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佐伯で遊ぼう上
その日は丸1日オフだった。
俺はホテルの廊下を移動する佐伯を呼び止める。
「よお佐伯佐伯ぃ」
「なんだよ」
「同じ武将みたいな名前コンビだろう」
こいつは藤政で俺は一次だ。この年代にしてはいやに古臭い名前をつけられているではないか。
俺は佐伯に近づく。「それにしても細目だね。いい加減メガネにしたら?」
「大きなお世話だ」
「あれだよね。マンガとかだと細目キャラって大概腹黒だよね。お前もぉ?」
「マンガの話とごっちゃにするな」
「でも有能キャラでもあるんだよ。細目で無能ってレアだよ。お前も使えるってことだよ」
「どうでもいい」
「思うんだけどさぁ、よくあるでしょ、細目キャラが本気出したら開眼するってテンプレ。でも考えたら視力悪いから細目にしてるんだし眼開けたら見えなくね?」
「知るかよ」
「お前どこまで眼ぇ開けられる? 手ぇ使わないで。やってみやってみ。うん……うん……メ、メルカッツ提督?」