第22章 熾烈なる攻防(1)
《旧世界》北西部、《北風門》。
黒服に身を包んだ男たちが、ゲートから続々と港湾北第7ブロックに向けて侵入を果たした。その数、およそ150。
侵入者たちは、南西ゲート《西風門》からドームを抜け出て外周を北上し、スラム最深部である港湾北第7ブロックへ直接乗りこんできたのである。
「わお、ボスの予想敵中!」
ゲートを映すモニターをチェックしていたヒンクリーの言葉に、尻上がりの口笛が複数鳴った。
ガイル、ロルカ、ジェイド、ウェイ、ミウ。
《セレスト・ブルー》の中でも、生え抜きの精鋭たちが顔をそろえていた。
「毎度のことながら、ボスの読みは百発百中。どんな脳みそしてたら、こんな正確にいろんなことを見通せるかね。盲点すぎて、外からの侵入なんて想像もつかなかったぜ」
「俺らとは皺の数が圧倒的、そりゃもう桁違いに多いってことだけはたしかだろ」
「言われてみりゃ、ゲートなんて、侵入経路にゃもってこいの絶好ポイントなんだけどな」
「港湾北第7ブロック周辺は、軍との交戦で味方ががっちりかためてるうえにボスは不在。となれば、ふつう、アジトに籠もってるセレスト内の気は当然ゆるむわな」
「そこに、思わぬ方向から奇襲かけられりゃ、だれもが泡くって、応戦もへったくれもなく一方的にやられるのみ。労せずして奴らは目的を達するって寸法だ」
「戦略としては、なかなかなんじゃないか?」
「そうだな。いい線いってると思うぜ」
「完璧な作戦だ。間違いなく成功するだろうよ」
「ああ。だがそこには、『俺らのボスが《ルシファー》でなかったら』って但し書き付きでってことになるけどな」
参集していた《セレスト・ブルー》の幹部たちは、不敵な面構えで互いに視線を交わすと、各自打ち合わせ済みの戦闘配置場所へと散っていった。




