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地上に眠る蒼穹~Celeste blue~  作者: ZAKI
第1部 スラム編
39/202

第9章 造反部隊との協定(2)

 午前9時42分。敵の退却に合わせて、スラム側でも一時撤退を試みた。

 被害状況とそれに伴うグループの再構成、データの分析、戦闘員の疲労度合い等を考慮しての判断である。


「ご苦労だったな、デル」


 ボスの最終指示を仰ぐため、前線で総指揮を務めた金髪の黒人から入った連絡を受け、ルシファーは慰労いろうの言葉をかけた。モニターの向こうからは、疲れきった表情のわりに、存外元気な反応が返ってきた。


「まったくよ。徹夜で害虫駆除なんて最低! こっちはもうへとへとだわ。睡眠不足はお肌の大敵なんですからねっ」

「わかった、わかった。悪かった」


 つい数時間前の賭けの話を思い出して、笑いを噛み殺しながら司令部のボスは言った。


「デル、おまえはもういい。戻って好きなだけ休め。あとは俺が引き受ける」

「あら、ほんと? しぶといのがまだ数匹残ってるみたいだから、引き上げついでにカタしちゃったほうがいいんじゃないの?」

「いや、いい。軍側の退却命令無視して、こっちに乗りこんでくる気満々のようだからな。俺がじかに出向いて、たっぷり歓迎してやる」

「んま、それは素敵。やっとセレスト(うち)の出番てわけね」

「ミッドタウンのいちばん西側の地下通路使って戻ってこい。そうすれば鉢合わせしないで済む」

「りょーかーい。即刻戦闘グループに解散かけて、デルちゃんはまっすぐおうちに帰りまぁす」


 軽く請け合って、報告者は画面から姿を消した。ほぼ同時に、ルシファーはコンソールのキーを叩く。通信中、画面の右上端に出ていた地図を全面に表示させると、それを睨みながら背後の人物に声を飛ばした。


「メンバー全員、いますぐホールに招集かけろ」


 命令を受けた人物が、一揖いちゆうして部屋を出ていこうとする。それを呼び止めて、ルシファーは向きなおった。


「カタは、一気につける。それでいいな? シヴァ」


 返答はなかった。なにもかも諦観ていかんしたような表情で目礼すると、青年はドアの向こうに姿を消した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回のお話は世界観もさることながら、妻子持ちの記者と男勝りな女性、そしてギャングたちという組合せがまた新鮮でいいですね!ぜんっぜん少年らしくないルシファー、優しくて強いデリンジャー(彼女だ…
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