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最強プレイヤーが代表チームを率いて世界一を目指す話(旧題/日本サッカー架空戦記)  作者: 三輪和也(みわ・なごや)
グループリーグ第1戦/幸先
10/112

青野健太郎その2

 先制されたことで相手選手の眼の色が変わった。

 アルゼンチンは過去に2度ワールドカップを制覇した強豪国。日本には確たる実績はない。選手たちが日本を見下していたとしてもおかしくはない。

 だがA代表の強さなど下の世代の代表チームには何も関係ない。

 所属しているクラブの格だとか、選手個人のネームヴァリューで勝負が決まるわけではない。


 フィールドでは実力だけがものをいう。




 アルゼンチンの早速の反撃。先制されてまだ2分も経っていない。

 右サイドバックがボルヘスのスルーパスを受け、日本のペナルティエリア内へ侵入している。

 しかし左サイドバック、左沢がやらせない。

 クロスボールをいれさせない。ドリブルもさせずこれ以上ゴールへ近づかせもしない。

 攻めきれないサイドバックは諦め長いバックパス。

 これがかえって功を奏す。

 アルゼンチンの10番。ゴールまで25メートルの位置でボールをもつ。

「前を空けるな!」と近衛。

 自陣に引きすぎたためペナルティエリア正面にスペースができていた。

 撃ってくる、撃ってくる、撃ってくる!

 有村が慌てて飛びだす。ボルヘスは日本のボランチを左にかわし、


 気がつけばシュートのフォロースルーを終えている。


 回転のかかったボールはキャプテン逢瀬の頭に当たり外れた。



 やはり警戒すべきは10番だ。

 パワーがいるミドルシュートだったというのにまったく力みのないフォーム。

 過程をふっとばしシュートを撃たれたという結果だけが日本選手の眼には残った。

 ドリブルの軽いタッチのなかにシュートの強いキックが混入されていた感じだろうか。プレーとプレーとのつなぎめがほとんどない。

 次は決められるかもしれない。どうやって守る?

 10番にボールをもって前をむかせてはいけない。どんな距離だろうとマークを緩めてはいけない相手だ。



 ベンチの青野は興奮して立ち上がる。「素晴らしい! いい選手じゃないかボルヘス」


 座ったままの織部という選手が軽蔑した表情で。「相手を褒めないでくださいよ」


 青野は振り返って。「ドリブルからシュートまでがすごく早いね」


「どう守るんです?」


「そりゃパスをカットする、前をむかせない、シュートを撃たれてもブロックするとかいろいろね。特別な方法なんてない。愚直に守るしかないさ」


「……あの2人なら」


「あのセンターバックコンビが日本の強さの拠所だ。みんなよーく見ておけよ。うちの近衛と逢瀬が猛威をふるう。今度はアルゼンチンがビビるからね」


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