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3.出会い


 駆け寄ってきた女の子の名前はシェーラ。

 シェーラ=ユークリウス。

 腰まである緋色の髪は炎のように鮮やかで、瞳も同じ透き通るような緋色をしている。

 走る動きにあわせて炎髪が舞うように踊っていた。


「アンタ、大丈夫なの!?」


 駆け寄ってきたシェーラは俺が無傷なのを見ると、ほっとしたように表情をゆるめる。

 それからすぐに瞳をつり上げた。


「だいたいアンタもアンタよ! ゴブリンごときに負けそうになってるんじゃないわよ!」


 いきなり怒られた。

 そんな理不尽な、とも思うが、それがシェーラだ。


 感情的で思ったことはすぐ口に出るし、考えるよりも先に行動する。

 俺を助けてくれたのだってそうだ。

 ゴブリンに襲われている俺を見て、考えるよりも先に攻撃魔法が出る。


 シェーラの瞳はつり上がるように鋭く、態度にも容赦がない。

 いわゆる「黙ってれば美少女」というやつ。

 それがシェーラという女の子だ。


 年は16。俺と同じ年だ。

 顔立ちは年齢相応に幼く、そして性格同様に引き締まっている。

 設定として決まっているのはそんなところだ。実は隠された秘密があるが、それはまだいいだろう。


 姿も美少女とか、かわいいとか、そんな表現しか書いたことがない。

 だって、面倒だし。


 描写なんて、別に絵がつくわけでもないんだし、誰だかわかればいいじゃん? 最悪名前を書いとけばなんとかなるし。

 それに小説は更新頻度が求められるから、細かいところまで考えてる余裕なんてないんだよね。

 せいぜいキャラ付けに髪が赤いと書くとか、そんな程度。


 しかし目の前にいるシェーラは違った。


 もちろん髪は赤い。

 しかしただ赤いだけでなく、炎のようにきらめいている。魔力の影響か何かなんだろうか。


 そしてなにより、かわいい。

 かわいいという言葉じゃ表現できないくらいにかわいい。

 信じられないくらいの美貌? 絶世の美少女? まるで二次元の世界から抜け出してきたような……ダメだ、俺の表現力じゃ表現しきれない!

 とにかく、とにかくシェーラは──


 じっと見つめる視線に気づいたのか、シェーラが眉を寄せる。


「な、なによ……?」


「め……」


「め?」


「めっっっっっっっっっっちゃ美少女じゃん!!」


「ふぇっ? な、なにっ?」


 シェーラが怯えた目を向けてくる。

 俺は構わずに全速力で駆け寄ると、べたべたとシェーラの全身を触りまくった。


「さわれる! 本物だ! 本物のシェーラだ!!」


 うおお、まじか……。本物だよ。本当にシェーラが存在してるよ。

 俺の趣味全開で作ったんだから美少女なのは当たり前なんだけど、これはもう信じられないくらいにかわいすぎた。

 単に俺の好みにドストライクすぎるってのもあるかもだけど、それを差し引いても女神すぎる。


 すごい、髪もマジでさらさらだ。

 それに男のような固い体つきじゃない。

 肌は柔らかく、なんかいい匂いがする。


 特徴的な赤い鎧のしたには、白いドレスのような服をきていた。

 そうそう。こういう姫騎士みたいなデザインって本当にイイよな。

 鎧の金属的でカッコいいフォルムと、その下にある女の子らしい柔らかな曲線のギャップが最高にかわいいと思う。


 この高貴さは女騎士じゃ出せない。姫騎士なところがいいんだよ。

 ちなみに服装の描写をした記憶はないから、たぶんこの格好は俺の趣味が反映されてるんだろう。

 ひょっとしたら容姿も俺のストライクゾーンに全振りなのかもな。


 いや、それあるよ。

 だって俺主人公だよ?

 小説に出てくる女の子はみんな主人公を好きになる運命にある。


 この世界が俺の書いた小説を元にしているというのなら、シェーラも主人公を……つまり俺を好きになるのは時間の問題だ。

 いやもう好きになってる可能性すらある。

 そういえばさっきから俺のことをずっと見てるし……ああ、もうまちがいない。これは惚れたな。


 俺は勢いよく情熱的にシェーラの両手をつかんだ。


 意外に華奢な体がびくっと震える。

 ああ、好きな人にいきなり迫られたらびっくりしちゃうよね。

 俺はできる限り紳士的な声を心がけてささやいた。




「結婚してください」




 そのときのシェーラの反応を俺はうまく表現できない。


 ぽかんと表情が抜け落ちたと思ったら、怯えたような目をしたようにも見えたし、怒りに燃えたような気もした。

 そんなわけないよな。俺のこと好きなのに。

 ああそっか。突然のプロポーズにどう反応したらいいかわからないんだな。

 強気なくせにそういうところはちゃんと女の子なんだから。かわいいなあもう。


 やがて形のいいふっくらした唇が開くと、震える声をかすかに響かせた。


「わ……」


「わ?」


 わかりましたよろしくお願いします?

 わたしなんかでよければ?

 つまり、ワンチャンあるってことですかー!?


「わけわかんないこと言ってんじゃないわよーっ!」


 至近距離で爆発魔法が炸裂し、俺の体が見事に吹っ飛んだ。

区切りのいいところで切ったら短くなってしまいました。

次は16時更新の予定です。

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新シリーズはじめました。
優しさしか取り柄がない僕だけど、幻の超レアモンスターを助けたら懐かれちゃったみたい
助けた美少女モンスターとのまったり日常二人旅(の予定)。こちらもよろしくお願いします。
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