4 朝顔の宮へ!
「あの、すいません」
身を固くする更紗に向かって、少女が声をかけた。かなり髪の長い少女だ。彼女の隣にはそっくりなもう1人の少女がいる。
「あの、朝顔の宮に行くんですか?」
恐る恐るもう1人の少女が聞いた。
その言葉に更紗がほっとして「そうだよ」と笑顔で頷くと、始めに声をかけた少女が安心したかのように言った。
「それなら、朝顔の宮がどこにあるか、わかりますか?」
更紗は笑顔のまま、固まった。
「エート、朝顔の宮ですか、ちょっと、私は………」
「おーい、あぁ、いた。朝顔の宮はこっちだよ」
と、誰か知らない青年が教えてくれた。更紗は一瞬混乱したけれど、少女たちが安心したようすだったので、ついていかせてもらうことにした。
路地裏から少し歩いたところに朝顔の宮はあった。
朝顔の宮は意外なことに洋館だった。
古びた赤茶色のレンガ、そこに張り付く薔薇の蔦………ではなく、朝顔の蔦。
え、ちょっと待って、そこはフツー薔薇でしょ、という更紗は内心で突っ込んだ。
しかし周りの皆は気にしていない。
どうやら異世界では洋館には朝顔の蔦が一般的らしい。
しばらくすると、玄関についた。
青年がドアベルをカンカン、と鳴らすと、はーい!と中から声が聞こえた。
いよいよ異世界生活の始まりだ、と更紗はぎゅっと拳を握りしめた。