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最強プレイヤーが代表チームを率いて世界一を目指す話(旧題/日本サッカー架空戦記)  作者: 三輪和也(みわ・なごや)
グループリーグ第2戦/幽玄
38/112

有村コウスケその2

 木之本のゴールが決まって数十秒後。

 試合が再開する前に選手がベンチの前が集まった。集めさせたのは有村だ。

 早速。「水上を中央でプレーさせましょう。見た目には表れていませんが疲れています。代わりに鮎川さんを右サイドに回します」


「……私が右サイド? それはかまわないけど」


「倉木さんはテスラをマークしてくれませんか?」


「いいよ」と俺は返事をする。


「いや、ちょっと待て。どうしてお前がしきるんだ?」と佐伯が慌てて言った。ベンチを見て。「監督がそう指示したってことじゃないだろ?」


「監督は止めよと申しておらぬ」と俺。


 テクニカルエリアの青野監督はうんうんとうなずいている。「かまわないよ。有村の言うようにしてみたら」


「ありがとうございます。みんな僕の言うとおりにしてくれますね。……みなさんはどう思います? 2点差がつきました。まだ前半23分ですね。セルビアはテスラのゴールシーン以外ほとんどチャンスをつくれていません。失点を恐れるより追加点をどんどん狙ったほうがいいんじゃないですか?」


「賛成」と俺。


「賛成です」と近衛。「4点目5点目を狙うべきです。佐伯は思考が保守的だね」


 凍りつく佐伯。「リードしてるんだ。今のままのサッカーで……」


「今は上手くいってますけどこれからずっとそうかはわかりません。水上は攻守に走りすぎです」と有村。「右サイドの攻撃が上手く行きすぎなんですよ。木之本さんがいいところに走ってるから」


「う、すいません」と木之本。どうして謝る。


「だから水上も走らないといけない。中央なら守備のときに負担が少ないです」ウィングは攻め上がるサイドバックを追いかけなければいけないから。「もちろんプレッシャーはありますが……」


「まかせてください」と水上。「走れなくなってチームに迷惑はかけたくないです」


「ならかまいませんね。佐伯さんすいません。でも僕が言わなくても誰かが提案してたと思うんですよ」


 佐伯。「いや、お前が言うのは意外だったから……」


「勝ちたいと思ってたから口に出してしまいました。セルビアのことなんですけれど……」


 また佐伯。「なんだ?」


「この試合に日本が勝って、で、もし決勝トーナメントでセルビアと再戦するとしましょう。負けたセルビアは日本にリヴェンジしたいというモチヴェーションを得てしまうことになるんです。正直こちらはやりにくいはずです。だからそうなった場合にそなえて、相手に日本となんかもう2度と戦いたくないって考えをもたせるくらい叩きのめしてやるべきなんです。だからもっと点差をつける展開にもっていきたい」


 俺。「……何気にすごいことを言ってるような……」

 こいつは試合が終わった場合のことを考えている。能天気なのか、それとも思慮深いといえるのか。


 有村は走って自分のポディションに戻っていく。「水上と鮎川さん、倉木さんはちゃんと僕の言ったことを守ってくださいね。そうすれば、なんていうか、いい感じになります」


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