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最強プレイヤーが代表チームを率いて世界一を目指す話(旧題/日本サッカー架空戦記)  作者: 三輪和也(みわ・なごや)
グループリーグ第2戦/幽玄
34/112

水上道その1

 水上道(みずがみ・みち)

 所属チーム/静岡学院中

 適性ポディション/ウィング・センターフォワード

 背番号/19

 利き足/右

 学年/中学3年

 出身地/静岡

 身長/162センチ

 体重/65キログラム

 呼称/ミズ・ミチなど




「鹿野様がついにいつもどおりの実力を発揮されましたな。日本の勝利は手堅いですぞ」


 鹿野はそう言う俺を睨みつけて。「何言ってんだ。今みたいなシュートなんて決めたこと1度もねえよ」


鮎川はいぶかしんで。「そうよカズちゃん。今のなんて1000回に1回、いえ1万回に1回のプレーよ」


「1万は言いすぎだろ」


 俺は洗脳眼。「やはりご本人がおっしゃったように鹿野様にボールを渡せばゴールに叩きこんでくれますぞ。鹿野様は日本の至宝ともいえるご存在。我々は一緒にサッカーができる幸運を噛みしめるべき」


 鹿野は自陣に戻りながら口を尖らせてみせる。「なんだよ俺がゴール奪ったのがそんなにうっとおしいのか? うぜえんだよ倉木」


「ゴリラ野郎にも冗談は通じたか。1点で満足するなよ」


 当然試合の趨勢は日本のものとなる。前半18分の勝ち越しゴール。

 逢瀬、佐伯、有村と連続して鹿野を狙ったパス。特に有村のパスは『無茶ぶり』でしかなかった。だが3度目の正直で鹿野が決めた。

 DFはボールをおさめることができなかった鹿野に3度目のパスがないと思っていた。有村はそれを狙って相手の裏をかいた形のパスをいれた。そのためにDFは反応を鈍らせてしまったわけだ。

 鹿野は動き出しに命を賭ける純粋なストライカー。名手が集まる代表チームにあってただ1人無骨で不器用で1つのことしかできない。奴がピッチ上でできることはゴールだけ。それを今決めてみせた。


 日本の右ウィング、水上道は笑っている。

 ゴールが決まったから笑っているのではない。こいつはいつだって笑える。「笑え」といえば0.5秒で笑顔になれるような奴なのだ。

「すごいゴールでしたね」と水上は俺に話しかける。右拳を突きだして。「ズバーンって決まりましたよ」


「ありゃ事故みたいなゴールだ」


(事故みたいなゴールでも)。「鹿野さんがあきらめないでボールを追いかけたからですよ」


 まぁそこが鹿野の長所だから。「次はお前の番だろミチ」


「そうですね。ズッとしたボールがはいったらピタッと止めて決めますよ」


 擬音語が多いな水上。「つまり足元に速いパスを寄こせってことか?」


「はい。どうしてもこの身長ですから競り合いじゃ勝てないです。中盤からビタッとしたボールがくればDFをかわせるんですけど」


 中坊が大きい口を利くじゃないか。「じゃあお前を信じてきついパスいれていいんだな? お前がミスっても味方がフォローしてくれるかはわかんねぇぞ」


 水上は笑顔のままで。「僕を信じてください。中学生でもチームの一員なんですから。これから実力で証明します」




 水上もまたどこか気負ったところのある選手だ。どこにでもいるサッカー小僧ではない。

 こいつの物語を俺は知らなかった。静岡の強豪サッカー部のエースストライカー。代表ではウィングで使われている。


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