらサイズの石が入っていた。やべぇ、、、マジで何に使うのか分からないな、、、俺達はその中身に動揺を隠せなかった。ううん、、、微妙だ。この戦いで俺達も消耗したし、装備の整備もある。それにこのアイテムをジジイかエルキンドに見せればこれが何かは分かるだろう。ここは一旦拠点に戻るか、、、ここは三十一階層から少し移動した場所だ。三十一階層はエルキンドに転送してもらえば早そうだ。俺達はそう思い山西の回復を待ち山西が回復して素材を回収してから三十一階層に移動しエルキンドに転送して貰うのだった。エルキンドにこのアイテムの事を聞こうと思ったがあまりに迅速な対応、、、転移魔法の発動に戸惑い結局ジジイに言っても左程時間は変わらないので俺達はジジイにまとめてこのアイテムの事を聞くことにした。まぁ、どうせ装備の整備とかもいるだろうし問題ないだろう。ジジイが分からなかったらエルキンドに再び聞きに来れば良いだろう。
「あ、また、あの人の事伝えるの忘れてたぜ、、、俺も歳を取ったか、、、?」
エルキンドは安元達を送り出した後に頭をぽりぽりと掻きながら言ったのであった。