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異世界留学のすゝめ  作者: 兎月兎
6/8

6 紙芝居です

更新遅れてすいません!!

これからは超亀更新となりますがしっかり完結させるので、末永くよろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ

 朔莎は意外とすぐ帰ってきた。なぜか手に紙の束を持っている。


 朔莎はその紙の束をどん、とテーブルに立てた。表紙には「翠都学園にようこそ~初めての学園編~」とポップな字体で書かれている。


 これは紙芝居なのか、と更紗たちが思っていると、朔莎が突然


 「翠都学園にようこそ~初めての学園編~」


 と言った。ぽかんと意識を置いていかれている更紗たちを気にせず、1枚ページ目をめくった。──どうやらこれは紙芝居のようだ。なんというか、独特のセンスがある。


 朔莎が紙芝居をぺらりと1枚めくった。


 「貴立(きりつ)学園法人、翠都学園の中等部、高等部Ⅰ類の学生、以下翠中生、翠高生は大学までの一貫した教育という目的で集められています。よって授業には大学生、大学院生との共同研究も含まれており、高1からそれらは自由に選ぶことができます」


朔莎が再びページを捲ると、今度は「しかし…」という文字が出てきた。


「しかし!我々が集められたのはそれだけではにゃ、無いのです!」


朔莎は噛んだ。いい所だったのに、一気に場の空気が白けてしまい、更紗は困惑気味だった。

次の瞬間、朔莎はずっと被っていた黒い口ーブをばさりと脱ぐと、たちまちそこは蜂の巣をつついたような騒ぎになった。


「え、朔!?髪染めたの!?でもこのあいだまで普通に黒だったよね!?」

「いやいや、かつら?てか、目も青ぽいし!」


更紗はまったく動けなかった。

その光を受けて真っ直ぐに輝く白金色の髪も、青みがかった黒い瞳も全て、全て────


更紗はふと頭痛を覚えた。頭の芯に突き刺さる様な痛みに顔を一瞬顰める。


(そうだ、私は、何かを思い出そうとして……)


思い出そうとする度に頭の芯を突く痛みに耐えかねて更紗は思考を破棄した。

頭を一振して朔莎の方を向くと丁度話が始まるところで、何も聞き逃してはいないだろうかと更紗は注意深く聞き始めた。


「私たちは誰しも生まれた時から大なり小なり力器(りき)と呼ばれる力の受け皿があります。そしてこの学校に入学してくるのはその力器が大きすぎたり小さすぎたりする人たちです!」


そこまで一気に言い終えて朔莎はふっと息を吐いた。


「そしてこの力器が小さいと溢れ出した(りょく)がポルターガイストなどを引き起こします!ちなみに大きすぎると体に十分な量の力が回らず、死にやすくなったりします!……って、あれ?」


朔莎は急に紙芝居をごそごそといじり始めた。さっきまで上気していた頬が今では少し青ざめている。


「あっ、あった!ごめんなさい、ちょっと入れるの忘れてたのがあったんで……えっと、一つ前の話の続きです。えっと、その力器の他にももう1つ肝心な要素があります。それが(りょく)と言うものです。力は私たちの身体を廻っている不可視の物体で、生命力とも言います。これが無いと人は生きていけません。大抵の人は力器と力との釣り合いが上手く取れています。しかしながら、希にそうでない人もいるのです。そしてこの力器が……っと、ここはもう読んだんだしいいか…まあとりあえずこの学校に入ってくるのはこの力器と力の釣り合いが上手くとれず、なんだかんだ大変な人々なのです!」


(いや意味わかんないよ!)


更紗は脳内で盛大に突っ込んだ。


「えー、この力器から溢れた力はどうなるかと言うと、簡単に言えば、超常現象を起こすものになります!この溢れたものを術力(じゅつりょく)と言います。私たちはこの術力を使い、風を起こしたり火を焚いたり出来ます!」


朔莎はそこまで言うと、片手を出した。そのままゆっくり弧を描くと、そこに微かな揺らぎがあった。


「ええと、これが術力をそのままの状態で呼び出したものです。それでこれが……」


朔莎は再びもう片方の手で弧を描くと、そこには金色の揺らぎが出来た。


「これが力のそのまんまな状態です。これは生命力そのものだから例えば死にかけの人にあげると生き返ります。更に寿命も伸びます。その代わり自分の寿命は縮まるんですけどね」


更紗は今の朔莎の言葉に違和感を覚えた。なにか違う。少し考えてそれが言い方だと気づいた。

朔莎はさっき、本当は言いたくなかったかのように早口で、かつそんざいに言ってのけたのだ。


「そして!この術力をどうにかしようと作られたのがこの学校です!よってこの学校では術力の使い方も普通の授業と同じように教えています!とりあえずさっき皆さんは私の姿にびっくりしましたよね?私たちは普通、黒髪黒目で生まれ、死にます。しかーしっ!!今の私のように術が使える状態───術師化しているとこのように髪や目の色が変わります。大抵は苗字に因んだ色になりますよ。そこで!みんな!自分の術師化した姿を見たいかーッ!!」


………あたりを静寂が支配した。


「見たいかーッ!!」


朔莎は半ば叫ぶようにして聞いた。更紗は朔莎とぱちりと目があった気がして、「み、見たい…?」と答えると縋るような目がほっとしたかのようにやわらいだ。


「それを知りたければ紙芝居第2弾、人あらざる者との付き合い方を読みましょう!!」


そう朔莎が締めくくり、もうひとつの紙芝居をどこからか取り出した。


(だ、第2弾て……)


紙芝居はまだまだ続く───

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