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最強プレイヤーが代表チームを率いて世界一を目指す話(旧題/日本サッカー架空戦記)  作者: 三輪和也(みわ・なごや)
トーナメント1回戦/争奪
57/112

倉木一次その5

(選手入場)

実況「さぁ22人の選手たちが入場してきます。すでに大盛り上がりのスタンド。U-17ワールドカップ決勝トーナメント1回戦日本対ナイジェリア。まもなくキックオフです! ……」



(キックオフ直前)

実況「……ではここで両チームのここまでの戦いを振り返りましょう。まずは日本。第1戦アルゼンチンとのゲームでは立ち上がり早々エース倉木がこのスーパーゴール。この1点を守りきり勝ち点3を手にしました。続くセルビアとの第2戦では先制しながらもすぐに同点ゴールを許す苦しい展開。しかしウィングの鹿野がDFをかわし決めます。ここから日本は前半のうちにセルビアを突き放し5対1で大勝しています。そしてこれは4日前に行われたトリニダード・トバコ戦。日本は前半から何度も決定機をつくりながらゴールが奪えません。しかし後半31分、日本のキャプテン逢瀬が自陣のCKからドリブルで攻め上がりシュート、クロスバーに当たったボールをみずから押しこみました」

解説「お前ら頼りないからもう俺にやらせろってプレーでしたね」

実況「青野監督の組織的なサッカーには定評がありましたが、こういった1人の力でもゴールを奪いきれる選手が加わったことでますます強くなっている、本当に優勝を狙えるようなチームに仕上がっているように思えます。3連勝で勝ち上がった日本の決勝トーナメント初戦、相手は強豪ナイジェリア代表です。ナイジェリアはここまで3試合で6失点と守備が安定していない印象を受けますが……」



(前半0分)

実況「……ナイジェリアボールでキックオフ、試合が始まります。右から左に攻めるのが日本、左から右に攻めるのがナイジェリアです。1度下げたボールを大きくキック。サロ=ウィアが追いかけますがここはマルコーニがキャッチ、日本ボールになります。マルコーニが近寄った木之本にスローイン。木之本から逢瀬、逢瀬から樋口。左サイドでゲームをつくります……」



(前半7分)

解説「だんだん両チームのフォーメーションがわかってきたかな」

実況「はい」

解説「両チームとも予想通り4-3-3で、日本はグループリーグから変化はないですけど、ナイジェリアはメンバーから違いますからね。センターフォワードのサロ=ウィア選手はそのままで、左右のウィングはこの試合が初先発だと思います。これまで左ウィングで使われていた10番の選手がトップ下で、それまでトップ下で活躍していたクティ、今バックパスをした選手です……しかしデカいな。187? クティがボランチでプレーするのかな」

実況「やはり負けたら終わりのトーナメントですから……」

解説「バスケやれってくらいデカい。何喰ってるか教えて欲しいですよ」




 前半12分、日本の攻撃。



 遅い攻撃になった。ナイジェリアは陣形を整えている。

 有村が低い位置に下がっていた。センターサークルの手前だ。

 前をむいた。狙いは前方の志賀へのショートパス。

 まだゴールまで50メートル。しかしもう攻撃のスイッチははいっている。

 志賀は鮎川へパス。鮎川は堅実なポストプレー。左足で止め右足で志賀へリターン。

(鮎川がDFの後ろにできたスペースを腕で示す)。

(鹿野が左サイドから近寄り)、

(俺が志賀の右側を追い抜いたが)、

 志賀自身が決めにいく。マークするDFに縦を使うと見せかけ、ボール左横に流す。

 そのまま左足をふりぬいた!

 転がしてニアサイドを狙ったシュートだった。しかしこれは枠を捉えず右に外れた。



 これが日本の最初のシュート。

 厳しい戦いを強いられているのはナイジェリアのダブル(英語)ボランチ(葡語)に苦戦しているからだ。

 クティと4番は本当にいい守備をする。サイズがあって足が速くて球際に強い。この2人だけで中盤の守備をまかなえている。そのためかトップ下の10番はあまり守りに熱心ではない。




 ナイジェリアのGKは時間をかけてボールを蹴る。俺は急いで元のボランチの位置に戻る。

 有村が話かけてくる。「今志賀がシュートを外したのは……」


「センターバックがプレッシャーをかけたからだ」


「試合前DFが弱点だと言いましたよね。特にポディショニングが悪いと」


「今は上手く守られた」


「志賀はプレッシャーをかけられて外しました。ナイジェリアは5バックになっています」


「5バック……良く見てるな」


「攻撃時に右ウィングになってる選手が最終ラインにまで下がっています。右サイドバックのさらに右です。だから中央の人口密度が上がり、スペースが消えている。DFのポディショニングの悪さを解消させる相手ベンチの作戦です」


 ナイジェリアの右ウィング……今樋口の前にまで上がってきた背番号13のことか。

「どんな選手なんだ?」


「右利きのサイドハーフです。運動量が豊富でこの役割にぴったりな選手かと」



「なんでも知っとるわぁ~~この人ぉ」


「よくわかんないですけどギャグは止めてください……こっちの作戦も上手くいってるみたいですね。可変システム(・・・・・・)


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