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最強プレイヤーが代表チームを率いて世界一を目指す話(旧題/日本サッカー架空戦記)  作者: 三輪和也(みわ・なごや)
グループリーグ第1戦/幸先
16/112

志賀劉生その1

 志賀劉生(しが・りゅうせい)

 所属チーム/榛松高校

 適性ポディション/ウィング、トップ下

 背番号/15

 利き足/右

 学年/高校2年

 出身地/埼玉県

 身長/168cm

 体重/63kg

 呼称/シガ・リュウ




 ハーフタイム。

 空にしたボトルを俺は置いた。

 フィールドからスタジアムのなかへ移動する。俺に話しかけてきたのは志賀だった。

「今のままじゃまずい。押されっぱなしじゃないか!」


「そう興奮すんなよ。近衛も逢瀬もよく守ってる」と俺。


「このままじゃ後半のどっかで追いつかれる。高い位置でボールを奪わないと」


 大槌が会話に加わる。「あっちのDFはみんな足元が上手い。プレッシャーかけてもドリブルでかわされる」


「ずっとこんななのか?」


「そうじゃない」と俺は言った。「後半頭から人数をかけて攻めに行こう。そういうプレーも混ぜていかないとね。大槌攻撃好きだろ?」


「嫌いじゃないけどよ」と大槌。


「シュートが狙えるくらい前に出よう。いいか、これは駆け引きだ。こちらが一度でもいい攻撃をみせればサイドバックやボランチが攻撃参加しにくくなる。もちろん成功するにこしたことはないけどね」


「そういえば右の3人だ」と大槌が言った。

 大槌は右サイドバック、俺は右ボランチ、志賀は右ウィング。


「この3人で崩そう」と俺。「もともと縦の関係で崩してくんだろ」


 志賀は納得したのかうなずいて先を歩いていく。

 俺はその背中に。「偉くなったな志賀。なんかの試合で俺のスルーパスに反応遅れてシュート外したことあったんだよぉ」


「いやその試合なら俺もでてるしよ」と大槌。




 ユニフォームを着替え後半開始にそなえる。

 青野監督は相手の攻勢を防いだ守備陣を褒めた。攻撃に関しては約束事を強調しただけで、特に修正を加えはしなかった。

 ピッチに出る。俺にはひとしきりの声援。喜んでいいのは試合が終わってからだ。

 思い詰めた表情の志賀。同じドリブラーのボルヘスが前半何度かチャンスをつくっている。自分はまだ何もできていない、と。

 両チームメンバー交代はまだない。

 スターティングメンバーの22人がピッチに散り、

 アルゼンチンのキックオフで試合再開。

 鹿野がFW、MF、センターバックと下げられたボールを追走。

 パスで鹿野をかわしセンターバックが上がってくる。大槌が言うようにテクニックのあるDFだ。

 DFが中盤を省略しFWにパス。

 11番がボールをキープ。小柄ながらたくましい。背後の近衛はターンさせない。

 中盤。ゴールから逃げた11番がバックパスを選ばされる。

 11番からアンカーへ。アンカーからタッチライン際へ走らせるパス。

 人数はかけない。MFが1人でドリブル。左沢がマーク。

 深い位置からアルゼンチンのサイドチェンジ。有村と佐伯が揺さぶられる。

 左MFのトラップミスがそのまま11番へのラストパスに。ミドルシュートだ。

 突出。逢瀬がスライディングで撃たせない。

 倒れ抗議するFW(ダイヴ臭い)を尻目に佐伯がボールを引き継ぐ。前をむいた。

 佐伯から右サイドを駆け上がる志賀へのパスがとおる。ロングフィードはこいつの長所だ。

 その「いってこい」というパスを志賀がトラップ。

 が、抗議を重ねるがごとくDFが志賀を倒す。

 これにも主審の笛はない。なぜなら

 俺がこぼれ球をひろったから。日本が有利な場面、アドヴァンテージをとっている。

 前方へパス。

 守備から攻撃への切り替えが早い。右サイドで走りだしていたのは志賀だけではない。

 大槌。

 ギアはトップへ至っている。アルゼンチンのサイドバックは追いつけない。

 ゴールライン手前でほぼ真横にクロスボール。

 鹿野がセンターバックの前をとった。撃「てえ!」と俺は叫ぶ。倒されながら触れるシュート。

 だがキーパーの足にあたり外れた。

 鹿野はこの日最初のシュート。何度もチャンスがある試合にはならないことはわかっている。元々厳つい顔を険しくさせ立ち上がる。


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