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1.転移

 目が覚めると見たこともない空が広がっていた。

 雲ひとつない青空には太陽の他に、赤と青のふたつの月が浮かんでいる。

 目を前に向ければ緑の草原がどこまでも続き、土を踏み固めただけの道が前後に続いていた。


 日差しはあたたかく、吹き抜ける風は涼しさで心地良い。

 頬をつねれば当然ながら痛かった。


 寝る前までは現代日本の俺の部屋にいたはずなのに、気がつけば原っぱのど真ん中だ。

 これはアレか、いわゆる異世界転生ってやつか。死んでないから転移かな。


 まあどっちでもいいか。

 重要なのはそこじゃない。


 もう一度空を見上げた。

 特徴的な赤と青のふたつの月が浮かんでいる。

 異世界なんて今じゃどこにでもあるけど、こればっかりはまちがえるわけがない。


 ここは俺が書いた小説の異世界なんだからな。






 いったい何でこうなったのかわからないが、とりあえず状況を整理しよう。


 服装は、寝る前に着たジャージではなく、なぜか制服姿になっていた。

 持ち物はない。

 スマホくらいあるかと思ったけど、それもなかった。充電器に差しっぱなしだったからかな。

 常に身につけている習慣だったら持ってこれたのかもしれない。


 かわりに、腰に一本の剣がささっていた。

 見た目は普通の剣だが、柄の部分に赤い宝石が埋め込まれている。

 加護のルビーと呼ばれるそれは、主人公の剣に埋め込まれているチートアイテムのひとつだ。


 つまり俺は主人公らしい。

 ちなみに俺の小説の主人公も現代世界からの転生者なので名前は「ダテハヤト」というが、今の俺の名前は伊勢悠真いせゆうまだ。


 せっかくだから記憶の確認もしておくか。

 俺は伊勢悠真。高校二年生。引きこもりというほどではないがそんなに社交的でもなく、趣味も読書と小説執筆。

 成績は中の下。運動は下の方だ。


 うん。記憶も引き継いでいるようだな。

 学校での勉強の知識も……まああまり勉強に熱心なほうではなかったが、覚えている。

 科学知識とか、歴史とか、知ってるだけでチート出来る知識は多いからな。そういうのだけはちゃんと勉強してたぜ。


 次いで俺は全身を確かめてみた。

 主人公は確か長身のイケメンという設定にしたはずだ。

 が、そのわりには体つきが変わった感じはしないな。


 腕も普通の長さだし、なによりどうみたって筋肉がない。

「ムキムキというほどではないが必要な筋肉はきっちりとついた引き締まった体つき」と描写したはずなんだけど、どうやらそんなことは全くないらしい。


 顔はどうなんだろう。

 鏡なんて持ってないし、どうやって確認するか。

 おっ、そうだ。


 剣を鞘から引き抜くと、目の前にかざした。

 ピカピカに磨き抜かれた刀身に見慣れた顔が映る。


 ……うん。俺の顔だ。

「やや幼くて女性に見間違われることのある中性的な顔立ちのイケメン」ではなく、どう見たっていつもの俺だ。

 ちなみに主人公は金髪だったが、今の俺は純日本人な黒髪。


 現実は非情だな。

 せめて見た目くらいイケメンに生まれ変わらせてくれてもいいじゃないか。

 生まれ変わったらイケメンになっていたのでなにもしなくてもウハウハのハーレム生活でした、なんて異世界ものはどうよ。


 ……すでにあった気がする。


 さて、落ち込んでてもしょうがない。

 とにかく俺はどうやら主人公らしい。

 だったら次にやるべきことは……なんだっけ?


 さすがに自分の小説とはいえ、最初の頃の細かい展開は覚えてないんだよなあ。

 うーん。考えてもわかるわけじゃないしな。

 とりあえず道を進んでみるか。


「おっ、あれは」


 長く伸びる道の先に目を向けると、緑色の肌をした人影が見えてきた。

 たしか最初に出てくる敵はゴブリンだったはずだ。

 さっそく初戦闘ってわけか。テンポが良くていいな。


 ……これって自画自賛になるのかな。

初投稿です。よろしくお願いします。

しばらくは書きためた分を載せていこうと思います。

次は12時更新予定です。


誤字脱字などご指摘いただきますと助かります。

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新シリーズはじめました。
優しさしか取り柄がない僕だけど、幻の超レアモンスターを助けたら懐かれちゃったみたい
助けた美少女モンスターとのまったり日常二人旅(の予定)。こちらもよろしくお願いします。
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